ジブリとピクサーの「素敵な関係」と「作り方の違い」

ディズニー / ピクサー最新作、『ファインディング・ドリー』がいよいよ7月16日(土)から公開になります。


(C)2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.


お子さんに観せる映画として、安心して観せることができる作品の代表と言えば、ピクサー作品とジブリ作品。子供だけでなく大人まで、幅広く愛されるこの2つのスタジオはとても仲が良いのです。

今回はそんなお話を。

ジョン・ラセターのジブリ愛


ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ及び、ピクサー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるジョン・ラセターは、昔から宮崎駿作品のファンで、それはピクサー作品へも大きな影響を与えており、宮崎駿監督自身との友人関係は、トトロの頃から現在までと長く続いています。

ジョン・ラセターは、宮崎駿の映画初監督作品『ルパン三世 - カリオストロの城』を観て、「これだ!子供のためだけではない、子供から大人まで楽しめるアニメがある!アニメは万人のためのものだ!」と改めて強い自信を持ったようです。




『トイ・ストーリー3』の中にはトトロがぬいぐるみの仲間として友情出演していたり、スタジオジブリの事務所には、ファン垂涎のモンスターズ・インクのサリーとマイク、そしてトトロがバス停で傘を一緒にさしている絵が飾られているほど。

『千と千尋の神隠し』が全米公開の際も、アカデミー賞を受賞するまでの宮﨑駿監督たちのアメリカでの活動に対し、ジョン・ラセターが多大なサポートをしたそうで、その様子を、ジブリからジョン・ラセターへ感謝を込めて「ビデオレター」という形でまとめられたDVDがあります。





もともと、記録のために撮影されたプライベート映像だったため、手ブレもありますし、時々聞こえにくいようなときもありますが、宮崎駿監督もジョン・ラセターも普段の姿が映しだされており、とても貴重な映像の数々が収められています。

ジョン・ラセターの自宅や奥様、4人の息子たちもたびたび登場します。
また、スタジオジブリプロデューサーの鈴木敏夫さんが「なぜ全米でのジブリ作品公開の際にディズニーと組んだのか」という質問に対し、

「これまでもジブリの作品を自分のところから出したい、という話はたくさんあった。でも、ジブリ作品の中からこれとこれだけ、と選んだり、長すぎるからカットしたい、と言われた。ディズニーはそんなことは一切なかった。」

と、あまり知られていない実状も話しています。

ジブリとピクサーでは作品の作り方は大きく異る


ここまで紹介したように、スタジオジブリとピクサーは、お互いに刺激を与え、サポートしあってきていますが、作品の作り方で大きく異る部分もあります。

ストーリーのアウトラインの作り方


<ジブリ(宮崎駿監督の場合)>
ストーリーのアウトラインを机に向かって自分で考えて、ある程度出来上がってから人に説明をする。説明をしながら、「あ~ダメだな、これ」となって考え直すときもある。

<ピクサー(ジョン・ラセターの場合)>
アウトラインを作るときも一人では考えず、信頼出来るキーパーソン何名かでディスカッションにディスカッションを重ねて作る。

試作へのリアクションに対する監督のリアクション


<ジブリ(宮崎駿監督の場合)>
自分が自信があるシーンについて、周りがイマイチなリアクションをした時も、自分の決断がベスト、と思う。

<ピクサー(ジョン・ラセターの場合)>
試作が出来たら奥様や子供たちに観せ、リアクションがイマイチなら根幹は変えないとしても練り直す。

アニメーターたちが上げて来たシーンに対するフィードバック


<ジブリ(宮崎駿監督の場合)>
アニメーターが上げてきたアニメーションに対して、もっとこうしてほしい、等伝えない。その時点で最高なもののはずだから、そこでアドバイスや調整を依頼してもモチベーションが下がるだけ。(本当に直す必要がある、と思うほどまずかったら自分で直す!)

<ピクサー(ジョン・ラセターの場合)>
それぞれ自分の担当がその時点で完璧な仕事をして来たとしても、出来上がってきたシークエンスに対して細かくフィードバックをして、全体として観た時に流れになっているか、を調整する。そうでないと、最高な短編がいくつもつながっているようになってしまうから。

まとめ


具体的な作品の作り上げ方は異なっていても、長く愛されるアニメーションを作りたい、という根幹は変わらないジブリとピクサー。

皆さんも懐かしのあの作品や、まだ観ていなくて気になっていたものをゆっくりと涼しい部屋で、または劇場で最新作『ファインディング・ドリー』を観てみてはいかがでしょうか?

(文:hosohana

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