男たちの美しく麗しい世界を魅せる 『お江戸のキャンディー2』!

■「キネマニア共和国」

(C)「お江戸のキャンディー2」製作委員会

イケメンという言葉が巷で使われるようになったのは21世紀に入ってからと記憶していますが(昔はハンサムとか二枚目なんて言葉を使ってましたね)、その頃から男たちの容貌が以前よりかっこよく、というか美しくなってきたような、そんな気がしませんか?

最近のTV特撮ヒーローものや2.5次元系の舞台に出演している若手男優らを見るにつけ、そう思えてなりません。

かつては質実剛健こそが美徳とされてきた日本男児も、今では「美」そのものを求められる時代になって久しい……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.242》

そんなことを痛感させられてしまう驚異の映画『お江戸のキャンディー2 ロワゾー・ドゥ・パラディ(天国の島)篇』が現在絶賛公開中!

男しかいない100年後の世界
EDOワンダーランド!

『お江戸のキャンディー2 ロワゾー・ドゥ・パラディ(天国の島)』の話に入る前に、前作『お江戸のキャンディー』をご紹介しましょう。

今から100年後、深い森と川と滝に囲まれたEDOワンダーランドと呼ばれる小さな世界がありました。

そこは男しかいない世界です。

侍や町人はもとより、花魁も、芸者も、みんな男です。

そして大方、美しく着飾っています。

『お江戸のキャンディー』はそんなEDOを舞台に、美しき男たちの“真実の愛”を耽美に描いた映画で、2015年2月に公開されるや女性たちの熱狂的支持を集め、翌16年3月までロングランされるヒット作となりました。

出演は、真山明大、高橋ひろ無、南羽翔平、橋本敦など文字通りの人気若手イケメン男優がずらり勢揃い。そして吹越満、竹中直人といったオヤジ、いやベテラン個性派が脇を固めています。また、桃井かおりがそんな男たちの愛の世界を観察しながら、気だるくつぶやくかのようにナレーションを務めています。

監督は女優の広田レオナ。バレリーナ出身でもある彼女は、美に対しても非凡なセンスを持ち合わせており、ここでは『白鳥の湖』をベースに、ポップ・ロック・キャンディーのような映像世界を構築しながら、男たちを美しく、ひたすら美しく描出することに腐心したのでした。

この好評を受けて、広田監督が勢いに乗って作った第2弾が『お江戸のキャンディー2 ロワゾー・ドゥ・パラディ(天国の島)』です。

今回は前半が現代の下北沢、後半がEDOという二部構成になっているのがミソです。

下北沢のミニシアター「トリウッド」(7月15日より本作を上映します)で映画を鑑賞していた北沢白(栗原類)は、そこでいつしか自分がEDOの世界にいる夢を見てしまいます。

彼の親友・猛(荒牧慶彦)の兄で実家の居酒屋を継ぐことになっている龍(神谷リク)は、隣に開業したボーイズバーのオーナー六条(藤田富)の後ろにいた桔梗(染谷俊之)に心奪われます。

やがて下北沢で開催される祭りの日、白は白鳥太夫(栗原類・二役)の幽霊に誘われるかのように姿を消し、彼を探していた猛も、龍も、桔梗も、六条も姿を消していきます。

そして彼らが導かれた世界は……。

(C)「お江戸のキャンディー2」製作委員会

現代の下北沢と100年後のEDO、
二部構成で迫る第2弾

前作は男しか登場しなかったのですが、今回は前半で現代の下北沢が舞台になるので、女性キャストも登場しますが、当然ながらメインとなるのは美しい男たちの“運命の恋”です。

現代とEDOの彼らのメイクなどの違いも含めて、今回は2部構成になっている分メリハリが利いていて、個人的には今回のほうが見やすく感じました。

EDOの描出に関しては前回同様ですが、むしろ今回は下北沢の街をたむろする等身大の男たちを魅惑的に捉えているところに広田監督の演出の進化と妙味を感じましたし、街そのものも非常に活写されています。

(その伝では下北沢トリウッドでご覧になれば、映画観賞後に聖地巡礼したくなるような衝動にかられることでしょう)

また今回も吹越満や竹中直人が出演、加えて佐野史郎もお目見え。さらに今回のナレーションは小泉今日子が担当していますが、前作に負けず劣らず気だるげです。

それにしても、こういった男たちの美を崇め競う映画がごくごく普通に作られるようになったというのは、世の中が自由になってきたことの証かと思いつつ、やはり今の若手男優たちが少女漫画やアニメから抜け出してきたような、それでいてごく自然に映えわたる風貌あればこそでしょう。少なくとも戦後昭和あたりにこういった作品が仮に企画されてもそれを実践できる俳優はほとんどいなかったと思います。

まるで男たちの宝塚のような、でもそれって実は歌舞伎だって同じですから、ここに来て日本人は伝統ともいえる本来の美意識を取り戻したといえるかもしれませんね。

大島渚監督の名作『戦場のメリークリスマス』(83)のキャッチコピーは「男たち、美しく……」でしたが、およそ四半世紀ほど時が経ち、日本の男たちは本当に美しくなったようです。
(もっとも、そこに含まれない私のような輩も実は大多数なんでしょうけど!?)

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(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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