映画ビジネスコラム

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2016年04月26日

『ズートピア』と『ジャングル・ブック』で攻めるディズニー!全米興収レポート(4/22〜4/24付)

『ズートピア』と『ジャングル・ブック』で攻めるディズニー!全米興収レポート(4/22〜4/24付)

全米興収ランキング(4/22〜4/24付)


1『ジャングル・ブック』(→)
2『スノーホワイト/氷の王国』(New)
3『Barbershop : The Next Cut』(↓)
4『ズートピア』(↑)
5『The Boss』(↓)
6『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(↓)
7『Criminal』(↓)
8『My Big Fat Greek Wedding2』(↓)
9『Compadres』(New)
10『Eye in the Sky』(→)
(速報値/Box Office Mojo参照)

先週に引き続き、ジョン・ファブロー監督の『ジャングル・ブック』がV2を達成。2週目の週末興収は6000万ドルほどで、これは歴代15位の数字。現在歴代22位にいる『デッドプール』の2週目が5600万ドルだったことを踏まえると、最終興収ではそれを上回ることはほぼ間違いなく、4億ドルの壁を超えることも夢ではなさそう。すでに国内だけで制作費は回収しており、今週中には2億ドル突破も間違いない。

ジャングル・ブック


(C)2016 Disney Enterprises,Inc.All Rights Reserved.



2位に初登場したのは、4年前のヒット作『スノーホワイト』の続編『スノーホワイト/氷の王国』。邦題ではスノーホワイトの名前が中心になっているが、前作でルパート・サンダース監督との不倫騒動に見舞われたスノーホワイト(クリステン・スチュワート)は今回は降板。原題が『The Huntsman: Winter’s War』なので、主人公はクリス・ヘムズワースというわけだ。

いくら『ジャングル・ブック』がサプライズ大ヒットを遂げているといえども、初週末2000万ドルはかなり寂しい出足となった。最終的に1億5000万ドルを記録した前作は、初週末で5600万ドル。今回はその半分にも満たないどころか、ほとんど3分の1の数字というわけだ。世界興収ではすでに8000万ドルを記録しており、1億1500万ドルの制作費の数字上の回収はできるとはいえ、実質的には赤字になる可能性も否めない。

同じく今週初登場で9位にランクインしたのは、メキシコの人気俳優オマール・チャパーロと、『ゾンビワールドへようこそ』の新進俳優ジョーイ・モーガン共演のアクションコメディ『Compadres』。批評家の評価は散々とはいえ、メキシコ映画の中規模公開でここに名を連ねたのは大健闘といえよう。ほぼ同じ規模で今週公開された、トム・ティクヴァ監督、トム・ハンクス主演の『A Hologram for the King』を上回っただけでも金星である。もっとも、確定値では若干の順位変動もあるかもしれないが。

その『A Hologram for the King』はトム・ハンクス主演作にしてはあまり注目されていないことが気にかかる。初週から大々的に公開される大作映画か、後々超拡大公開を見据えて小規模公開で賞レースを狙う作品が最近続いていたため、オープニング400館というのはどうにも中途半端なスタンスに見える。『クラウド・アトラス』でタッグを組んだティクヴァ監督とハンクス。1館あたりのアベレージ興収を比較してみても、近年のどの作品よりも下回っているどころか、その『クラウド・アトラス』をも下回っているのだから、少々物足りなさが残る。

他の新作では、イタリア映画『Tales of Tales』が2館のみの公開ながらまずまずの滑り出し。マッテオ・ガローネ監督作品はこれまで『ゴモラ』が150万ドル、『リアリティー』が7万ドルと、一長一短ではあるが、本作はその2本と比べてもアベレージは下回っているようだ。とはいえ、ちょうどイタリアのアカデミー賞であるダヴィッド・ディ・ドナテッロで監督賞をはじめ7部門を受賞した本作。今後息の長い興行を期待できるだろう。

他の作品に目を向けてみると、日本でも順調な滑り出しを見せた『ズートピア』は、先週比80%を維持し、速報値ではランクをひとつ上げた。一方で、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』は先週比60%と、下降も落ち着いてきたが、来週あたりには『ズートピア』に再び追い抜かされるだろう。

また、4週目にして上映館数を増やしてきたドン・チードル監督・主演の『Miles Ahead』、リチャード・リンクレイターの『Everybody Wants Some!!』は勢いを増し、今後ベストテンに食い込んでくることもありそうだ。

来週はベストテンに大きな変動をもたらしそうな新作が3本公開される。ニューラインシネマ製作の『Keanu』は、猫が主人公のコメディ映画。しかし、可愛い猫というよりは、ストリートギャング風の猫たちの活躍を描いており、アメリカでは比較的受けそうな予感が漂う。また、日本製ゲームのフルCGアニメ化である『ラチェット&クランク』にも注目。脇を固める声優陣がポール・ジアマッティやシルヴェスター・スタローンら、なかなかの豪華メンバー。

さらに、毎回安定したヒットを飛ばすゲイリー・マーシャル監督の最新作『Mother’s Day』も公開。こちらもジェニファー・アニストン、ケイト・ハドソン、ジュリア・ロバーツという豪華キャストの共演に注目が集まっている。

この3作を相手に、『ジャングル・ブック』が快進撃を続けることができるのか、楽しみである。

(文:久保田和馬)

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