『ゼニガタ』大谷亮平×小林且弥対談「現場でコーヒー飲みながら、父性ありますねとか言えないじゃないですか」

5月26日(土)公開の映画『ゼニガタ』で主人公・銭形富男を演じる大谷亮平と、富男の弟・静香役を演じる小林且弥の対談が到着。

本作は、表向きは居酒屋経営者、しかし裏では10日で3割の超暴利で金を貸しつけ苛烈な取り立てで債務者を追い込む闇金屋・銭形富男を主人公に、金と欲望に翻弄される人々の転落を描く物語。返せるあてのない借金を抱え、最後の手段として居酒屋「銭形」を訪れた人々の運命を描く“闇金”ピカレスク・ムービー。

大谷亮平と小林且弥が今作の魅力や役どころ、撮影中のエピソードを語った。

──大谷さんは『ゼニガタ』が映画初主演作ですね。

大谷:日本での映画デビュー作にもなるんです。なので、スクリーンデビューできるという喜びをまず感じました。そこから、こうした主演という立場でがっつりやらせていただけるんだという喜びややりがいを感じましたね。ただ闇金の作品というのは、これまでに演じたことがなかったので、10 日で3割とか、計算していくらだとか、知らないことだらけで。うれしい、頑張ろうというのと同時に、さあ、どうやろうかと思ったのが最初でした。

──小林さんはこの役が決まったときには何を思われましたか?

小林:僕はこうしたちょっとダークサイドな話を、大谷さんがメインでやるというのに惹かれました。これまでの大谷さんに、そういう世界のイメージを持っていなかったんですが、絵が浮かんだんですよね。似合うだろうし、おもしろそうだなと。ピカレスクムービーとうたっていますが、そこの真ん中に大谷さんがいるというのが、いい作品になるんじゃないかなと思いました。

──それぞれ演じた富男、静香というキャラクターに関しては、どんなイメージを持って臨みましたか?

大谷:綾部監督やプロデューサーが言っていたのが、この役はぶれないでほしいということでした。しっかり柱になってほしいと。弱いところも、感情も、そう簡単には見せない。ただ、せっかく主演でやらせていただくので、その核を徹底することはもちろん大事ですが、どこか感情が出たり、人間味のある部分を見せられる場所はないかなと考えました。

その感情を見せる部分というのが、小林さんが演じている弟との関係なんですよね。だから、富男としての核にプラスアルファで、弟に対してや、弟のことを話しているときに見せる顔に少し人間ぽさを出せたらというのをベースに考えました。

──富男は、セリフはあまり多くないですけれど、行間や目の表情で感じる部分がとてもありました。佇まいも。

大谷:そうですね。カウンターの中にいるときにも、ずっと仁王立ちで2時間では持たないですし、かといって、いろいろ動いても軽く見えるし。どこかにもたれかかるにしろ、どっしり感が見えるようには意識しました。目の動きに関しても、誰かを見るときには身内以外に関しては、圧倒してやりたいと思っていました。ある種、勝負師のような。

──小林さんが演じた弟の静香は対照的な役柄でした。

小林:字面で見るとちょっと飛んでる感じのキャラクターなんです。でも生身の肉体を使って、大谷さんや各キャストを前にしての表現となったときにはどうなるのか。現場でやっていかないと、頭で組み立てるのは難しい役だとすごく思いました。

普段、僕は割と計算するほうなんですが、この作品に関してはそれが難しかったんです。一見すると動物的な人に見えるんですけど、実はすごく寂しい人ですよね、静香って。それをいくら頭で考えても追いつかないところがあって。論理的にこうこうだと計算できない。だから現場で、瞬間瞬間でやっていった感じです。

──ふたりが対峙するシーンがとても印象的でした。

大谷:アーケードのシーンですね。

──あそこの富男の目にはかなり感情が出ていました。

大谷:唯一、撮る前に意図しないものが出たシーンかもしれません。感情が出すぎたというか。本当は、あまり出そうと思っていなかったんです。

──出てしまった。

大谷:ですね。実際に入る前は、弟に対して自分の思いを持ちながらも、でも抑えながらやろうと考えていたんです。でも小林くんが、脚本で感じた以上の熱い思い、感情で来たので、その瞬間に、自分の中でも思いが変わったんです。なので、最後、「勝手にしろ」 「好きにしろ」といったことを言っていなくなっていますが、ただドライな気持ちでそう言っているというよりは、そう口にしながらも、気持ちが出てしまったんです。それで、監督に「どうでしたか」と確認しました。

──綾部監督はなんと?

大谷:出ちゃいましたねと(笑)。ただ、この役の感情が出せる数少ない部分だし、生の感情として出たものなので、これで行きましょうとOKになりました。

──小林さんもその撮影はよく覚えていますか?

小林:覚えてます。雨が降る中でした。結構後半に撮ったんですけど、最初の撮影スケジュールでは、始めのほうに組まれていたそうなんです。でも監督もここは大事なシーンだからと、ふたりでやる最終日に回してくれたそうで。それを聞いて助かったなと思いました。もし最初のほうに撮影していたら、違うシーンになっていたんじゃないでしょうか。

大谷:そうだね。

小林:実感として、あそこで大谷さんの目が唯一、ふっと飛んだというか、泳いだ感じがあった。こうしようと決めていたら出なかった空気だと思います。すごくよく覚えています。

──兄弟役として組まれていかがでしたか? お互いの印象は?

小林:大谷さんとは前の作品でも一緒だったんです。

大谷:直前だよね。

小林:それで、前から、大谷さんは父性のある人だなと思っていて。

大谷:え、いつも毒づいてるじゃん!

小林:違う、違う!

大谷:いつもは「大谷さんは人に興味あるんですか?」とか言われてますから。

小林:いじりですよ(苦笑)。今言っている父性のほうが本当です。現場でコーヒー飲みながら、父性ありますねとか言えないじゃないですか!

大谷:ははは。

小林:その父性というのを、『ゼニガタ』の試写を観たときにも感じたんですよ。それがなるほどなと思ったんですよね。包容力というか。

──確かにそうですね。大谷さんは、小林さんはどんな方だと?

大谷:印象?

小林:僕の印象。

大谷:直前に撮った作品ではほぼ絡みがなかったんです。ただすごく演技がしっかりされていたのと、声が魅力的だなと感じていました。それから全くNGを出さないんです。完璧に作ってくる人だなと思いましたね。そして現場の居方を知っていて、どっしりしている。そういう印象だったので、脚本の静香とはイメージが違ったというか。弟が誰なのかというのは気になりましたが、どうもすごく背が高いと。

小林:そうですね。

大谷:脚本だと、怪物くんとかそういうもう異次元の世界のキャラクターのようだったんですよ。不死身で。柔道の篠原さんいますよね。まさか、篠原さんか?とか思ったりして(笑)。小林さんだと知ったときは意外でしたけど、今回はがっつり芝居をできるという喜びを感じました。それに兄弟役ということで、僕はあまり会ってすぐにコミュニケーションが取れるタイプでもないので、小林さんでうれしかったです。お互いに簡単な役柄ではありませんでしたが、兄弟の関係をすごく大事にしてくれて、このシーンはどのくらいの距離感なのかといった話をしたり。

──撮影中におふたりで役に関するお話を?

大谷:はい。パートナー的なポジションだけど、仲のいい関係性でもない。互いに一物抱えながら、一緒に飯を食う。そういうときって、普通に話すのかなとか。キャリアもあるし、シーンを見る観点がすごくしっかりしている方なので、弟だけど、僕は胸を借りる感じでやっていました。

小林:兄弟という意味でいうと、僕は一方的に、大谷亮平フェイスだと思ってるんです。いや、例えば人の顔を大きく4つくらいのカテゴリーに分けたら、僕もどちらかというと濃いほうなので大谷さんカテゴリーに入るかなあと(笑)。兄弟の映画ってたくさん作られていますけど、中には前提として、え、これが兄弟ってあり得ないだろうっていう作品もあるじゃないですか。そこは、この作品に関しては大丈夫だろうと。自信がありますね。

大谷:うーん、ギリだね(笑)。

小林:あははは! ギリじゃなくあれ!

──いい空気感だったようですね。

小林:カメラが回っていないときの距離感ってすごく重要だったりするんですよね。大谷さんが役者さんとの距離感をきちんとされる方だし、すごく心地よかったですね。

──この作品を通じて、お金に対するイメージなどは変わりましたか?

大谷:意識は特に変わらないですね。ただまあ、実際にこういう世界もあるんだろうなと。それによって泥沼に落ちていく人はいるし。現実の事件でも、結構お金に絡んだものは多いですよね。だからあながち『ゼニガタ』の世界も、完全にフィクションかというとそうではない。やっぱりお金は人を狂わすんだなと思いますね。

小林:僕はお金に対して、使うとか貯めるとか、数少ないイメージしか持っていませんでした。結局お金で何か欲望を満たすということが基本だと思っていたんですけど、静香を演じてみたことで、違う面を感じました。この人はお金で自分を守っているというか、人を遠ざけるというか、安心を得るというセリフもありましたけど、その言葉に尽きるなと。お金によって自分のテリトリーを作って生きている人って確かに多いよなと、役柄を通して、この作品を通して思いましたね。

──完成した作品をご覧になって、好きだったシーンを教えてください。

小林:僕は、佐津川愛美さん演じる珠とのトンネルのシーンのあと、大谷さんが歩いているシーンが好きです。こういう理由でということは説明できないんですが、映画的なショットで素敵だなと感じたんです。これから何か起こるという匂いを帯同していて。かっこいいなって。

大谷:僕はやっぱりあのアーケードのシーンと、あとは最後の静香との横並びに座っているシーンですね。セリフを言うまでめちゃめちゃ間を空けたんです。なんとなく。本当に気持ちで向き合えたシーンだった。夜のシーンでしたけど、小林くんの表情をよく覚えているし、とても印象的でした。

──最後に、大谷さん、主演作を撮り終えてみての実感を教えてください。

大谷:正直、それがあまりないんです。主演どうこうという気持ちが。試写で、自分がかかわっていないシーンを初めて観ましたが、本当にみんな素晴らしくて。没頭して暴れまくってくれていた。僕個人としては、日本でのスクリーンに映るというのが初めてだったので、多少浮ついた気持ちもありましたが、とにかく本当に各々が各ポジションで頑張ってくれたんだなと。だから、自分がやり遂げたという気持ちよりも、作品を観て、すごく周りのみんなのことを心強く感じました。

映画『ゼニガタ』は5月26日(土)公開。初日舞台挨拶も決定している。
http://www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/topics/20180510_15054.html

(C)2018「ゼニガタ」製作委員会

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