『ゴーストランドの惨劇』は観客の予想を遥かに超える傑作トラウマホラー!

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2009年公開の傑作ホラー映画『マーターズ』で、日本の映画ファンに強烈な衝撃とトラウマを与えたパスカル・ロジェ監督。

続いて公開された2012年の『トールマン』を経て、実に6年ぶりの監督作品となる新作映画『ゴーストランドの惨劇』が、遂に8月9日から日本でも劇場公開された。

満を持しての新作、更に「2度と見たくないけど、2回観たくなる」という宣伝コピーも想像力を刺激する本作だが、果たして気になるその内容と出来は、どのようなものだったのか?

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ストーリー

人里離れた叔母の家を相続し、そこに移り住むことになったシングルマザーのポリーン(ミレーヌ・ファルメール)と双子の娘、姉のヴェラ(テイラー・ヒックソン)と妹のベス(エミリア・ジョーンズ)。だが、新居に到着したその日の夜、突然の惨劇が一家を襲う。2人の暴漢が家に押し入ってきたのだ。しかし、娘を守ろうとするポリーンの必死の反撃により、姉妹の目の前で暴漢たちはメッタ刺しにされてしまう。
あの惨劇から16年後、ベス(クリスタル・リード)は小説家として成功していたが、姉のヴェラ(アナスタシス・フィリップス)は事件の後遺症で精神を病み、今もあの家で母親と暮らしていた。久しぶりに実家に帰ったベスを母は迎え入れるが、ヴェラは一人で地下室に閉じこもっていた。そして、ベスに向かって彼女が衝撃の言葉をつぶやく――。

予告編

あの『マーターズ』の監督が再び描く、トラウマ必至の内容とは?

ある少女に突然加えられる、いつ終わるとも分からない理不尽な暴力や拷問の数々。

そこから目を逸らさずに描写し続けることで、観客のモラルと常識を揺らがせた『マーターズ』では、ある宗教団体に監禁されて壮絶な拷問を受け続けた女性が、その苦痛と絶望の果てに何を見るのか? が描かれていた。

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対して今回の新作では、少女時代にある事件で壮絶な体験をした姉妹の妹が、事件によって心の傷を負った姉を訪ねて再び惨劇のあった家を訪れるところから始まり、物語は予想外の展開を見せることになる。

つらい経験や忌まわしい記憶からやっと逃れたかに見えたヒロインが、ある目的のために再びその忌まわしい場所に戻るという展開は、実は『マーターズ』とも通じるものだが、本作では小説家として成功して幸せな結婚生活を送っている主人公の姿が描かれるため、未だに事件の中にいて狂気の日々を送っている姉との対比や、その後の衝撃の展開がもたらす”イヤさ加減”は『マーターズ』を超えるものとなっている。

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しかも直接的描写だけに頼らず観客の想像力に訴えかけることで、彼女たちが味わった地獄の日々が、観客の脳内でより生々しく映像化されることになる仕掛けも、実に上手いのだ。

直接的な残酷描写に頼らない分、少女の自立や家族の絆の部分がより鮮明になった本作こそ、実は普段ホラーに馴染みの無い女性層に観て頂きたい作品なので、全力でオススメします!

実は過去の名作ホラー映画オマージュに溢れた内容だった!

その衝撃の展開を存分に楽しむため、出来る限り事前の情報やネタバレを避けて鑑賞に臨んで頂きたい本作だが、単なる残酷描写の連続を売り物にしたホラー映画ではなく、壮絶な体験が人間の成長や革新にどう影響を及ぼすのか? を描くという点では、パスカル・ロジェ監督の方向性は一貫していると言える。

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加えて、姉妹を襲った犯人の背景がごく断片的に語られるだけなのも、理由の無い暴力に襲われた家族の絶望と恐怖を増幅させる効果を生んでいて実に見事!

更に本作の見どころとなっているのは、過去の名作ホラー映画のオマージュがあちこちに散りばめられている点だろう。

鏡に書かれた”HELP ME”の文字や、侵入者たちの乗るアイスクリーム屋のトラック、不気味な人形の登場など、映画の後半で明らかにされるその意外な展開だけでなく、ホラー映画好きならより深く楽しめるこうした仕掛けも、本作の大きな魅力の一つとなっているのだ。

巧妙に散りばめられたこれらのオマージュ、果たしてあなたはいくつ見つけられるだろうか?

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最後に

果てしなく続く理不尽な暴力や苦痛の末に、果たして人間は何を見て、何処に辿り着くのか?

そこに神や悟りの境地を見いだそうとする狂信的集団と、犠牲となった女性の苦難を描いて観客にトラウマを与えた『マーターズ』は、アメリカでもリメイク版が製作されるほど、世界的に衝撃を与えた作品だった。

確かに今回の新作でも『マーターズ』に通じる残酷な描写や女性に加えられる暴力が、作品中で非常に重要な部分を占めている点は否定できない。

そのため、社会のモラルに挑戦するようなその内容から、単に残酷なシーンをこれでもかと見せることが目的の作品だと誤解されるかもしれないが、実は本作で描かれるのは姉妹や家族の絆や深い愛情、そして何より、自分の将来や可能性は自身の手で勝ち取らなければならないという、人生の真理に他ならないのも事実なのだ。

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日本版の宣伝コピーにある「映画史上最も不快なトラウマ映画」の言葉に嘘は無いが、決してそれだけが売りの作品で無いことは、鑑賞後にもたらされる深い余韻が証明してくれている、この『ゴーストランドの惨劇』。

できれば事前のネタバレ情報を一切絶って鑑賞に臨むことを、強くオススメします!

(文:滝口アキラ)

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