ゴダールと恋をした女優…『グッバイ・ゴダール!』をより楽しめるオススメ映画3選



(C) LES COMPAGNONS DU CINÉMA – LA CLASSE AMÉRICAINE – STUDIOCANAL – FRANCE 3.




ジャン=リュック・ゴダール監督作『中国女』の主演女優であり、ゴダールの2番目の妻でもあったアンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝的小説を映画化した『グッバイ・ゴダール!』が2018年7月13日(金)から新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開される。


今年のカンヌ国際映画祭のポスターにも『気狂いピエロ』のキスシーンが採用され、更に新作がコンペティション部門に入るなど、今もなお世界中で敬拝され愛される巨匠ゴダール。彼と10代で出会い、共に時代を駆け抜けたアンヌの知られざる日々を、今まさにフランス映画界を代表する監督・俳優陣によって描く注目作だ。
ゴダールのことをよく知らなくとも、人生の転換期と歴史上の転換期を同時に迎えた一人の映画監督についての物語として、そしてラブストーリーとして楽しめる作品となっている。

とはいえ、実在の人物が多数登場するのも本作の見所のひとつ。
そこで、『グッバイ・ゴダール!』をより楽しむために、当時のゴダールやアンヌのことがよくわかるオススメ映画3本を紹介しよう。

■『バルタザールどこへ行く』(66)監督:ロベール・ブレッソン





© 1966 Argos Films – Parc Films – Athos Films – Svensk Filmindustri


まずは、アンヌ・ヴィアゼムスキーの女優デビュー作である『バルタザールどこへ行く』。バルタザールと名付けられた一匹のロバの視点を通して、人間の本能と罪悪を追求した作品だ。この撮影現場にゴダールが訪れたことが二人の出会いだったそう。ゴダールはその後、アンヌが訪れた避暑地まで訪ねてきてラブコールを送ったそうだ。さらにアンヌは、のちに『バルタザールどこへ行く』の撮影期間を振り返って書いた小説「少女」のなかで、本作の撮影中、監督のロベール・ブレッソンからもアプローチを受けていたことを明かしている。ゴダールやブレッソンといった名監督たちを虜にした若きアンヌの魅力が『バルタザールどこへ行く』には詰まっていると言える。




『バルタザールどこへ行く』
発売元:株式会社アイ・ヴィー・シー
Blu-ray(IVBD-1147) 定価¥4,800(税抜)
DVD (IVCF-5785) 定価¥3,800(税抜)


■『中国女』(67)監督:ジャン=リュック・ゴダール



次は、ジャン=リュック・ゴダール監督作『中国女』。アンヌがはじめてゴダール映画の主演に抜擢された作品であり、『グッバイ・ゴダール!』では、その撮影中の二人から物語がスタートする。『中国女』は中華人民共和国で文化大革命が勃発し、世界中がその影響にゆれる1967年初夏、パリのアパートで共に生活する5人の若者たちが、次第に毛沢東思想に傾倒していく様子を描いた作品。『中国女』で印象的なのは、登場人物たちが暮らすアパート。白壁の部屋に、赤・青・黄といった原色を使用した家具が置かれ、ドアや窓枠も同じく原色のペンキで塗られている。実は、『グッバイ・ゴダール!』でゴダールとアンヌが暮らすアパートの部屋も、同じように、白い壁の部屋の中に赤・青・黄の家具が取り入れられ、毛沢東の置物やポスターが飾られている。『中国女』と『グッバイ・ゴダール!』で共通する家具や小物を探しながら見るのも楽しい。

中国女 Blu-ray





■『男性・女性』(66)監督:ジャン=リュック・ゴダール



最後は、同じくジャン=リュック・ゴダール監督作の『男性・女性』。青年ポールとスター歌手を夢見るマドレーヌの初々しい恋を軸に、1960年代後半のフランスの若者たちの生態を綴った青春映画です。本作でマドレーヌを演じているのは、当時フレンチ・ポップス界のアイドルとしても絶大な人気を誇っていたシャンタル・ゴヤ。『グッバイ・ゴダール!』でステイシー・マーティンが演じるアンヌは、アンヌ本人以上に、このシャンタル・ゴヤにそっくりです。その理由について、先日来日したステイシーは「アンヌそのものを演じるというよりも、もっと抽象的なあの時代のアイコンと呼ばれていた女性たち、例えばジェーン・バーキンやゴダール作品で有名なシャンタル・ゴヤのようなキャラクターにしようと決めました」と語っている。さらに、ステイシーは、ゴダール作品の中で特に本作がお気に入りなのだそう。『男性・女性』を見れば、ステイシーが演じようとした60年代のフレンチアイコンの魅力がより理解できそうだ。

男性・女性 HDニューマスター版 [DVD]





『グッバイ・ゴダール!』鑑賞前に予習を兼ねて観るもよし。より理解を深めるために鑑賞後に観てもよし。これら3本をチェックしておけば、映画をより楽しめること間違いない。是非この機会にご覧になってみてはいかがだろうか。



ストーリー概要



もうすぐ19歳のアンヌは、パリで暮らす哲学科の学生。そんな彼女の人生に驚きの出来事が起こる。映画を変えたと世界中から注目される天才監督ジャン=リュック・ゴダールと恋に落ち、彼の新作『中国女』で主演を飾ることになったのだ。新しい仲間たちと映画を作る刺激的な日々、そしてゴダールからのプロポーズ…。生まれて初めての体験ばかりの毎日に、アンヌはあらゆることを夢中で吸収していくが、パリの街ではデモ活動が日に日に激しくなり、ゴダールは次第に革命に傾倒していく――。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!