Jホラー界の〝こどもつかい〟王道貫く清水崇ワールド>

■「〜幻影は映画に乗って旅をする〜」

あの秋元康が監督を務め、2000年に公開されて以降一切ソフト化がされていない幻の映画『川の流れのように』以来16年ぶりとなる、滝沢秀明主演映画『こどもつかい』が6月17日から公開される。

こどもつかい

(C)2017「こどもつかい」製作委員会

ジャニーズタレント出演作は欠かさず見ている筆者としては、久々にスクリーンでタッキーを拝めることについて熱烈に触れたいところではあるが、何せこの『川の流れのように』を観る術がないことと、今回の作品がホラー映画で客層が限られてしまうことを考えたら、素直にJホラーについて語らざるを得ない。

この『こどもつかい』で監督を務めているのは、Jホラーの二大巨塔の片割れ『呪怨』シリーズを生み出した清水崇(もちろんもう一方は中田秀夫の『リング』ですよと、さりげなく二大巨塔が激突する『貞子vs伽倻子』をオススメしてみる)。

『呪怨』シリーズといえば、伽倻子ともう一人、俊雄くんの存在を忘れてはなるまい。つまり、清水崇のホラー映画に〝こどもの霊〟の存在は欠かせないのである。

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こどもつかい 新ビジュアル

(C)2017「こどもつかい」製作委員会

小さな子供が失踪した3日後に、その周りにいる大人が謎の死を遂げるという連続不審死事件を追う新人記者の駿也(有岡大貴)は、〝こどもの呪い〟の噂を耳にする。友人の死の直前に一人の少女が歌っていた歌に、事件解決の糸口があると目論み、取材にのめり込んでいく駿也。そんな矢先、保育士をしている恋人の尚美(門脇麦)が〝こどもの呪い〟にかけられてしまうのである。

不審死を遂げる大人たちに共通しているのは、虐待や性犯罪など、悪意を持って子供の恨みを買った大人ばかりなのである。子供が何もわからないと思って悪事を働く大人たちに、知らず知らずのうちに死の呪いがかけられるという、大胆な復讐劇は、ホラーというよりは社会派ミステリーのようにも映る。また、滝沢秀明の役どころのファンタジー要素も見逃せない。実にあらゆる要素が詰め込まれた作品なのである。

前述した『呪怨』では、父親によって殺された母子の霊が家に地縛霊として棲みつき、何年にも渡りその家に関わる人々に取り憑いていく様が描かれたが、今回も〝物〟に宿った魂が、年月を経て大きな鍵となっているのである。

もう一本、清水崇のホラー映画で同じような特徴を持った作品といえば、筆者個人的には清水崇監督の最高傑作、いや、Jホラー映画の最高傑作と信じて疑わない『輪廻』という作品がある。

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山奥のホテルで大量殺人事件が発生してから35年後。ある映画監督の男は、その事件を映画化しようと準備していた。オーディションで主演に抜擢された新人女優の杉浦渚(優香)は、人形を抱えた少女の霊と、すでに廃墟になった事件現場のホテルの幻影に悩まされる。そして渚は、事件の被害者の生まれ変わりなのだと語る女性に出会い、自分もその一人ではないかと疑い始めるのだ。

〝子供の幽霊〟〝数十年前の殺人事件〟〝廃墟〟、そして〝人形〟と、今回の『こどもつかい』と『輪廻』を結びつけるキーワードが多数存在している。しかも両方の作品で終盤に〝フィロソフィカル・ゾンビ〟が登場する点までも共通しているではないか。最高である。

『呪怨』は少なからずショッカー描写が見られたが、今回の『こどもつかい』は『輪廻』同様に、それを最低限に抑え、Jホラーらしい不穏な空気とミステリアスさを作品全体に蔓延させることで、真の恐怖を生み出す。観ている間は視覚的な恐怖を差し置いて、その物語の奥にある悲劇に心を奪われ、観終わってから数日間は、作品の雰囲気をついつい思い出して夢に見てしまう。これがJホラーの真髄ではないだろうか。

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(文:久保田和馬)

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    ライタープロフィール

    久保田和馬

    久保田和馬

    久保田 和馬 1989年生まれ。映画評論家/映画ライター/映像作家。フランス映画とアジア圏の映画をこよなく愛する。大学時代からの自主制作の延長で映像制作を行い、2013年から文筆業を開始。「図書新聞」へ映画評の寄稿、「リアルサウンド映画部」への寄稿など。

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