弘兼憲史「獺祭の挑戦」冒頭無料配信!〜中興の祖・桜井会長対談とともに〜

アニメそして島耕作とコラボ

獺祭は人気アニメ作品の中に登場したり、弘兼さんが描く人気キャラクター・島耕作とのコラボも行われたりしている。全国区の人気を獲得するにあたりこうした登場は有効だった。当時のことを述懐する。

──弘兼先生、獺祭を最初に飲んだのは?

弘兼:西麻布の居酒屋みたいなところで、(弘兼さん出身地の)山口県のお酒ですよ、と出されたのが獺祭で。最初は名前が読めなかったですね。飲むと「ああ、結構おいしいなあ」と思って。同じ山口県だし、いろんなところで獺祭美味いよと言って回ったんですけれど、そういう人が他にいっぱいいたと思うんですよね。山口出身の東京の人がね。

桜井:山口県の人が語り部になってくれたのは大きいですね。エヴァンゲリヲン(「エヴァンゲリヲン新劇場版:序」=2007年など。庵野秀明監督は山口県出身)なんかもね。なんでうちの酒が出てきたの!? なんて感じでしたけれどね。

──嬉しいものですか?

桜井:私は嬉しかったですよ、それは、本当に。

実はエヴァンゲリヲンの前に、キューティーハニー(2004年)の実写版に出てきたんですよ。庵野さんの監督だったんですけれど、そこで出てきていたんです。

だからエヴァンゲリヲンのときにも、もしかしたら獺祭を使ってくれるかな、という予感はありました。

──弘兼先生、桜井一宏さん(桜井会長の子息・現社長)とお会いしたのは?

弘兼:島耕作の取材でニューヨークのパナソニックアメリカに行ってたんです。そこで、アメリカで起業家を目指している日本の若者が沢山いるアメリカンドリームクラブでの講演を依頼されました。そのときにNYで獺祭の宣伝をするためにニューヨークに来ていた一宏さんとお会いしたんです。一宏さんは同じ岩国出身で、早稲田大学の後輩で。

桜井:獺祭のハッピに島耕作の絵を描いてもらっていて、それを自慢げに持って帰ってきていましたよ(笑)

──当時の獺祭はNYでは?

弘兼:これから酒屋さんに持っていく段階でしたね。

──ちゃんとした日本食・日本酒を広めなければいけない。であればその日本酒って何かという話になる

弘兼:フランスでは獺祭が評判良かったんで、これは売れるぞと思った酒屋さんがそんなに美味しくない日本酒までいっぱい持ってきて、また売れなくなった。

桜井:販売店が主役になっちゃうと、自分たちの言うことを聞く酒造の製品を持っていこうとするでしょ。

──そこはまた難しい

弘兼:獺祭は美味いと思ったけどこの日本酒はだめだなということだと日本酒全体の評価が下がります。

桜井:フランス人といえども、まずい日本酒はわかりますよ。美味いかまずいかはわかります。

弘兼:彼らは利きワインみたいなのをやりますよね。最初は嗅いだりして。そこはワインほど香りが立たない日本酒は弱いところですからね。

──獺祭は香りが立つじゃないですか

弘兼:ワインの方がブーケがふわあっと立ちます。フレーバーをつけるような方法が発見できれば、香りの強い日本酒ができるのでは。

桜井:できるかどうかは数を試すことだと思いますよ。いくつもやってみる、工夫してみる、実験してみる。そこから出てくるとおもいますけどね。やっぱり試行錯誤の中からしか出てこないんですよ。

──そういうチャレンジ、失敗を恐れないというか、チャレンジしていかないと良い物を作れない

桜井:やっぱり、やってみないとだめなんですよ。やってみなきゃわかんない。やってみてそこから微修正する、やり方を変えていく方が成功する確率が高いんです。


    ライタープロフィール

    奥野 大児

    奥野 大児

    現代ものやSFなどの映画はあまりわからないけれど、時代劇と海外ドラマはなぜか見ている1971年生まれのフリーライター・ブロガー。とりわけ必殺シリーズおよび「鬼平犯科帳」「御家人斬九郎」の ・悪人が悪人を裁く ・良い人も悪いことをすることがある ・松平家の御紋が通用しない といった設定が大好き。 映画の時代劇の映像の暗さを楽しむために、部屋を真っ暗にして堪能している。

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