『演じ屋 reDESIGN』は優しい男たちと家族の愛に笑って泣ける大傑作!

©「演じ屋 reDESIGN」製作委員会

下北沢トリウッドで、2001年~2003年にかけて上映されて話題となった、全9話の連続ドラマ『演じ屋』。この伝説のインディーズ映画のスタッフ・キャストが再集結して、新たに2話のドラマとして制作された『演じ屋 reDESIGN』が、現在日本各地でロングラン上映中だ。

今回鑑賞したのは、そごう千葉店JUNNU内の「シアター駒鳥座」での公開初日。

初日のこの日は、主演の二人を含むスタッフ・キャストが、館内で宣伝活動と観客への出迎えをするなど、徹底した観客へのサービスが印象的だった。

公開初日に宣伝活動されていた、出演キャストの皆さん。左から、今井孝祐、倉垣まどか、笠原紳司。

こうした熱意が観客にも伝わり、現在口コミで評判が広がっている作品なのだが、果たしてその内容と出来は、どのようなものだったのか?

ストーリー

洋服のお直し屋「リデザインクローゼット」の店長トキオ(今井孝祐)は、20歳近くも年下の店員キヨカ(奈緒)に、淡い恋心を抱いている。ある日トキオは、キヨカが恋人らしき男・松田(笠原紳司)と、街中を歩いている姿を目撃しショックを受ける。しかも、松田には妻子がいることも発覚。キヨカのために二人の関係を終わらせようとするトキオだったが、二人の不思議な関係性、そして、キヨカが隠してきたある秘密と悲しい生い立ちを知ることになる。

出演キャスト陣の演技に笑い、泣ける!

主演二人の名コンビぶりに加えて、NHK朝ドラ『半分、青い。』での好演や、人気ドラマ『あなたの番です』のキレた演技で話題となった奈緒が、ヒロイン役で出演する点も話題の本作。

特に、20歳近く年下のキヨカに想いを寄せるトキオの役は、下手な役者が演じると生々しさが出て、観客の拒否反応に繋がってしまうのだが、演じる今井孝祐の絶妙な演技により、愛すべきキャラクターになっているのはさすが!

時にウザいほど相手のことを思って行動するトキオだが、その背景にある悲しい過去や、母親への想いが第2話の終盤で語られることで、彼の本当の姿が浮き彫りになる展開も、実に泣かせるのだ。

更に、演じ屋の松田を演じる笠原紳司も、与えられる役柄やシチュエーションに対して柔軟に対応する演技を見せてくれており、特に第2話で見せるコメディ演技は、トキオの弾けた笑いと好対照で実に見事!

もちろん彼ら以外にも、本作に登場する俳優陣の演技はどれも素晴らしく、それだけで観客が安心して作品世界に没入できるのだが、個人的には、倉垣まどか演じる陰で店を支える女性店員とトキオの関係性がどう発展するのか? この部分が非常に気になったと言っておこう。

この後に続く第3話では、松田の過去にまつわる重大な秘密が明らかになるなど、とにかく先の展開が早く観たい! そう思わせてくれる、この『演じ屋 reDESIGN』シリーズ。

優しい男たちが見せる”演じ屋”の見事な仕事っぷりは、ぜひ劇場で!

実は家族の絆と関係性を描く物語だった!

昨年公開された、同じ野口照夫監督による『劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』に通じる、”家族”という誰もが共感できる存在が描かれる点も、本作が多くの観客に支持される理由の一つとなっている。

特に、松田の家庭に隠された意外な秘密や、キヨカの家族が抱える複雑な事情には、血縁関係を超えた家族愛と、現代の多様化する家族のあり方が見事に描かれていると感じた。

同時に本作で描かれるのは、決して薄っぺらい類型的な登場人物ではなく、善と悪のどちらか一方に割り切れない、複雑な内面を持つ人々の姿であり、誰もが家族という身近な存在に支えられていたり、嫌な人間と思えた登場人物に贖罪と成長の機会が与えられる点も、鑑賞後の余韻をより深いものにしてくれるのだ。

ただ、第2話のラストで大きく動き出した物語を見る限りでは、今後は主人公たちに対抗する”悪”の登場が予想される、この『演じ屋 reDESIGN』シリーズ。

果たして彼らの運命はどうなっていくのか? その結果を見届けるためにも、まずはこの第1話と2話を劇場で観るのが、オススメです!

最後に

伝説のインディーズ映画の再スタートだけに、昨年11月30日からの2週間上映に続き、今年1月3日からは同じく下北沢トリウッドでの追加上映、更には千葉や大阪でも上映されるなど、多くの観客の支持によって公開規模が次第に拡大している本作。

年々劇場での公開本数が膨大になるため、どうしても観客の目に触れにくい作品が多くなってきているだけに、今回のような観客一人一人に映画を届けようとする努力こそが、今の映画宣伝に一番必要だと再認識させられた、この『演じ屋 reDESIGN』。

昨年公開された『メランコリック』に代表されるように、小規模な制作状況や公開規模の中からも、素晴らしい作品が観客に見出される例は確実に存在するだけに、本作が埋もれることなく、多くの人々の目に触れることを期待して止まない。

幸い、期間限定だが『演じ屋reDESIGN』第1話の前半部が、現在YouTubeで視聴可能なので、興味を持たれた方は、まずこちらをご覧頂ければと思う。

千葉での上映は2月2日まで、大阪「淀川文化創造館 シアターセブン」での上映は1月25日~1月31日なので、お近くにお住まいの方はこの週末に、ぜひ足を伸ばしてみては?

※出演キャストの来館予定や、今後の上映予定など、詳しい情報は以下の公式サイトからご確認ください。

■『演じ屋 reDESIGN』公式サイト:https://enjiya-redesign.com/

(文:滝口アキラ)

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    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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