降板騒動を乗り越えスピード再撮影!リドリー・スコット監督が『ゲティ家の身代金』撮影秘話を語る

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5月25日(金)に全国公開となる映画『ゲティ家の身代金』。1973年に実際に起きた世界一有名な誘拐事件を映画化した本作で監督を務めたリドリー・スコットのインタビューが到着した。

実はこの映画、撮影開始当初は裏の主人公とも言えるジャン・ポール・ゲティをアカデミー賞受賞俳優ケヴィン・スペイシーが演じていた。しかし、2017年11月、ハーベイ・ワインスタインのセクハラ問題に端を発した騒動により、スペイシーが突如降板してしまう。

映画は既に完成しており、全米公開はその1か月後に予定されていた。この非常事態に御年80歳のリドリー・スコットは即座に再撮影を決断。その数日後にはアカデミー賞俳優、クリストファー・プラマーの出演が決まり、1週間後には撮影がスタート、その2週間後には映画を完成させる。お蔵入りをも危惧された危機的状況をこの短期間で乗り越え、アカデミー賞(R)(助演男優賞:クリストファー・プラマー)、ゴールデングローブ賞(監督賞:リドリー・スコット/主演女優賞:ミシェル・ウィリアムズ/助演男優賞:クリストファー・プラマー)、英国アカデミー賞(助演男優賞:クリストファー・プラマー)でノミネートされるという、史上空前の快挙を果たすこととなる。なおC・プラマーはアカデミー賞(R)演技部門ノミネートの歴代最高齢記録を更新した。このピンチを大逆転劇に変えたのは、代打出演を快諾したC・プラマーはもちろんのこと、M・ウィリアムズ、M・ウォールバーグといった実力派俳優と再撮影に携わった多くのスタッフ、そして彼らまとめ上げたリドリー・スコット監督だからこそ成し遂げられた奇跡とも言える。

お蔵入りの危機から史上空前の大逆転劇を見せたこの作品について、リドリー・スコットが語ってくれた。

――驚異的なスピードで再撮を決定なさって、当初の予定通り年内公開、というのが信じられませんでした。この奇跡を可能にしたのは一体なんだと思いますか?

リドリー・スコット(以下R):素晴らしい効率の良さと、たくさんの経験だよ。そこには何のマジックもない。やっていることをちゃんとわかっていることだ。僕にはすごく経験がある。(最終的に)やらないといけないことがわかっていた。それは、基本的にケヴィン・スペイシーを入れ替えることだった。さもなければこの映画は消え去ってしまっただろう。このままではスタジオは、この映画にプリント代や広告費をかけないからね。公開日に行き着く前に死んでしまっただろう。僕のパートナーや僕に、そういうことを起こさせることは出来なかった。なぜなら、(製作費を出したのは)ソニーじゃないからだよ。プライベートの投資家なんだ。だから僕は彼のところに行って、「僕たちはこれを直せる。誰をキャストし直すことが出来るかわかっている。再撮をして、予定通りに公開出来るよ」と言ったんだ。僕にはそれを出来ることがわかっていた。なぜなら僕のチームは、どんなことでもとてもうまく出来るからだよ。彼らはとても優れている。正確さがとても大事なんだ。

――クリストファー・プラマーのことをすぐに思いついたんですか?

R:クリストファー・プラマーの名前は常に候補者のリストにあった。かなり前にこのプロジェクトをやっていた時にね。実は、このプロジェクトを始めたのは多分、5月か6月なんだ。とても早く製作が進んだんだ。リストには2人しか載っていなかった。ケヴィン・スペイシーとクリストファー・プラマーだ。それで、僕はクリストファーに電話をかけたんだ。

――これは、世界一裕福な男がターゲットとなった世紀の大誘拐でした。

R:そうだね。

――そのためにスキャンダラスに語られてきた実在の事件を映像化するにあたって、最も焦点を当てて描きたかったのはどんな点でしたか?

R:僕は、事実に基づいたストーリーが好きなんだ。ほとんどジャーナリズムのようなストーリーが好きだ。僕がこれまでに手がけた他のジャーナリスティックな映画は、多分「アメリカン・ギャングスター」だ。「ブラック・ホークダウン」もそうかもしれない。それから間違いなく今作だ。
今作はジャーナリスティックな扱いが要求される。それは、僕が普段やっていることと違うものだよ。なぜなら、僕はたくさんサイエンス・フィクションをやるからだ。いろんな作品をやる。多様性のあるものをね。でも、僕は、今についての題材をやるのが好きなんだ。現代社会について。今日についてのものを。
これは、70年代に僕が経験したシンドロームだった。僕はこの事件のことをとてもよく知っていた。なぜなら、僕はロンドンで、60年代、70年代、とても楽しい時を過ごしたからだよ。だから、それに関わった人々を何人か知っていた。もちろん、とても興味を持った。でも、僕が企画開発したわけじゃない。脚本が送られて来たんだ。

――2017年公開作、そして今後アナウンスされるものも含め、監督、プロデューサーとして膨大な数の作品を手がけていらっしゃいます。そのペースが年々加速しているようにも感じます。その原動力は一体何でしょうか?

R:それもまた経験だと思うよ。じっくり考えないことを学ぶんだ。くよくよ考えない。ただやるんだよ。今作で(ケヴィン・スペイシーとクリストファー・プラマーを)入れ替えたように、じっくり考えていないで、(その問題を解決するために)何か実際にやることだ。最も大変で最も困難なことは、どんな題材であっても、それを書くことだよ。一旦、それが脚本に書かれて、その題材についてのビジョンがあれば、フィルムメーカーやライターの見方によって、どんなことでも興味深いものになる。だから僕は多くの映画を手がけているんだ。自分がやっていることが大好きだからだよ。

――最後に、日本のファンにメッセージをいただけますか?今作の最大の見どころは何でしょうか?

R:この映画は、みんなが考えているものじゃないと思う。裁判事件であるとか、トーキングヘッズ(画面に語り手の顔が出てくるもの)じゃないんだ。今作には、とてもストレスフルで、時にはかなり暴力的なところが出てくる。多くの意味で、それは家族の崩壊についてのストーリーなんだ。でもまた、子供のために立ち向かったこの女性の人生におけるとても緊張した瞬間だ。ミシェル・ウィリアムズによって演じられたこの女性の意志の強さや勇気は、最も重要なものだ。ファンタスティックだよ。

ストーリー概要

“世界中のすべての金を手にした”といわれる大富豪ゲティ。17歳の孫ポールが誘拐され1700万ドルという破格の身代金を要求されたゲティは、こともあろうことかその支払いを拒否。彼は大富豪であると同時に稀代の守銭奴だったのだ。離婚によりゲティ家を離れ一般家庭の人間となっていたポールの母ゲイルは、息子のために誘拐犯のみならず【世界一の大富豪】とも戦うことに。警察に狂言誘拐を疑われ、マスコミに追い回され、疲弊していくゲイル。一方、一向に身代金が払われる様子がないことに犯人は痺れを切らし、ポールの身に危険が迫っていた。それでもゲティは頑なに支払いを拒む。愛する息子を助け出すため、母は一か八かの賭けに出るのだった…。

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