『リリーのすべて』トム・フーパー監督インタビュー、最初からリリー役はエディが最適と感じていた

『リリーのすべて』ジャパンプレミアで来日中のトム・フーパー監督(以下:トム)に、エディ・レッドメインをキャスティングした経緯や作品のどこに惹かれたかなどをお伺いしました。

トム・フーパー


―毎回難しい題材を扱われていますが、今回はどのような経緯でこの作品を監督することになったのですか?この作品のどのような点に魅力を感じたのでしょう?

トム 素晴らしい脚本に惚れ込んだところから全てが始まりました。ルシンダ・コクソンが2008年後半に書いた脚本で、当時私は『英国王のスピーチ』の準備の初期段階。美しい脚本に深く感動したし、読んでいる間に3回は泣きました。それから7年間ずっと映画化したいと思い続けて、やっと実現しました。



―特に、リリーの感情を丁寧に描いていますね。

トム この作品は素晴らしいラブ・ストーリーで、私自身とても感動しました。どんな結婚生活や人間関係であれ、変化はつきものだと思います。この作品で描かれている結婚生活では特に、とても大きな変化が起こったのです。そんな変化に対して2人が真摯に向き合う様は、思いやりや優しさにあふれていて、とても感動的なのです。



―製作の初期段階では、リリー役に女優を起用することも考えましたか?

トム 私が作品に参加する前の段階では、女優の起用も検討されていたようです。私は最初からエディ・レッドメインがいいと思っていたのですけどね。もちろん、女優の起用であれ何であれ、あらゆる可能性について柔軟な姿勢でいましたけど、私は最初からエディが最適だと感じていました。



―エディがベストだと考えた理由は?

トム エディと初めて一緒に仕事をしたのはヘレン・ミレン、ジェレミー・アイアンズ出演の「エリザベス1世 〜愛と陰謀の王宮〜」で、当時彼は22歳。このHBOのミニシリーズの中で、ヘレン・ミレン演じるエリザベス女王に対する反逆罪により、エディが死刑宣告を受けるシーンがありました。その時、彼は驚くべき感情の変化を表現してみせましたよ。あのエディの演技はすごくリアルだったし、彼がいかに素晴らしい俳優であるかに気づかされたのです。
それから長い間、エディには私の作品で主役を演じてほしいと思っていました。その後、『レ・ミゼラブル』で彼はマリウスを演じました。彼が「Empty Chairs at Empty Table」(邦題「カフェ・ソング」)を歌うシーンは最高でしたよ。
エディがリリー役に最適だと考えた理由は、彼の並外れた演技力、あとは、彼の中にあるフェミニンな要素だ。彼はマーク・ライランスの(シェイクスピア劇)「十二夜」でヴァイオラという女性役を演じた経験があるから、そういったフェミニンな部分を追求してみるのも彼にとって興味深い経験になるんじゃないかと思ったのです。



―実際にリリーの姿をしたエディを見て、どのような印象を持ちましたか?まさにあなたが期待した通りのリリーでした?

トム 映画の中でリリーが初めて女性として外の世界に出た時、彼女は少し居心地が悪そうでした。それと少し似ているところがあって、エディも最初にリリーになった時は役に慣れようと努めていました。でも、これはエディと私が時間をかけて話し合ったことなんだが、彼がリリーを演じるというのは女性のマネをすることではなく、彼の中に存在する「女性」を解き放つということなのです。
だから、リリーが自分の中にある女性性をあらわにしたのと同様、エディの中にある女性的な部分を表現していくことにした。外見的なプロセスではなく、すでに心の中に存在しているものを表に出すという行為だったのです。



―観客にはどのようなメッセージを届けたいですか?リリーのどのような面を感じてほしいと思いますか?

トム そうですね……最高の自分になる上での障害物に打ち勝つ最善の方法、でしょうか。
自分の本当の姿を見つけるベストな方法は、誰かに愛されることです。
誰かに深く愛されることで、自分の本当の声を見つけることができると思います。

『リリーのすべて』は19日から全国公開中。

(編集:波江智)

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