映画界の寵児、二人のアンダーソン監督の最新作『ファントム・スレッド』&『犬ヶ島』が5月26日、27日に連続公開

『ファントム・スレッド』© 2017 Phantom Thread, LLC All Rights Reserved

『マグノリア』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・トーマス・アンダーソン監督が名優ダニエル・デイ=ルイスと二度目のタッグを組んだ最新作『ファントム・スレッド』が2018年5月26日(土)より公開される。
また5月25日(金)にはウェス・アンダーソン監督の最新作『犬ヶ島』が公開され、映画界の寵児、ダブル(ポール・トーマス/ウェス)アンダーソンの新作が同時に観れることとなる。

ポール・トーマス・アンダーソン監督と、ウェス・アンダーソン監督は同じ世代(ポール・トーマスが1歳年下)で同じ国出身(アメリカ)、そして輝かしい受賞歴も併せ持つ。同じ「アンダーソン」という名前で、度々名前は並べられている2人だが、いざフィルモグラフィを見比べると、その作風は真逆の立ち位置にある。しかし意外な類似点もあり……。

身近な世界から、歴史に舵を切った視点、そして新境地へ

幼少期からカメラ小僧であったふたりが自分の周囲にカメラを向けたのはある意味必然。
二人は1996年に「ハードエイト」(PTA)、「アンソニーのハッピー・モーテル」(ウェス)と同年にデビューを果たす。そしてポール・トーマスは、『ブギーナイツ』(97)『マグノリア』(99)『パンチドランク・ラブ』(02)で広く知られるように自身の故郷であるロサンゼルスのサン・フェルナンド・ヴァレーを舞台に撮影している。
一方、ウェスの「アンソニーのハッピー・モーテル」は彼が通ったテキサス大学のあるオースティンで撮影され、さらに次作である「天才マックスの世界」(98)は、彼の地元であるテキサスのヒューストンで撮影されている。その後は、ニューヨーク、そしてパリに拠点を移し、各拠点の影響を思わせる作品を発表している。

そして彼らは自分の見知った身近な世界から、自分が直接経験していない時代や世界に関心が向くようになっていく。ポール・トーマスの『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』は1890-1920年、『ザ・マスター』は1940-50年、そして『インヒアレント・ヴァイス』は1960-70年と、順に年代を追って描いていることから、アメリカの歴史を辿り直そうという姿勢にもうかがえる。

しかしその描かれ方は、それぞれに違っている。
ポール・トーマスは、例えば『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』では、怪物俳優ダニエル・デイ=ルイスが20世紀初頭の話し言葉で演技をしたり、デビュー当時からタッグを組む衣装デザイナーのマーク・ブリッジスは「当時着られていた服装を見つけてきて作品の参考にしていた」とも語っていたりと、過去を描く際にもとことん「リアル」を追求する。

一方、ウェスは『ムーンライズ・キングダム』(2012)では1960年代、『グランド・ブタペスト・ホテル』(2014)では1930年代を舞台に描きだす。そのどちらの作品でも描かれているマイノリティのカップルがお互いの個性を尊重しつつ、惹かれ合っていく様子は、自分が「問題児」とみなされていたウェス自身を描きだしているようで、過去に視点を変えながらも、描き出すは内省的な愛の物語ともいえる。

そして最新作では、二人とも新境地を描く。
ポール・トーマスは「アメリカ」の舞台を超えて「イギリス」へ。
ウェスは愛してやまない「日本」を舞台へ。

『犬ヶ島』 ©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

 

彼らの一番の共通項は“深い映画愛”

なんといっても幅広い層から彼らが支持される理由は、彼らが何より映画好きで、様々なカルチャーへのオマージュが見受けられること。ポール・トーマスは、敬愛するロバート・アルトマン、そして『ファントム・スレッド』のクレジットにも記載されている彼の師匠ともいえるジョナサン・デミ。また『ファントム・スレッド』では、度々ヒッチコックの影響も言及されている。

一方、ウェスの方はと言うと、『犬ヶ島』では「黒澤明をはじめとする日本の巨匠たちから強いインスピレーションを受けて作った」と語っている。また群像劇を得意とする彼の作品には、オーソン・ウェルズのオマージュが度々見受けられる。そして、少年少女を描くことに関しては「トリュフォーの影響を受けている」ことを度々自身が言及している。

彼らの特徴のもう一つには、常連俳優を起用することがある。ポール・トーマスは故フィリップ・シーモア・ホフマンや、今回のダニエル・デイ=ルイスや、ホアキン・フェニックスなどとも二度目のタッグを組んでいる。ウェス・アンダーソンは大学時代からの盟友オーウェン・ウィルソンに、おなじみビル・マーレイ、ティルダ・ウィンストンなど、毎度違う設定でありながらも、どことなく見慣れた存在感が両アンダーソンの作品に安定感をもたらす。

そして、まったく関わりがないような二人ではあるが、ポール・トーマスはウェスの前作『グランド・ブタペスト・ホテル』に関して以下のように絶賛していた。
「『グランド・ブダペスト・ホテル』は、最高に素晴らしかった! 誰かがウェス・アンダーソンをどう評価しようと、この映画を否定はできないよ」

同じ「アンダーソン」として比べられながら、オリジナリティ溢れる作品を作り出している2人は、お互いをライバル視しながらも一目置き、刺激しあっているのかもしれない。

『ファントム・ スレッド』ストーリー概要

1950 年代ロンドン。英国ファッションの中心に君臨し、社交界から脚光を浴びる天才的な仕立て屋のレイノルズ。ある日、レイノルズはウェイトレスのア ルマと出会い、彼女を新たなミューズに迎え入れる。彼はアルマの“完璧な身体”を愛し、彼女をモデルに昼夜問わず取り憑かれたようにドレスを作り続けた。しかし、アル マの気持ちを無視して無神経な態度を繰り返すレイノルズに不満を募らせたアルマは、ある日朝食に微量の毒を混ぜ込む…。やがてふたりは後戻りできない禁断の愛の 扉を開き、誰もが想像し得ない境地へと向かう。

『犬ヶ島』ストーリー概要

近未来の日本。犬インフルエンザが大流行するメガ崎市では、人間への感染を恐れた小林市長が、すべての犬を“犬ヶ島”に追放する。ある時、12歳の少年がたった一人で小型飛行機に乗り込み、その島に降り立った。愛犬で親友のスポッツを救うためにやって来た、市長の養子で孤児のアタリだ。島で出会った勇敢で心優しい5匹の犬たちを新たな相棒とし、スポッツの探索を始めたアタリは、メガ崎の未来を左右する大人たちの陰謀へと近づいていく──。

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