『アナと雪の女王』はこんなにも深い!キャラクターがもっと魅力的になる7つの盲点

5:クリストフは一方的な価値観に囚われていた

クリストフは、アナに「出会ったその日に婚約するなんておかしいだろ」とツッコんだり、夏を恋しく歌っているオラフについて「誰かが(夏になると溶けてしまうことを)教えてあげないと……」とつぶやくなど、常識人的なところがありました。

だけど、クリストフはクリストフで、相棒のトナカイのスヴェンのセリフを“腹話術”で吹き替えるという変人っぷりを見せていました。ほかにもクリストフは「俺には友だちがたくさんいる」とも言っていましたが、その友だちとは“恋愛のエキスパート”であるトロールたちでしたね。

つまりクリストフには、“腹話術でクリストフ自身の気持ちを語るトナカイ”と、“うっとおしいくらいに恋愛観や結婚を押し付けてくるトロール”という、自分と同じ、または一方的な価値観を持つ友だちしかいないのです。

その狭い交友関係と一方的な価値観は、クリフトフがアナに言った「スヴェンに命令するんじゃない。俺が命令するんだ」というセリフにも表れています。しかし、この後すぐに(考えるよりも先に行動してしまう)アナはスヴェンに「ロープを引っ張って!」と命令しており、おかげでクリストフは助かることができていました。クリストフにとって、アナは新しい価値観を教えてくれる存在だったのでしょうね。

そして、クリストフはアナをお城に送り届けますが、去ろうとするのをスヴェンに止められます。この時にクリストフは腹話術を使わずに、「何を言っているのかさっぱりわからないな」と言っています。いままでスヴェンは勝手にクリストフに訴えていることを吹き替えられていましたが、ここではしっかり“自我”を持ち、親友のクリフトフを止めようとしていたのですね(だからでこそ、クリフトフは吹き替えをしなかったのでしょう)。

そういえば、映画の一番初めは“大人たちが湖の氷を切り出すという仕事をする”シーンであり、子どものころのクリスフトはその仕事を真似ようとしていました。彼は子どものころから“仕事一筋”だったのでしょう。
そのためか、大人になったクリフトフはサマーグッズを売っている小屋で「(冬になったおかげで氷が売れないから)俺の商売があがったりだ」など、自分の仕事を何よりも大切にしている物言いをしていました。

だけど、アナと出会った後のクリフトフは「俺の商売のことなんかどうでもいい」と言っていましたし、最後には壊れたソリの代わりの“最新モデル”を「返品不可よ!」ということでアナにもらうことも受け入れていましたね。やはり、クリフトフの一方的な価値観は、天真爛漫なアナのおかげで変わっていったのです。

アナと雪の女王 地上波初放送

(C)Disney

6:ハンス王子が悪役であることは“馬”でわかる!

ハンス王子が後半にいきなり本性を表して“悪役”となることに唐突さを覚えた方は多いでしょう。しかし、ハンスの乗っていた馬に注目すると、彼が本質的に善人ではないことが暗に示されていたように思えます。

たとえば、序盤にハンスの馬は、歌っていたアナとぶつかってしまっていました。それだけならまだしも、その後に馬はハンスの会釈を見習ったように頭を下げたため、あわや小舟に乗っていたアナが海に落ちそうになっているのです。
ここから伺いしれるのは、ハンスの馬は、“社会的な関係を良くする”というハンスの行動原理を、“会釈を真似する”という形で受け継いでいるのではないか、ということです。

ハンスの馬が落ちてきた雪にびっくりして、アナを置いて走り去ってしまうというシーンもありましたね。これも、“利害関係が一致しているときは協力するけど、自分のためなら見捨てたり裏切ったりする”というハンスの価値観そのままのように感じるのです。

一方で、クリストフは子どものころから、トナカイのスヴェンとニンジンを“半分こ”にして食べているなど、単なる利害関係だけでない、確かな友情(愛情)があることが示されていました。スヴェンとハンスの馬を比較してみると、彼らの“本質”が露わになっているのです。

また、ハンスは氷の城で兵士たちに反撃しているエルサに向かって「人々を苦しめるようなことはしてはいけません!」と言っています。まっとうな主張のようではありますが、このハンスのセリフには“エルサの気持ちを考えてあげる”という心境はみられません。ただの“否定”であり、それはエルサが誰かを傷つけないがために引きこもっていた時の価値観とほぼ同じです。やはり、ハンスは善人とは言えない、悪人だと疑わしきところがあったのです。

そうそう、戴冠式の日に、お城にいた子どもが「なんでこんな格好(正装)するの?そんなの僕に関係ないよ」と言っていました。この子どもは後で王国が冬になった時に「パパ、薪を見つけたよ!」と人々が暖を取るための行動していました。
この時にハンスも毛布を集めて人々の役に立とうとしていた……ように見えて、この子どもと違って着飾っているため、やはり“自分の顔を立てるため”の行動に思えてくるんですよね。

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7:最後に、エルサは恐怖に打ち勝っていた!

エルサが、ハンスに「アナが死んだ」という知らせ(ウソ)を聞かされた時……降り続いていたはずの雪が、空中でピタリと止まっていました。死んだアナは戻ってこない、自分のせいだ……そんなエルサの“もう取り返しがつかない”という後悔、時間の不可逆性が、“降る雪が止まる”という形で表れたのでしょう。

言うまでもなく、愛する妹のアナの死は、エルサがもっとも恐れていた出来事でしょう。しかし、トロールが「恐怖が身を滅ぼす」と言っていたように、エルサの恐怖は、愛する者を遠ざけてしまう原因そのものでもありました。

そして、(生きていた)アナは身を呈して、剣を振り下ろすハンスの前に立ちます。これは、オラフが言ってきた“自分よりも誰かを大切に思うこと”という愛そのものであり、“恐怖”なんてまったく顧みない行動なのです。

氷漬けになったはずのアナは“真実の愛”により、魔法が解けて助かります。エルサはこの時に、いかに恐怖に囚われていたか、アナと同じように他人を大切に思うためにはどうしたらいいかを、学べたのでしょう。それが、“氷の力をコントロールできる”という形で表れたのです。

エルサは、最後に「私スケートなんて滑れない……」と珍しく消極的であったアナを、思い切って誘って一緒に滑っていました。ここでも、エルサが大切な誰かのために行動するという“愛”を手にし、そして恐怖に打ち勝ったことが示されているのです。文句なしのハッピーエンドでした!

こうした、よく観ないと気付かない“盲点”や“対比”が『アナと雪の女王』には、もっとも、もっと、たくさんあるはず!ぜひぜひ、皆さんもまだまだ気づいていないキャラクターの魅力を探してみてください!

(C)Disney

おまけ:『アナと雪の女王』に後日談があった!

実は、『アナと雪の女王』には“後日談”と呼ぶべき作品があります。その1つが、『シンデレラ(2015年の実写映画版)』と同時上映され、現在は「ディズニー・ショートフィルム・コレクション」に収録されている『エルサのサプライズ』です。
その物語は「アナの誕生日をエルサががんばってお祝いしようとするけど、エルサが風邪を引いてしまった」というもので、仲良し姉妹のイチャイチャっぷりを最大限に楽しめる内容になっていました。

そして……実はもう1つ後日談と呼べる作品があります。それが『LEGO アナと雪の女王 オーロラの輝き』で、現在はディズニーの公式YouTubeチャンネルで、全4話を無料で視聴できるようになっているのです。

そのタイトル通り、おなじみのキャラクターがレゴになった姿で登場するのですが、本編と同じセリフやパロディが満載、アクションも迫力満点、本編で“名前だけしか登場しなかった”とある場所が描かれるなど、『アナと雪の女王』のファンにはたまらない内容になっていました(個人的にはクリストフの“学歴”に大笑い)。1話が5分とちょっとくらいなので、空き時間にすぐに観られますよ!

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(文:ヒナタカ)

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    ヒナタカ

    ヒナタカ 「カゲヒナタの映画レビューブログ」運営中のフリーライター。All Aboutでも映画ガイドとして執筆中。なぜか中高生向けの恋愛映画もよく観ています。

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