映画『あん』にちなんだどら焼き!?桜舞い散る季節にぴったりの「塩どら焼き」食レポ!

シネマズ公式ライターの東京散歩ぽです。
昨年、公開され3月16日にはブルーレイとDVDが発売される河瀬直美監督作品で樹木希林さん、永瀬正敏さん主演の映画『あん』。

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樹木希林さん演じる元ハンセン病患者の徳江さんが作った美味しい『あん』と永瀬正敏さん演じる、どら焼き屋「どら春」の店長・千太郎の人間ドラマが印象的な本作品。
今回は作品のロケ地でもある、東京都東村山市で創業90年の和菓子の老舗「御菓子司 清水屋」さんで映画にちなんだ「どら焼き」があるとの情報を聞きつけ、お話を聞いてきました。

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東村山市の和菓子店「清水屋」

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今回伺ったのは西武新宿線、東村山駅西口から徒歩9分の和菓子店、清水屋さん。

清水屋ご主人の松本國秋さんに映画『あん』と、どら焼きについてお話を伺ってきました。

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──清水屋さんはいつ頃から始まったんですか?

松本國秋さん(以下:松本):はっきりしたことは分からないんですが、大正末期から昭和初期にかけての創業で私で三代目です。和菓子だけで90年近く営業しています。

──映画『あん』は東村山市でロケしたそうなんですが、撮影はご存知でしたか?

松本:撮影自体は隠密に撮影したらしく、全然知りませんでした。

──劇中で樹木希林さん演じる徳江さんが朝早くから『あん』作りをする様子が描かれたましたが、清水屋さんはどうされてるんですか?

松本:どら焼きの『あん』は2日前から仕込みをはじめています。
まず小豆をお湯に浸けて一晩置いておきます。翌日、小豆を炊いて、砂糖入れてもう一晩置きます。砂糖が豆に浸透するために一晩おきたいんですよね。そしてその翌日にもう一度炊き上げて冷まして出来上がりです。

──ということは出来上がりまで3日間かかるんですね!かなり手間暇かかるんですね。
やはり、そこまでしないと美味しい『あん』は出来ないんですか?

松本:そうですね、味わいが全然違います。
今、ちょうど小豆を炊き終えたところなんで見てみますか?

清水屋さんの工房へ

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清水屋さんのお店の裏手にある工房を特別に拝見させていただきました。『あん』を煮るための煮炊き釜や生地を焼く銅板、蒸し用の木枠もあって、まさに老舗和菓子屋さんの工房ですね。

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──ひと晩、水つけた小豆を寸胴で炊いたところを見させてもらいました。
これは落としぶたですか?

松本:炊いてる時に豆が踊らないように落としぶたをしてます。なるべく小豆の粒を残すように炊き上げたいので、これをしてないと豆が割れちゃうんです。今は炊き終わって3時間から4時間ほど蒸らしている段階です。そのあと、水を替えて灰汁を取っていきます。

そのあと、煮炊き釜で砂糖を入れて煮て、冷ましたら『あん』の完成です。

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──素材にもかなりこだわっているそうですね。

松本:小豆は北海道十勝産の「豊祝」という小豆です。
「豊祝」は北海道産小豆の中でも大きい豆を選りすぐった高級品なんです。
皮は薄いけど煮くずれしにくく、つぶあんにするには最高の小豆です。

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生地を作る小麦粉は地元、東村山の地元農家から仕入れた小麦粉(中力粉)のブレンドを使用。
普通の薄力粉と粘りが違ってくるそうです。

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生地に入れる砂糖は沖縄県原産の本和香糖(ほんわかとう)。沖縄のサトウキビから作ったミネラルたっぷりの砂糖です。

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現在、清水屋さんはこちらのどら焼き機でどら焼きの皮を焼いています。

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実はこの機械を入れたのは最近で、それ以前は映画そのままにこちらの銅版で一枚一枚焼いていたとか。

生地を焼いているところを再現していただきました。

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──生地を焼く時の火加減は難しいですか?

松本:大判焼きとかは生地に入れる砂糖が少ないから焦げにくいけど、どら焼き用の生地は多く砂糖が入ってて焦げやすいから、ある程度火が強くないとダメだし、弱すぎてもダメ、その加減が難しいですね。

映画『あん』にちなんだ「東村山塩どら」

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清水屋さんのどら焼きはスタンダードな「願かけどら焼き」(170円)と「栗どら」(220円)「かふぇおれどら焼き」(175円)、そして昨年、映画公開時期に発売された「東村山塩どら」(170円)の4種類が販売されています。

──塩どら焼きは劇中で千太郎さんが試行錯誤しながら作ってたどら焼きですよね。「東村山塩どら」を作った経緯を教えてください。

松本:地元で映画『あん』を盛り上げる会というのがあって、その会に入ってた仲間からの話で映画が公開される2週間前に試作をしてみたのが始まりです。

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──劇中では「あん」に塩を入れてみたものの、なかなか思うような味わいにならず、悩む千太郎さんの姿が描かれてましたよね。

松本:うちも、かなり試行錯誤を繰り返して試作しましたが、どうしても『あん』に塩を入れるとしょっぱくなりすぎることから『あん』自体には塩を入れず、桜の塩漬けに塩味を残すことにより、ちょうどいい塩梅の塩どら焼きが出来ました。

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↑桜の塩漬けはよく洗って一度塩抜きし、再度天然塩で味付けしている

──どら焼きの皮に桜の塩漬けを入れるアイデアはご主人が考えたんですか?

松本:原作本を読んだ仲間が「桜が舞っている中、どら焼きを焼いている」という話を聞いて「じゃあこれ(桜の塩漬け)かい?」という感じで入れてみました。もともと、桜餅などで桜の塩漬けは使ってましたが、どら焼きに入れるという発想は今までなかったです。

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松本:そのどら焼きを映画『あん』を盛り上げる会に持っていったところ、好評を得て発売することになりました。最初は皮の上に直接、桜の塩漬けを乗せてたんです。でもそれだと落ちちゃうから、今は生地を焼く時にまず銅板に桜の塩漬けを乗せて、その上から生地を流して焼いています。

──なるほど!映画本編も桜が幾度となく登場して、ひらひら舞う桜の花びらがすごく印象的ですよね。

清水屋さんの『あん』

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↑3日間かけて作った清水屋さんの『あん』がこちら。

十勝産の小豆から作った「粒あん」は粒が大きめで、一粒一粒煮崩れすることなく残った小豆からは最上級の照りが。

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ご主人に実際にどら焼きを包んでいただきました。

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左手の手の平にどら焼きの皮を縦に二つ並べて、竹のヘラで『あん』をすくい、片方の皮に乗せてから優しく両手で包み込んでいきます。

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出来上がったばかりの「東村山塩どら」がこちら!特別に試食させていただきました。

「東村山塩どら」いただきます!

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ふっくらとした柔らかな皮を割ってみると、ほっこりした「粒あん」がたっぷり入っています。
食べてみると皮の真ん中に入った桜の塩漬けの塩味が一瞬だけ効いて『あん』の甘味をより一層引き立たせます。

これは美味しい。

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ご主人に特別にいれていただいた緑茶と一緒に食べると最高の味わい。日本人に生まれて良かった。

映画公開後はこの「東村山塩どら」を買いにお客さんも増えているらしく、今ではどら焼きの中でも「東村山塩どら」が一番の売れゆきなんだとか。

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映画『あん』は桜の季節から始まる物語。映画にちなんで作られた「東村山塩どら」は清水屋さんの手間ひまかかった最高の『あん』が入った桜舞い散るこれからの季節にぴったりなどら焼き。東村山の新たな名物になりそうですね。

「映像美が素晴らしいよね。」と清水屋のご主人も絶賛の映画『あん』は3月1日現在もロングラン上映中。3月16日にはブルーレイとDVDが発売されます。

(取材と文:東京散歩ぽ

(撮影協力:

御菓子司 清水屋 お店情報

住所:東京都東村山市野口町2-4-1(地図
電話:042-391-0172
営業時間:9:30 〜 18:30
定休日:水曜日


    ライタープロフィール

    東京散歩ぽ

    東京散歩ぽ

    東京散歩大好き夫婦が東京新名所、イベント、グルメスポットを中心におすすめを紹介するブログ「東京散歩ぽ」を主宰。20代の頃は映画監督を目指し、製作現場での助監督経験有り。一番好きな作品はチャップリンの「街の灯」。邦画から洋画まで幅広く鑑賞します。映画の舞台になった東京のロケ地巡りをはじめ、過去作品から紐解く最新映画の見どころをお伝えします。

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