2018年06月21日

“身辺警護員”という仕事とは?実話を元にした骨太映画『第二警備隊』

“身辺警護員”という仕事とは?実話を元にした骨太映画『第二警備隊』




こんにちは、八雲ふみねです。

今回ご紹介するのは、現在公開中の『第二警備隊』。
身辺警護員って、想像以上に壮絶なんです。

八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.161




1999年、警備会社エステックの社長・大崎に1本の電話が入った。
大崎の大学時代の先輩で大恩寺の住職を務める小泉からで、とある政治団体から寺の利権をめぐって、日々執拗な嫌がらせを繰り返し受けていると言う。
政治団体と標榜しつつも、実は指定暴力団・真政会の一味である護国大憂党の仕業と知った大崎は、大恩寺の身辺警護にあたる精鋭チーム・第二警備隊を結成。
しかし護国大憂党の嫌がらせは執拗に続き、小泉やその家族、さらには第二警備隊員にも焦りの色が見え始め…。





構想17年、依頼者の生命と財産を護る身辺警護員の生き様をリアルに描いた人間ドラマ


身辺警護員。民間ボディガードとも呼ばれる彼らの任務は、依頼人の生命・身体・財産を護ること。

しかも、身辺警護員はあくまでも“民間人”という立場のため、人を攻撃するための武器を所持したり、実際に抗戦することはなく、あくまでも依頼人の“盾”となってトラブルを解決することが、重要なミッションとなります。

これまでにもボディガード、あるいは身辺警護員を主人公にした映画やドラマは数多くありましたが、ここまで骨太で現実に即した作品はなかったのではないでしょうか。

本作は、金と土地が目当ての暴力団による嫌がらせから、依頼人である寺の住職とその関係者を守るという、かなりハードなもの。法律スレスレの嫌がらせを直接的・間接的に受ける日々。それでも警備員たちは応戦することなく、ひたすら専守防衛で耐え続けます。

もしも自分の身に同じような出来事が起こったら…と、考えただけでも悍ましいストーリーなのですが、実はメガホンを取った柿崎ゆうじ監督は、数々の国際映画祭で数々の賞を受賞する新鋭監督でありながら、民間警備会社の経営者。つまり本作は、その警備会社での実体験を踏まえ、構想17年の時を経て世に送り出された衝撃作なのです。

事件当時、現場のど真ん中で陣頭指揮を取っていた柿崎監督が、事件を通じて見たこと体感したことをストーリーに盛り込み、文字どおり命懸けで戦った身辺警護員たちの極限の生き様をリアルに描き出しています。

柿崎監督の長編第1弾である本作は、すでにロンドン国際フィルムメーカー映画祭にて最優秀編集賞を受賞。またニース国際映画祭2018では出合正幸が最優秀助演男優賞を受賞するなど世界的に高い評価を得ている本作。さらにモントリオール世界映画祭のフォーカスオンワールドシネマ部門にて正式招待されることが決定し、ますます注目を集めています。




実話だけに登場人物は…。


主演を務めるのは、舞台や映画で活躍を続ける実力派俳優、筧利夫。身辺警護という仕事に真摯に向き合う姿が頼もしく、同時にリーダーとしての風格も感じられる演技で観客を魅了します。

野村宏伸、出合正幸、竹島由夏、伊藤つかさ、伊吹剛、芦川誠、柳憂怜、麿赤兒、赤座美代子、本作が遺作となった出光元が共演。

本作の特徴は実話がもとになっているだけに、キャストが演じるキャラクターは全員、実在しているということ。そのことを念頭に置いて観ると、よりリアリティを持って映画を楽しむことが出来ますよ。




初日舞台挨拶には主演の筧利夫をはじめ、出合正幸、竹島由夏、伊藤つかさ、伊吹剛、柿崎ゆうじ監督が登壇。
八雲ふみねが司会を務めました。




身辺警護員を演じた筧さん、出合さん、竹島さんは劇中のエステックの警備員の出で立ちで登場し、実際の身辺警備員さながら。スクリーンから抜け出たかのようなリアルさが劇場を包みます。

「映画の“心意気”が観た方々の心に届くことを祈っております」と熱っぽく語り出した筧さん。

さらにモントリオール世界映画祭で招待上映が決定したことを受けて「すごいことですね!自分もモントリオールで本作を観たいです!!そして、俺にも賞をくれっ!!!」と、つい本音がポロリ?!賑やかな筧利夫ワールドに、会場のお客様も大爆笑の連続。

一方、柿崎監督は「事件の現場にいたので、心が重いです。今でも熱いものが込み上げてきたり、深い悲しみが襲ってくるときもありますね」と、こちらも心の内を吐露。

「事件からおよそ19年。これまでの思いを初日の今日、映画として皆様に観ていただける機会を得ることが出来て感無量です」と2年越しで迎えた映画の公開初日に、感慨深い面持ちでした。




<作品情報>


第二警備隊
2018年6月16日より新宿武蔵野館、6月30日よりシネ・リーブル梅田にて2週間限定公開
監督・脚本・エグゼクティブプロデューサー:柿崎ゆうじ
出演:筧利夫、出合正幸、竹島由夏、久松信美、河合龍之介、芦川誠、橋本じゅん、柳憂怜、関根大学、伊藤つかさ、石橋保、前田耕陽、伊吹剛、麿赤兒、赤座美代子、出光元、野村宏伸 ほか
©2017 カートエンターテイメント
公式サイト dai2keibitai.jp


八雲ふみね fumine yakumo


八雲ふみね

大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com

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