なぎら健壱&マフィア梶田が語る『夜に生きる』特別インタビュー

夜に生きる ベン・アフレック インタビュー

ベン・アフレックが監督・脚本・主演を務める映画『夜に生きる』が、2017年5月20日(土)より公開となる。先日、本作の特別試写会のトークイベントにも登壇した、なぎら健壱とマフィア梶田に、本作の魅力について伺った特別インタビューがシネマズに到着した。

夜に生きる
映画『夜に生きる』よる (C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画『夜に生きる』は、全米でベストセラーを記録したデニス・ルヘインによる同名クライム小説を実写映画化する作品で、3人の女性との出逢いを経て、“夜に生きる”と決意した男の姿を描く。2012年に『アルゴ』で監督・主演を担当し、全米では“ポスト・イーストウッド”と称されるベン・アフレックが、本作では監督・脚本・主演を務める。

こんなにリアルな男がマフィアになるという姿が面白い

夜に生きる ベン・アフレック なぎら健壱&マフィア梶田 インタビュー

――映画『夜に生きる』を観ての率直な感想は?

なぎら健壱(以下、なぎら):私は映画を観る前は、全く知識を入れない様にしているんです。原作も読まないようにしているし、読んでしまうと完全に思考がその方向に向いてしまうので、あまり好ましくないなと思っているんです。予告編を見るとイメージが刷り込まれますからね。そういった雑念を抜いた上でも、本当に作品楽しめました。

マフィア梶田(以下、梶田):今までのマフィア映画と比べて、かなり展開を変えているというか、敢えてお約束を無視していて、良い意味で裏切ってくるんですよ。しかもその方法がすごくスマートで、権力とかお金に固執しないマフィアの主人公は、今まで存在していないと思います。タイトル『夜に生きる』という題名通り、ベン・アフレックはただのマフィア映画というより、男の生き様、無法者がただの悪党ではないという事を見せたかったんじゃないかなと感じました。

――悪に染まりながらも自分自身に忠実に生きようとするジョーの姿には胸を打たれる人も少なくないと思います。それぞれが思う「男の生き方」とはなんでしょうか?

なぎら:自分に正直に楽しんで生きていければ、それ以上に楽しい世の中はないので、それが天国になるわけです。この作品はマフィアというバッドな世界を描いていますが、主人公たちが楽しく生きている、天国の様だなと感じさせてくれる、男が憧れを抱き、惚れる映画だと思いました。

梶田:誰しも生きることに意味を感じたいと考えていると思うんです。毎日仕事をして、生きていて不満を抱いている方は沢山いると思うのですが、そういった方々が『夜に生きる』を観て、こんな風に生きたいなと憧れる部分はたくさんあると思います。ただ正直、私自身はそうでもないんですよ。

マフィア映画というジャンルは、主人公が一気に栄華を極めて、そして破滅に向かっていくという定番があるのですが、本作の主人公はすごくリアルな人間なんですよ。ここで決断しなきゃという所で決めないで、流されるままトラブルに巻き込まれていく……。それを非凡な才能で乗り越えはするのですが、ある種の優柔不断な部分があるんです。そこがヒーロー的ではない。

ただ彼のスマートさには脱帽しますし、とても尊敬出来ます。これまでのマフィア映画でこれ程までに、見事な去り際を見せた主人公はいないと思います。ごく一般的な生き方をしている方々が見ても、共感できる部分は沢山あると思います。最終的に彼が選んだ道は、そういう人達の生き方なんですよ。

夜に生きる サブ1
映画『夜に生きる』よる (C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

なぎら:なんと言うか“芯から強いってスーパーマン”じゃないんですよ。あっち行ったり、こっち行ったりしちゃうところを、上手く出来るからカッコイイ風に見えるだけで、第三者から見たら優柔不断なんですよ。

梶田:憧れるタイプの主人公というのは、デフォルメが強いじゃないですか。それこそギャング映画の名作『スカーフェイス』(1983)では、めちゃめちゃやらかして一気に権力を得て仕切っていく。魅力に溢れていますが、『夜に生きる』くらい現実的だと憧れではなくなるんですよね。共感の方が強い。こんなにリアルな男がマフィアになるという姿が面白い所だと思います。

なぎら:主人公以外の登場人物達も、人間のどこかにある弱さをさりげなく見せているんですよね。

狂気と暴力で魅せるタイプの映画ではない

――これまでご覧になったギャング映画の中で影響を受けた作品は?

なぎら:最高峰は『ゴッドファーザー』シリーズですよね。このシリーズを越えるギャング映画はなかなか誕生しないですよ。

梶田:『ゴッドファーザー』が頂点にいて、そこから色々派生してギャング映画が成長していったイメージがありますね。日本のヤクザ映画を含めて、我々は数え切れないほどギャング映画を観ていますが……挙げきれないですね。『仁義なき戦い』シリーズは、日本が生み出した最高峰のギャング映画ですしね。

なぎら:西部劇の時代もあるからね~。

梶田:無法者の原点はやっぱり西部劇にあると思うんです。クライム映画が好きな方々って定番の展開が好きなのかなって思う所があったんです。その中で本作は意表を突く展開を見せる。本作は、ある意味で挑戦的な作品だと思います。定番で終わらせようとしていない。

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なぎら:完全なクライム映画を求めている人は、ちょっと意表をつかれるかもしれないですね。

梶田:今までの定番化されたクライム映画ばかり観てしまうと飽きてくると思うので、新しい風が必要だと思うんです。こういう方向性で攻める、こんな道を辿るマフィアの主人公がいても良いんじゃないかと思います。

なぎら:このポスターを見て、クライムを期待して映画館に行ってしまうと騙されちゃいますよね(笑)

梶田:狂気と暴力で魅せるタイプの映画ではないですからね。本当に、ただのギャング映画で終わらせたくなかったんじゃないかなと。やりたかったことは明確で、ベン・アフレックの思い描く男の生き様を、この作品に乗せてきたのかなと感じました。

なぎら:原作を読んだときにベン・アフレックは、どう描こうか試行錯誤したんじゃないかなって思いますよ。

一歩間違えれば最悪の選択をしていた

――俳優、監督、脚本家と様々な顔を持つベン・アフレック。なぎらさんは、フォークシンガーや俳優、タレントと幅広く活動されています。またマフィア梶田さんは、ライター、ラジオMCといった異なる仕事をこなしていますが、様々なジャンルの仕事を引き受ける上で、心がけている事は?

なぎら:強いて言えば、選ばれたからには“その道のプロの方達には負けない”。それなりの努力が必要だと思いますし、そういう部分は見せないですけど努力はしてますよ。

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梶田:私は、常に新しい刺激がないと生きていけないタイプなんです。だからこそ、変わった仕事の依頼が来るのは凄く嬉しいですし、自分がやったことがないという理由で断ることは絶対にしないです。スケジュールが合わなくて出来ない事はもちろんありますけど……。

依頼が来たら取り敢えず挑戦します。やりきれば私の勝ち、やりきれなければ私の負けという凄くシンプルな考えです。信条として、お金をもらうからには「自分の専門じゃないから」という言い訳は絶対にしないでやる。最終的な目標は“その道のプロにも負けない”という、なぎらさんの域を目指したいです。

――ベン・アフレックが演じたジョーのぶれなさと決断力はすごいと思いますが、おふたりにとって人生最大の決断はなんですか?

なぎら:人生最大の決断だと思っている事が、沢山起こりますからね。この出来事が最大だと思っていたら、またそれを越す出来事が起きるので、今まで最大だったことの影が薄れちゃいますよね。家を買うことも結婚もそうだし、子供が生まれたっていう事もそうだろうし……。どれを選べと言われても選べないですね。

梶田:生きてる年数に関わってくると思いますよ。なぎらさんに比べたら私はまだ29年しか生きてないので最大の決断というのは中々難しいですね……。

強いて言うのであれば、高校を卒業する瀬戸際で裏社会へ飛び込む寸前まで行ったことがありまして。その一方で、荒んでいた生活において唯一の救いだったエンタメ業界へと進むことができればまだ活路があるんじゃないかと思い悩んだことでしょうか。結果的には今このような仕事をすることが出来て、裏社会を選んでいなくて本当に良かったなと実感しています。一歩間違えれば最悪の選択をしていたかもしれないので、今思い返すとゾッとしますね。

――最後に『夜に生きる』についての見どころを教えてください。

なぎら:私の最初の話じゃないですけど、なるべく知識を入れないで観て欲しいです。どんな作品でもそうなのですが、情報を入れてしまうと面白みが半減してしまいます。

梶田:『夜に生きる』というタイトルが意味する部分に注目して観て欲しいです。大量生産されたギャング映画の一本だとは思わない方が良いですね。昨今のトレンドではないジャンルを、あえて世に送り出してきたベン・アフレックが観客に見せたかったものは何なのか、それをぜひ劇場で確かめてください。

夜に生きる ベン・アフレック なぎら健壱&マフィア梶田

映画『夜に生きる』は2017年5月20日(土)、丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー。

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