レジェンダリー春の怪獣映画まつり第一弾!!直球勝負の快作!! 「キングコング/髑髏島の巨神」

■「役に立たない映画の話」

キングコング:髑髏島の巨神 場面写真

(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

今度のコングは、エンパイア・ステートビルに昇らない。

爺 キングコングとは、また懐かしいなあ。

後輩 あの、まさかとは思いますが、ご隠居は「キングコング」の最初のバージョンを、映画館で見ていたりするんでしょうか・・・?

爺 「キング・コング」な。最初のバージョンとピーター・ジャクソン監督の2005年バージョンだけはナカグロがつくんじゃよ。あとは皆「キングコング」だが。

後輩 最初の「キング・コング」の日本公開が昭和8年だと言いますから・・・。

爺 もちろんわしは生まれてないわい。老人扱いするな!!

後輩 立派なジジイじゃないですか!! だいたい昨年のベストワンが「シン・ゴジラ」な後期高齢者って・・・。

爺 発言に「・・・」が多すぎるぞ!! とにかく「キングコング/骸骨島の巨神」じゃ。IMAX 3Dで見たけれど、迫力あったなあ。

後輩 何というか、直球勝負な作品でしたよね。余計なことは一切描かずに、ただただコングや怪獣たちと人間たちとの戦いを描くという。

爺 舞台を髑髏様だけに限定しただろ。今までの「キングコング」は、あそこからコングを連れだして、ニューヨークに連れてくる。それで悲劇が起きるわけだけど、やっばりキングコングは強くないと、物足りないよ。

後輩 今までの「キングコング」は女々しすぎたと?

爺 いやいや、そうは言ってないよ。ニューヨークに連れてきたお陰で、エンパイア・ステートビルに昇って攻撃を受けるという見せ場が出来たわけだからな。ただ「あの怪獣を殺したのは、美女だ」という、あの台詞はずっと納得出来なかった。

後輩 でも、今度のコングも女性を助けたりしますよね。

爺 あいつはどーも、代々女に弱くていかん(笑)。

後輩 まあともかく、「キングコング/髑髏島の巨神」は、直球の剛速球でしたね。

爺 きっとジョーダン・ボート=ロバーツ監督は、コングを使ったドラマには興味がないんだろうなあ。ひたすらコングや怪獣たちの怖さ、不気味さを強調していたし。一度会って話をしてみたいもんだわい。

後輩 まさに怪獣映画。そのあたりは僕も異論なしです。だから邦題を「キングコングと愉快な仲間たち」とか「キングコングと怪獣大進撃」とか、そういう風にするべきだと思いました(笑)。

キングコング:髑髏島の巨神 メイン

(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

デジタル・ガジェットを封印した設定も成功の理由。

爺 この映画が成功しているもうひとつの理由は、年代をはっりと設定しなかったこと。観ている限りでは、70年代初頭あたりかと思うけど、それは正解。とにかく昨今では、携帯電話やスマホを使って何でも解決してしまう。ピッとスマホのキーを押すと、遠くでドカンと爆発して問題解決。これはつまらない。

後輩 ようやく後期高齢者らしい意見が出ましたね(笑)。僕等の世代から観ると、そのアナログな部分が、やけに新鮮に見えたりするんです。そうか。コングは人間の知恵と体力と、わずかな銃器で対抗するしかないのか、と。

爺 もっとも、携帯電話を持っていても、髑髏島は圏外じゃろう(笑)。世の中には神秘というものがあるんだよ。この象徴がキングコングというわけだ。

後輩 ベトナム戦争が終結した時代、ということのようですが、だからか「地獄の黙示録」っぽい雰囲気も漂わせています。

爺 軍人たちがボートで大きな河を下る。それこそが本当の自分と向き合う旅であるというニュアンスを込めているのかも知れないな。まさしく「地獄の黙示録」だ。もっとも今度の映画には、そういう哲学的な問いかけはなくて、ひたすら怪獣の襲撃に対抗するばかりだけどな。

後輩 そういう風に見えるのであれば、また別の解釈が出来るのかもしれませんね。

爺 わしゃあ単純に、怪獣たちのバリエーションが豊富なのと、コングの巨大さ、それとヒロインのブリー・ラーソンがけっこうグラマラスなこと♡。

後輩 ・・・エロじじい・・・。

爺 なんじゃとっ!!

後輩 でも、正直なところ俳優さんの存在感よりも、怪獣たちの印象のほうが強いんですよね(笑)。

キングコング:髑髏島の巨神 メイン

(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

最後の最後まで、画面を観つづけろ!!

爺 やっばり彼は本物だなあ。レジェンダリー・ピクチャーズのトーマス・タル。これは「パシフィック・リム」「GODZILLA/ゴジラ」といったタルさん製作の怪獣映画の最新作だ。

後輩 タルさんって、友達みたいに言わないでくださいよ(笑)。しかしまあ、この人の作る映画はブレないですよね。一貫してエンタテインメントだし、しかも幼少期にたくさん観たという怪獣ものをビッグ・バジェットで作っている。今度の「キングコング/髑髏島の巨神」にしても、この後続篇が作られる「GODZILLA/ゴジラ」の後に、2大怪獣を対決させることを名言している。

爺 中国の不動産王からクビになったらしいから、東宝はタルさんを社外取締役として雇うつもりはないのかな?

後輩 いや、ゴジラの仕事しかやろうとしないでしょうし、ギャラも高額でしょうから無理なんじゃないですか(笑)?

爺 ラストには、あっと驚くシーンもあるし。

後輩 そうそう。「次回予告」ならぬ「次次回予告」(笑)。だから怪獣映画好きとトーマス・タル作品のファンは、最後の最後まで目を離さないように。その作品が観られるまで、長生きして下さいよ、長老。

爺 あたぼうよ。タルさんの怪獣映画を見届けなかったら、死んでも死に切れんわい。
 
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(企画・文:斉藤守彦)

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    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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