(C)2017「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会
2017年5月27日(土)公開の映画『ちょっと今から仕事やめてくる』を観てきました。
早速ですが、号泣する映画でした……。
ブラック企業で働く僕を救ってくれたのは謎のヤマモトだった
映画『ちょっと今から仕事やめてくる』は「長時間労働」「パワハラ」「ブラック企業」など現代社会で問題となっている重いテーマが題材となっています。
ブラック企業で働く青山隆(工藤阿須加)は、日々の長時間労働とパワハラで疲弊していた。そんなある日、駅のホームで電車にひかれ、自殺しようとするが、すんでのところで青山を救ったのは、幼なじみと名乗るヤマモト(福士蒼汰)だった。
青山の記憶にはヤマモトという名前の人物はいないが、テンションの高い関西弁で話すヤマモトと出会い、過ごす内に青山は本来の明るさと元気を取り戻し、仕事もうまくいくようになってくる。
そんなある日、ふとしたきっかけで青山がヤマモトについて調べると、ヤマモトは3年前に自殺していたという事実を知る。
吉田鋼太郎の上司役ははまり役!こんな上司がいたら怖すぎ……
この映画は工藤阿須加、福士蒼汰のダブル主演となっています。
青山役の工藤阿須加は爽やかな印象があります。今作では爽やかさはあるものの、ブラック企業に勤め、心が弱っている青山の内面を非常に表現し切れていたと思います。
(C)2017「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会
特に上司役の吉田鋼太郎からのパワハラを受けている時の表情には同情せずにはいられませんでした。
また、ヤマモト役の福士蒼汰のハイテンションな関西弁に青山は圧倒されていましたが、みているこちらも同じ気持ちになりました。近作の『無限の住人』ではクールな無敵剣士を演じていましたが、その真逆のギャップがありますね。いつも笑顔のヤマモトですが、その上には秘密が。その秘密が明かされた時、ヤマモトが青山を助けた理由がわかります。
爽やかな主役2人もいいですが、映画を際立たせているのは青山の上司役である吉田鋼太郎ではないかと思います。
パワハラ、ノルマの強要、プレッシャーをかけたりするその言動はもはや鬼としか思えないぐらいです。こんな人本当にいるの?と思いますが、吉田鋼太郎が演じると本当にそういう上司がいそうな気がしてならないという気持ちになります。
(C)2017「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会
この映画を観終わった後には大切な人を思い出したくなります
劇中、ヤマモトが青山に対して「人生は誰のためにあると思う?それはお前を大切に思ってる人ためだ」と諭します。
この言葉を聞き、青山は遠方に住む自分の家族に会いに行きます。そして、家族の前で今まで親に対して反抗的だったり、親不孝なことをしてきた自分に対して謝ります。
その後の家族のやり取りは涙なしでは観られません。
周りに観ていた人から涙する声が。
(C)2017「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会
テーマとしては重い話ではありますが、この映画は「人生とは?働くこととは?」に対する1つの答えがあると思います。自分の人生は誰のためにあるのか?というヤマモトが問いかけた問いに対しても考えてしまうと思います。
僕は青山と同じで遠方に実家があるので、なかなか会えない家族を思い浮かべました。
自分の見えないところで誰かが自分を思ってくれている。それが家族なのか、恋人なのか、友達なのかは人それぞれですが、この映画を観終わった後には自然とその人のことを思い浮かべてしまうでしょう。
そして、これは青山視点の物語だけの話ではないとも思います。
大切な人がいたら、ちゃんと気にかけてあげることも大切。
辛い時には青山のように自分から言えない人もいる。
だから、ヤマモトのように声をかけてあげられる存在にもなることも大切ではないかと思いました。
(文:澤田孝志)