『白鯨との闘い』、航海へ出た夫を待つ妻、心の闇の解放を願った妻

シネマズ編集長の柳下修平です。“編集長の新作映画レビュー”第2弾は本日より公開の『白鯨との闘い』をお送りします。

白鯨との闘い

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舞台は1800年代のアメリカ、題材は捕鯨

本作は実話です。ざっくり言えば「捕鯨船の乗組員たちの闘いの映画」です。

H・メルヴィルの名著『白鯨』、捕鯨船ピークォド号の航海と、白い巨鯨に足を奪われた義足の船長の復讐を描いた長編小説です。この『白鯨』はフィクションですが、小説は今回の映画、『白鯨との闘い』の史実を元にしていたのです。

エセックス号という捕鯨船の生存者の証言、その衝撃の史実をH・メルヴィルが生存者へインタビューして解き明かしていく。それがこの映画『白鯨との闘い』です。

つまり映画は2つの物語が同時進行します。

・H・メルヴィルが生存者へインタビューする話

・生存者の証言による回顧の語(エセックス号の真実の話)

今回の映画は海洋アドベンチャーと言える部分もあり、映画館では2D/3Dだけでなく、一部4DXの劇場もあります。迫力を体感したい方は是非4DXもチャレンジしてみてくださいね。

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主人公たちを待つ二人の妻の物語

本作のメインはエセックス号の真実の話です。そこでは鯨との死闘や極限を超えるサバイバルが展開されます。その意味で本作は「男たちの熱き物語」とも言えるわけですが、見方を変えると別の感動も生まれてきます。

・エセックス号の一等航海士オーウェンの生還を待つ妻の物語

・エセックス号最年少乗組員トーマスの心の苦しみの解放を願う妻の物語

この二人の妻の「愛ゆえにいつまでも待つ物語」と見方を変えると映画のクライマックスは非常に感動的に映ります。

トーマスが何十年も誰にも言えずに苦しんでいた真実は、とても衝撃的な話でした。誰にも言えずに、妻にも言えずに苦しみ続けてきたトーマス。それは同時に妻もトーマスを救えないというもどかしさを感じていたのでした。

真実が明らかになった時の妻の一言。それが私にとっての本作のベストシーンです。

本作の評判は賛否両論とまではいきませんが、大絶賛とそこそこの評価とで割れている印象です。後半の物語の淡々さを指摘する声も少なくありません。

その後半こそ、この二人の妻の物語として見て頂きたいです。特にトーマスの妻を。そこにある「崩れることの無い夫婦の愛」は、私たちを感動させてくれますので。

海洋アドベンチャー大作であり、生きる本質を描いた物語であり、二人の妻の夫を愛する心を描いた作品でもある『白鯨との闘い』。

1月16日より全国公開中です。

(文:柳下修平)

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