劇場版「ヒロアカ」こそ、観客熱狂の大傑作!より楽しむためにオススメの映画とは?

(C)2018「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社 

集英社の「週刊少年ジャンプ」誌上で好評連載中の大人気コミックス、『僕のヒーローアカデミア』(略称ヒロアカ)。現在放送中のテレビシリーズを経て製作された、初の劇場版映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 〜2人の英雄(ヒーロー)〜』が8月4日から全国公開された。その激アツな展開と、多彩な能力を持つキャラクターの競演が魅力の原作コミックスは、一度でも読んだ人なら夢中にならずにはいられないほど。そんなファン待望の劇場版を、今回は公開一週間後の土曜日夜の回で鑑賞して来た。もはや観る前から傑作の予感しかしない本作だが、果たしてその出来は予感通りのものだったのか?

ストーリー

デクとオールマイトは、ある人物からの招待を受けて、海外に浮かぶ巨大人口移動都市<I・アイランド>を訪れていた。

世界中の科学研究者たちの英知が集まった、まさにサイエンスハリウッドのような島で、個性やヒーローアイテムの研究成果を展示した<I・エキスポ>が開催される中、デクは無個性の少女・メリッサと出会う。無個性であるメリッサに、かつての自分を重ね合わせるデク。

その時、突如鉄壁のセキュリティを誇るアイランドの警備システムが敵(ヴィラン)にハッキングされ、島内にいる全ての人々が人質に取られてしまう。いま、ヒーロー社会の構造を揺るがしかねない[ある計画]が発動する!(公式サイトより)

予告編

待望の劇場版では、若き日のオールマイトの姿が明らかに!

何と言っても本作の見所は、原作コミックスやアニメ版では描かれなかった、全ヒーローの象徴であるオールマイトの、アメリカ修行時代のエピソードが登場する点だ。オールマイトのアメリカ時代の相棒(サイドキック)であり、彼のコスチュームの開発者である科学者の登場や、学園を離れてアメリカ本土を舞台に物語が展開するなど、正に劇場版ならではのスケールの大きさで描かれる、この劇場版『ヒロアカ』。多彩な”個性”を持つヒーローたちが繰り広げる熱いドラマや、単純な勧善懲悪では終わらない深い内容には、子供だけでなく大人の方が熱中してしまうのも当然と言える。

実際今回の劇場版でも、悪の道に落ちる者のきっかけが、友人を救うためやヒーロー世界をより良きものにする目的、つまり自身にとっての正義だったりするのだ。これによって、同じ強大なパワーや能力を持つ存在でも、それをどう使うか?あるいは誰のために使うか?という精神的な部分こそが、実はヒーローと敵(ヴィラン)を分ける重要な要素だという点が描かれることになる。

『ドラゴンボール』が復活し、長期にわたる人気を誇る『ワンピース』や『名探偵コナン』が新作映画を発表し続ける中、日本の映画興行界にまた新たな人気シリーズが加わった。そんな印象が強かった本作。今後は劇場版オリジナルの強力なヴィランの登場や、最強の敵であるヴィラン中のヴィラン”オール・フォー・ワン”との対決が描かれることを期待して、次回作の公開を心待ちにしたいと思う。

(C)2018「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社 

アメコミファン必見の内容と、見ておくとより楽しめる映画とは?

今回登場する敵役(ヴィラン)、ウォルフラムの設定が『X−MEN』のマグニートーを連想させるものだったり、冒頭で登場するオールマイト用のサポートマシーン、”オールモービル”のデザインが、60年代テレビシリーズと後年の映画版『バットマン』に登場した、バットモービルを合わせた様なデザインだったりするなど、アメコミファンならより細かい部分まで楽しむことが出来る本作。

ただ、現在原作コミックスが19巻まで刊行されており、テレビアニメも既に第3期が放送中の『ヒロアカ』だけに、興味はあっても原作を未見のために鑑賞を躊躇している方も多いはずだ。もちろん、劇場版単体でも充分楽しめる様に作られているのだが、ここでは事前に見ておくと『ヒロアカ』の基本設定や世界観の理解に役立つ映画を、一本紹介することにしよう。

今回の劇場版の基本的な設定は、映画『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』を思わせるものなのだが、原作未読の方が『ヒロアカ』を楽しむために是非観て頂きたい作品が、2006年に日本でも公開された映画『スカイ・ハイ』だ。

スカイ・ハイ [DVD]

史上最強のスーパーヒーローだった両親から生まれたものの、他の子供たちと違いスーパーパワーが発動しなかった息子が、スーパーヒーロー候補の子供たちが通う学校『スカイ・ハイ』に入学して・・・。というストーリーや基本設定は、『ヒロアカ』の世界観に大きな影響を与えているのは間違いない。様々なスーパーパワーを持つ生徒たちの友情や対立の物語や、成績や能力次第でヒーローとその相棒役とに振り分けられてしまうなど、きっと多くの共通点を見つけて頂けるはずの本作、オススメです!

最後に

今回鑑賞したのは、公開から一週間経った郊外のシネコン。最近の公開状況なら、早いものでは既に上映回数が午前中だけだったり、午後の一回だけに減らされていても不思議はないところ。だが、本作の上映回数は減らされておらず、客層も大人の男性が二人で見に来ていたりするなど、幅広い観客層を巻き込んでヒットしていることが、実際に見て取れた。

しかしネットのレビューを見ると、原作ファンと未見の方とでは結構評価が分かれている、今回の劇場版。

原作コミックスやアニメ版を未見の方でも、充分劇場版単体で楽しめる様に作られている本作は、確かに原作コミックス11巻の『シビルウォー』並の展開を読んでいるファンにとっては、かなりの違和感を感じても無理は無いところ。

ただ、この劇場版をきっかけに『ヒロアカ』の世界に興味を抱いてくれるであろう観客の存在を考えれば、今回の劇場版のアレンジは仕方がないところかも知れない。
その他にもデクの右腕のガントレットの登場など、微妙に原作コミックスの現在の展開とは逆行する部分も多い本作。劇場版鑑賞前の予習に、原作コミックスを読んでおこうと考えている方は、取りあえず10巻目辺りで止めておいて頂いてから、この劇場版を鑑賞された方が正解かも?

実は、今回の劇場版のサブタイトルにある「2人の英雄」の言葉が持つ意味は非常に深く、デクとオールマイトやオールマイトと相棒の科学者を指すだけでなく、スーパーパワーの元となる”個性”を持つ者と、持たない者との関係性をも見事に示している。

更に、エンディングに流れる菅田将暉の歌う主題歌「ロングホープ・フィリア」も、本作の世界観を実によく表しているので、ここも是非お聞き逃しなく!
暑い今年の夏を吹き飛ばす様に、大人も子供も同じように熱中して楽しめる本作。全力でオススメします!

(文:滝口アキラ)

関連記事

まるで『ダイ・ハード』か『死亡遊戯』な、劇場版『僕のヒーローアカデミア』!


    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

    ピックアップ

    新着記事

    WP Facebook Auto Publish Powered By : XYZScripts.com