ゲーム原作の映画は意外と鬼門、なのか?

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ゲームと映画と言えばどちらも映像で人の心を躍らせるエンターテイメント。大雑把に誕生の順番をつけると、まず映画があって、その後にテレビで、ゲームというところでしょう。

それぞれ近いようで、遠くて、似ているようで、違っている部分もたくさんある関係です。それぞれの相性をみると、ご存知の通り映画とテレビは近い関係です。ゲームとテレビも主にアニメですが、相互に場を移してもすんなりいっています。ところが、どういうわけか、映画とゲームの間には微妙な空気が流れることも。

まずは二大ヒットヒットタイトル

そんなどうも微妙な距離感のゲームを映画化して大成功を収めたものと言えば、まずはミラ・ジョヴォヴィッチとポール・W・S・アンダーソン監督夫妻によって、昨年無事6作品完走を果たした『バイオハザード』が真っ先に挙がります。
バイオハザード (字幕版)

ゲーム内のキーワードやキャラクターのネーミングや外見は残したまま当初はゲームの前日談的な立ち位置で物語を進めて、途中からは映画オリジナルの世界観を構築。逆に映画からゲームにアイデアが取り込まれたりもする“逆輸入”現象も起きました。

ポール・W・S・アンダーソン監督は今シリーズ以降大型企画を手掛けるようになり、ミラ・ジョヴォヴィッチもリュック・ベッソンとの破局以降定まらなかった方向性が固まっていきました。

もう一つがヒロインのララ・クロフト役がアンジェリナ・ジョリーからアリシア・ヴィキャンデルへと交代してリブートされ、現在公開中の『トゥームレイダー:ファースト・ミッション』。

©2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.

『バイオハザード』がオリジナルヒロインのアリスを設定したのに対して、『トゥームレイダー』はゲームのヒロイン=ララ・クロフトの映像化に正面から挑みました。結果として万人が納得する形でアンジェリナ・ジョリーの登板となりました。

今はどちらかというと映画制作者と慈善家という面が強い彼女ですが00年代は圧倒的に強くタフなヒロインの演じ手でした。この後彼女は『Mr.&Mrs.スミス』『ウォンテッド』『ソルト』と何もそこまでもというぐらい身体を張ったアクションを見せ続けました。ノンスタントで挑むことも多くトム・クルーズかアンジェリナ・ジョリーかと言われた時期もありました。

『トゥームレイダー2』が03年の公開だったので、結果として約15年もスパンが開いたことになりますが、今回の『トゥームレイダー:ファースト・ミッション』ではララ・クロフトが“トレジャーハンター業(=トゥームレイダー)”に就く前の物語を描いているということもあって、ゲームと映画のファンがララ・クロフトとして受け入れることができて、なおかつ駆け出しの感じも併せ持たせなければならないという中でアリシア・ヴィキャンデルに白羽の矢が立ちました。

16年に『リリーのすべて』でアカデミー助演女優賞を受賞して一気に注目を浴びるようになった若手スター候補です。
リリーのすべて (字幕版)

映画俳優としてのキャリアもこれからどんどん伸びていくところというアリシア・ヴィキャンデルの姿と、劇中のこれから成長していくララ・クロフトの物語上の立ち位置もうまく重なっています。シリーズ化も見越した作りになっていてアリシア・ヴィキャンデルのララ・クロフトがこれから何度も見ることができるようになるでしょう。

日本の二大成功例

どちらもアニメ作品になってしまいますが、日本の成功例としては今や夏休みとお正月休みの定番プログラムになりつつある「ポケットモンスター」と「妖怪ウォッチ」です。

「ポケットモンスター」は全世界で公開されていて99年にアメリカで公開された際には全米興行収入週間ランキングで1位を獲得したこともあるほどです。本流のゲームシリーズはもちろん、一大ブームになった「ポケモンGO」も世界的にヒットしたりと“ポケモン”“ピカチュウ”は世界に通用するキャラクターですね。

ここ数年のお正月映画の中心には「スター・ウォーズ」新三部作がいますが、その「スター・ウォーズ」と初日が重なった中で、ゲームのヒットを受けて製作された映画「妖怪ウォッチ」は日本の週間ランキングで「フォースの覚醒」「ローグワン」というシリーズ作品を2年連続で抑えて1位になり周囲を驚かせました。(3年目の「最後のジェダイ」には負けました)。

映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!

ちゃんと演技派を起用

他の原作モノの映画化にも通じるところですが、失敗例とされてしまう場合はキャストを原作そっくりの見た目にしたところで息切れしてしまうことが多いです。やはり“そっくりさんショー”だけでは2時間の映画にはなりません。

そこをちゃんと抑えている映画で言えば『アサシンクリード』は主演が「X-MEN」シリーズの若き日のマグニートでおなじみのマイケル・ファスベンダー。共演にはオスカー受賞&ノミネート俳優のマリオン・コティヤールとジェレミー・アイアンズ、シャーロット・ランプリングが脇を固める重厚な布陣です。
アサシン クリード (字幕版)

『アルマゲドン』「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのヒットメイカープロデューサーのジェリー・ブラッカイマーによる『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』では主演がジェイク・ギレンホールで共演はベン・キングスレー、アルフレッド・モリーナです。

キャストの並びだけ見ればどちらもゲームの映画化作品とは思えない並びで、それこそアカデミー賞の有力候補作品のようでもあります。
邦画のゲームの実写化作品はそのサンプル数が細かく語れるほど多くはないのですが、三池崇史監督が“完コピ宣言”をした『逆転裁判』『龍が如く』が豪華キャストで映画化されています。

ただどちらも映画の公開規模と基になるゲームのターゲットが限られていること、そして世界的に浸透したゲームではなかったこともあってそこまで話題になりませんでした。映画自体は三池崇史監督作品ということでザ・エンタメ作品となっています。見ていない方は一度試されてもいいと思います。

若手女優の登竜門・ティーンホラー映画の原作として

アイドル戦国時代の今の日本ではそのアイドルや若手女優の登竜門的な存在として、ホラー映画が定番化しています。

その原作はコミックや小説からゲームまで多岐に渡っています。平祐奈やメキシコ留学が決まったAKB48の入山杏奈出演の『青鬼』。土屋太鳳、『マンハント』の桜庭みなみ、森川葵、浅川梨奈、武田玲奈などなどそうそうたる面々が並んでいる『人狼ゲーム』。乃木坂46卒業を発表した生駒里奈が連続主演した『コープスパーティー』。中条あやみ、森川葵が主演した『零ゼロ』もあります。

青鬼

触れないわけにはいかないあのビッグタイトルの黒歴史

「スーパーマリオ」「ストリートファイターⅡ」「ファイナルファンタジー」日本発信のゲームタイトルですが、世界的もすっかり定着。それぞれアドベンチャーモノ、格闘ゲームモノ、RPGモノの代名詞となっている3作品です。

もちろん映像化などのメディアミックスを考える人が出てきました。結果として「スーパーマリオ」は『スーパーマリオ魔界帝国の女神』として、「ストリートファイター」は実写やアニメ版を含めて多数の作品が、「ファイナルファンタジー」は世界初のフル3DCG映画『ファイナルファンタジー』として製作費が1億3000万ドルというハリウッド超大作並みの制作費で映画化されました。

残念ながら、どれも映画としては決して成功したとは言えないのですが、例えばアニメ映画『ストリートファイターⅡ MOVIE』の主題歌が篠原涼子が歌った小室哲哉プロデュース楽曲「恋しさとせつなさと心強さと」であったりと、思わぬ財産も残しています。

ゲームと映画の関係を素敵にする秘訣・うまくいかない理由

成功の裏には無数の失敗があると言いますが、ゲーム原作の映画にはまさに無残な失敗例が死屍累々と横たわっています。

まずゲームというのは見る側(プレイヤー)の意思で物語を進めるものです。一方、映画は物語が目の前で展開されていくものが基本です。まず、この視点が違う部分で通じ合わない部分があります。それに加え、先ほどの原作モノの映画化の話で出たキャストの“そっくりさんショー”だけで終わっていて終わってしまうパターンも本当に多いです。

ゲームと映画の視点の違いを理解したうえでゲームの良さを丁寧に映画に落とし込むことが何よりも大切です。

いっそのこと、ゲームの世界に飛び込んでしまって

それならば、いっそのこと映画の中でゲームを作ってしまってそのプレイヤーの姿と目線を作り出して観客と共有させてしまおうという発想の映画もあります。

スティーブン・スピルバーグ監督の新作でVRゲームが現実世界の一部と化した近未来を描いた『レディ・プレイヤー1』やリブートされてボードゲームからコンピューターゲームにバージョンアップした『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』などが公開待機中です。

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル 仮メイン

これ以前にも、「パックマン」や「ドンキーコング」などのクラシックゲームが地球の命運を握る『ピクセル』、エレクトリックユニットのダフト・パンクが音楽を担当して出演もした『トロン・レガシー』などもあります。

「スーパーマリオ」のリブート企画なども聞こえてきています。
“どうもゲーム原作の映画化はなぁ…?”というような空気を払しょくして欲しいものです。『トゥームレイダー:ファースト・ミッション』はそのきっかけになってくれる可能性を秘めた娯楽作品に仕上がっているので、道筋を切り拓いてくれるのではないかと思います。

(文:村松健太郎)

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    ライタープロフィール

    村松健太郎

    村松健太郎

    村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年目に入った映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、イベント運営に携わる一方で各種記事を執筆。

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