フランス在住者がヘプバーン映画を解説!「オードリーはパリがよく似合う」

アメリカ人にとってパリは憧れの都。パリを舞台にした映画は、ハリウッドで多く制作されてきました。私たち日本人が映画で印象に残っているパリといえば、本場フランス映画ではなくて、アメリカ映画のパリという人が多いのではないでしょうか。そして、パリが似合う女優といえば、フランス人ではありませんが、オードリー・ヘプバーンを挙げたくなるという人も多いのではないかと思います。実際、オードリーは多くのパリを舞台にした映画に出演をしました。フランス在住者の筆者がオードリーとパリが舞台になった映画を解説します。

パリを舞台にした映画に多く出演した女優オードリー

オードリー・ヘプバーンの出演作品を見ていくと、実に多くのパリを舞台にした映画に出演していることがわかります。『麗しのサブリナ』『昼下がりの情事』『パリの恋人』『シャレード』『パリで一緒に』『おしゃれ泥棒』。

パリで一緒に

オードリーは、これらの映画の中で、パリ留学する娘 、モデル、パリに住むアメリカ人女性、そしてパリジェンヌまでも演じました。ハリウッド女優の中でも、オードリーほど、パリの街と結びついている女優はいないということに気付かされます。

ヨーロッパで育ったオードリー

アメリカの女優がパリを舞台にした映画に出演していると、パリの街とは馴染めない異質さのようなものがが画面から滲み出ています。世界中どこにいてもアメリカ人はアメリカ人という風に、アメリカの色というものが、画面に強く映るようです。

オードリーはハリウッドの女優ではあるものの、国籍はイギリス。そして、幼少期はオランダで育ち、晩年はスイスで暮らしました。そのおかげでしょうか、オードリーは違和感なしに、パリの街にすんなり溶け込めているようです。『おしゃれ泥棒』では、パリで育ったという女性にもかかわらず、全編英語のみの会話。

おしゃれ泥棒 [DVD]

思わずツッコミを入れたくなるハリウッド映画らしい設定です。英語しか話さないパリ育ちの女性であっても、妙な説得力を与えているのは、やはりオードリーの生い立ちが、関係しているのでしょうか。同時代の女優でオードリー・ヘプバーンほど、パリの街に映える女優はいないのではないかと思います。

パリで変貌するオードリー

『麗しのサブリナ』は、パリが舞台になった映画ではありませんが、オードリー演じるサブリナがパリに料理留学をし、その美しさが開花され、洗練された女性となってアメリカに帰国します。まさに息を呑む美しさ。実業家一家のハンフリー・ボガード演じる兄ライナスとウィリアム・ホールデン演じる弟デイヴィッドを惹きつけるほどまでに、変貌するのです。

麗しのサブリナ (字幕版)

また『パリの恋人』では、書店で働く、「変わった顔」と言われたオードリー演じるジョーですが、フレッド・アステア演じるファッション雑誌のカメラマンに推薦されパリでトップモデルとなります。パリの有名デザイナーの衣装に身をまとい、お披露目されたジョーの美しさといったら!原石が磨かれ、美しい宝石に変わったよう。世界中の女性の憧れの的になるほど美しい女性へと変化を遂げます。

パリの恋人 (字幕版)

この二本の映画の中で、オードリーは、パリで手に届かなかった男性をも虜にする美しい女性へと変身し、そして本当の愛を手に入れるシンデレラストーリーが描かれています。「パリがオードリーを美しくした」のではないでしょうか。

ファッションとオードリー

『パリの恋人』『パリで一緒に』『シャレード』『おしゃれ泥棒』で、オードリーはジバンシィの衣装を身にまとっています。オードリー・ヘプバーンはジパンシィのミューズであったのは有名な話。

シャレード 2013 (字幕版)

これらの映画の中で、ジバンシィの洗練された衣装でパリの街を歩くオードリーはハッとするほど美しくあります。そして、ファッションの本場であるフランス人さえも霞んで見えるほど、眩しいばかりの洗練さを放っています。

特に感銘を受けたのは、『シャレード』。富豪の未亡人役を演じたオードリーはそのスティタスにふさわしく、高級な衣装を身にまとっています。ジバンシィの衣装は、本当にパリの街によく映えます。芸術そしてファッションの都パリには、このような洗練された女性がよく似合うものだということが改めて実感させられます。

パリの高級地区とオードリー


パリを舞台にしたオードリーの映画を見ていると、下町が舞台になることはなく、パリの高級地区がロケ地として多く使われていることに気づきます。『パリの恋人』、『パリで一緒に』、『シャレード』、『おしゃれ泥棒』、これら全ての映画で、オードリーはシャンゼリゼ通りを歩きます。


オードリーは下町娘というよりも、上流または中流階級の女性を演じました。『おしゃれ泥棒』では、美術品収集家として有名であり、裏の顔は贋作作家の父をもつ娘ニコルをオードリーが演じています。この映画の中で、オードリーはびっくりするようなパリの豪邸に住んでいます。また、ピーター・オトゥール演じる美術探偵シモンの滞在先は、晩年ココシャネルが暮らしたことで有名な、高級ホテルリッツ。

パリの高級地区というのは、上辺だけの関係しかない場所として、ネガティブに描かれることもあります。オードリーの映画の中では、不思議と魅力的な場所として映っているようです。それは、オードリーがもつ気品さのおかげでしょうか。オードリーはパリの高級地区が似合います。

オードリーの映画とパリの観光地

ハリウッドで制作されたパリを舞台にした映画の特徴は、観光地が舞台になっていることです。映画で旅するとはよく言ったもので、観光地がロケ地として使われていることで、旅情をそそられるようです。


『パリで一緒に』にでは、鉄板の観光スポット、エッフェル塔が舞台となっています。「エッフェル塔を盗んだ娘」という台本をウィリアム・ホールデン演じるリチャードが書き、その台本をタイピストであるオードリー演じるガブリエルとリチャードが同時進行で演じています。台本に「エッフェル塔」が入るほど、エッフェル塔は観客を惹きつけるパリのシンボルとして捉えられていることがわかります。ラストはちょっと馬鹿馬鹿しいエッフェル塔でのシーンではありますが、それでも十分に印象に残ります。


『シャレード』のラストシーンも、観光地として有名なパレ・ロワイヤルが舞台地となっています。夜のシーンで、ハラハラドキドキの展開がパレ・ロワイヤルで繰り広げられます。昼間訪れるこの有名な場所からは見えてこない、別の顔をみることができることができます。

さいごに

オードリーの映画の舞台地であるパリを歩くと、時代も移り変わり映画の中の景色とは少し違うことに気付かされますが、それでも感慨深い思いに打たれます。オードリーもここを歩いたのかななどと考えながら歩くと、どこか映画の面影が見えてくるようです。

(文:北川菜々子)


    ライタープロフィール

    北川菜々子

    北川菜々子

    パリ在住のフリーランス・ライター。大阪出身。大学卒業後、2007年に渡仏。パリの大学院では映画を社会学と記号学的アプローチから研究する。好きな映画「浮雲」(成瀬巳喜男)「「レディ・イブ」「赤ちゃん教育」「天井桟敷の人々」など、クラシック映画を愛する。その他に、読書や写真、カフェ巡り、街歩きなどが趣味。

    ピックアップ

    関連記事

    新着記事

    WP Facebook Auto Publish Powered By : XYZScripts.com