「ドラえもん」シリーズは、四半世紀以上にわたって、日本の映画界を支えてきた。

■「役に立たない映画の話」

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(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2016

最初は「モスラ対ゴジラ」と2本立てだった。

先輩 「ドラえもん」シリーズの最新作「新・のび太の日本誕生」は見た?

後輩 いーえ。

先輩 なぜ、なぜ見ない!!??

後輩 あれはお子ちゃまが見るものでしょ?

先輩 貴様ぁ、「ドラえもん」シリーズを何だと思っているのか!? のび太やドラえもんを愚弄する気か!?

後輩 いや、そんなつもりはないし、「ドラえもん」シリーズが25年間、ずっとヒットを続けていることは知っていますよ。でも、さすがに映画館に行く度胸はない。

先輩 まあ実はオレもそうなんだけどね。だから社内試写は、毎年必ず一番乗りだぞ!!

後輩 自慢出来るこっちゃないでしょ?それ。そんなに面白いんですか?「ドラえもん」シリーズ。

先輩 面白い。というか、面白くなってきたように感じるよ。今度の新作「新・のび太の日本誕生」も大した作品になっているけれど、最近のシリーズの中では、もっと面白い作品がたくさんある。

後輩 なんでそんなに面白くなったんでしょうねえ?

先輩 「ドラえもん」シリーズは、2005年に1年新作の製作を休んで、声優陣の総入れ替えを始め、新しい戦略で映画製作を行うことを決めたのさ。それがうまく行ってるんだろうね。

後輩 そもそも、「ドラえもん」シリーズって、最初から今みたいにヒットしてたんですか?

先輩 最初に公開されたのは「のび太の恐竜」で、1980年3月。この時はなんと「モスラ対ゴジラ」との2本立てだったんだよ。

後輩 今だったら、マニアが喜びそうな2本立てじゃないですか(笑)。

先輩 この時リバイバルされた「モスラ対ゴジラ」は、漫画家の松本零士がポスターを描き、これらはゴジラの耳が描かれているので、そのあたりがマニアの話題になったぞ、当時。

後輩 なんで東宝は、ゴジラ映画を「ドラえもん」と2本立てにしたんでしょうねえ?

先輩 60年代あたりから、「東宝チャンピオンまつり」と題して、怪獣映画のリバイバルや、テレビアニメ、短編のお子ちゃま向け作品をパッケージした番組をやっていたから、「ドラえもん」もその範疇で考えたんだろうね。でも翌年からは、同じ藤子不二雄原作作品との2本立てになり、以後毎年春休みの名物番組になったというわけさ。

「ドラえもん」シリーズの、これまでの配収トータルは324.1億円、興収478億円をあげている。

後輩 これまで25年間も続いているってことは、やはりヒットしているってことなんでしょ?

先輩 そらそーだ。

後輩 今まで、いくらぐらい稼いだんでしょうねえ。

先輩 ここにデータがあるけど、1999年までは配給収入で数値を発表してたから・・

後輩 配給収入ってなんですかあ?

先輩 まあつまり、お客さんが払った入場料金の総額のうち、配給会社が取り分として徴収する金額だよ。略して「配収」と言う。対して2000年からはチケットの売上額全体を・・

後輩 興行収入って言うんでしょ?

先輩 その通り。これは「興収」って略すけどね。

後輩 先輩、今日、口くさいですよ。

先輩 あ、ほんと? 夕べニンニク料理食べたけど・・・って、ちがーう!そっちの「口臭」じゃなーい!!

後輩 ノリがいい先輩で、うれしいっす(笑)。

先輩 ともかく、「ドラえもん」シリーズは、1980年から99年までの25番組で、計配収324.4億円を上げていて、2000年からの興行収入ベースでは、全16番組で436.2億円上げている。堂々たるヒット・シリーズだよ。

「STAND BY MEドラえもん」が、シリーズの客層を拡大した

後輩 一昨年公開された「STAND BY MEドラえもん」も入ってますか?

先輩 うん。あれは夏休みに公開されて83.8億円という凄い大ヒットになった作品だけど、この映画が「ドラえもん」シリーズの客層を拡大したと言えるだろうね。

後輩 どういうことですか?

先輩 従来「ドラえもん」シリーズの主要観客とは、お祖父ちゃんまたはお祖母ちゃん+孫という層だったんだよ。長いことシリーズが続いているから、原作も含めて年長者にも知名度が抜群。しかも洋次にも安心してみせられる内容だからね。

後輩 「STAND MY ME ドラえもん」の場合はどうだったんですか?

先輩 この場合はお子ちゃまたちよりもむしろ、原作や映画で「ドラえもん」に接してきた、現在中高年になっている層、特に女性客が多かったらしいんだよ。

後輩 すると、母親の世代ってことになりますね?

先輩 そう。だから「ドラえもん」を見て感動した母親も加わって、今や「ドラえもん」シリーズのメインのお客さんは、親子三世代にまで拡大している。これは大きいよ。

後輩 長くやっていると、良いことがあるんですねえ。

先輩 オレも「ドラえもん」を見習って、三世代の読者を作るべく、頑張るよ(笑)。

後輩 うーん・・・それはちょっと・・・。

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(企画・文:斉藤守彦)


    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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