『キャッツ』CGに関する前評判は本当?実際に観に行った結果!



© 2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.



日本でも劇団四季によるロングラン公演が行われ、多くの観客を魅了した名作ミュージカル『キャッツ』。その待望の実写映画が、ついに1月24日から日本でも劇場公開された。

舞台に登場する猫のメイクや衣装を、最新のCG技術でリアルなものにした結果、アメリカ公開時に観客から不評を買ったとのニュースが日本でもネット上を賑わせていただけに、いったいどんな映像に仕上がっているのか? 個人的にも非常に興味のあった本作。

予告編を観た段階では、どうしても人間にしか見えない猫たちの姿に、正直期待よりも不安の方が強かったのだが、果たしてその内容と出来は、前評判通りのものだったのか?

ストーリー


満月が輝く夜。飼い主に捨てられた、若く臆病な白猫ヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)が迷い込んだのは、ロンドンの片隅にあるゴミ捨て場。そこで出会ったのは、ぐうたらな猫、ワイルドな猫、お金持ちのグルメな猫、勇敢な兄貴肌の猫、そして不思議な力を持つ長老猫など、いずれも個性豊かな猫たちだった。
彼らとの様々な出会いの中で、次第にヴィクトリアも自分らしい生き方を見つけていく。
そして今夜は、新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜。
一生に一度、一夜だけの特別な舞踏会の幕が開かれるのだが…。


予告編




実際に観た結果は?



劇場の予告編で観た限りでは"猫の擬人化"というよりも、単に人間がメイクをして全身タイツを着ているような印象が強かった本作。

実際、アメリカ公開時の不評を受けて、急遽猫たちのCGを修正するとのニュースがネットで流れただけに、劇場で本編を観るまで不安を感じていたのも事実。



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実際に観た結果を言うと、確かに映画の序盤の方は、リアル過ぎる猫のCGが観客に違和感を与えることは否定できない。

そもそも、何故顔の部分だけ人間のままなのか? 鑑賞前はそんな疑問を抱いていたのだが、物語が進むに連れて、歌やダンスの素晴らしさに意識が集中するので、次第にその辺は気にならなくなった。

ただ、むしろ問題だったのは、登場する猫たちと周囲の家具や部屋の大きさのサイズ感が、全く合っているように見えない点だろう。特に、玄関のドアから猫たちが出入りするシーンでは、どうしても猫の大きさがドアに比べて小さすぎるように思えてしまい、この部分にはかなりの違和感を覚えたと言っておく。

ダンスと歌の迫力に圧倒される!



あまりにリアルな猫のCGよりも、映画の冒頭から繰り返される"ジェリクル"という固有名詞や、野良猫たちにとって特別な一夜の設定説明など、『キャッツ』の世界観に慣れるまでの前半30分に、正直戸惑ってしまった本作。

もちろん、そんな戸惑いは冒頭だけであり、後はただ、スクリーン上に次々に登場する素晴らしい歌やダンスが、観客を魅了することになる。

特に、悲しい境遇のグリザベラが歌う名曲「メモリー」や、その圧倒的なパフォーマンスで観客を魅了する、圧巻のタップダンスシーンは必見!



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ただその反面、歌やダンスのクオリティに比べて、ドラマ部分の弱さが目立つと感じたのも事実。

例えば、マジック猫のミストフェリーズの見せ場となるシーンが、あまりに唐突で説得力に欠けるのでは? そんな印象を受けたことは否定できない。

加えて、マキャヴィティの能力の背景や、選ばれた猫の行く先など、本編中の描写や説明だけでは理解し難い部分があるため、野良猫たちの物語として映画を観るよりも、むしろ世界最高峰のダンサーたちのパフォーマンスを観るための作品と考えた方が楽しめるのでは? そんな想いが強かった本作。

ネットやSNSでの情報に不安を抱いている方は、ここに登場するのは猫ではなく、あくまでも猫を演じる人間! そう思って鑑賞すると、ダンスや歌の素晴らしさを素直に楽しむことができるだろう。

最後に



1981年のロンドン初演以来、現在まで驚異的なロングラン公演を続けている舞台劇の実写化だけに、映画独自の演出や振付が用意されている点も、本作の大きな魅力となっている。



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特に、舞台版では脇役だったヴィクトリアを主役にすることで、見知らぬ世界に迷い込んだ彼女と、仲間から仲間はずれにされているグリザベラとが心を通わせる展開に、観客がより共感できるのは見事!

CG技術への過度な依存が招いた失敗作か、それとも一流ダンサーやアーティストの素晴らしいパフォーマンスが楽しめる最高のミュージカル映画か?

その評価は、実際に観た方の判断にお任せするとして、個人的には舞台版を未見の観客にも充分に楽しめるミュージカル映画に仕上がっている、そう思えた今回の実写映画版『キャッツ』。

少しでも興味があって鑑賞を躊躇されているなら、まずは劇場で鑑賞してみるのがオススメです!

(文:滝口アキラ)

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