韓国映画『哭声/コクソン』で、国際スターとして本領発揮した名優・國村準!

■「キネマニア共和国」

哭声/コクソン メイン

(C)2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

日本映画のファンで國村準の存在を知らない人なんてそうそういないだろうと思われます。どんな作品でもどんな役で印象深くもアクの濃い存在感を残してくれる彼が、韓国映画に出演し、青龍映画賞男優助演賞&人気スター賞を受賞しました……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.213》

もはやサスペンス映画だのホラー映画だの何だのといったジャンル分けすら不可能な、戦慄の傑作『哭声/コクソン』です!

不気味な連続殺人事件を追う警官と容疑者のよそ者=國村準

映画『哭声/コクソン』は、韓国のとある平和な田舎町に得体のしれないよそ者(國村準)が住み着いてまもなく、村人が自分の家族を斬殺するというおぞましい事件が多発していきます。

殺人を犯した者は、すべて濁った眼と湿疹で爛れた肌になり、言葉を発することもできなくなっています。

そして事件を担当する村の警官ジョング(クァク・ドウォン)の娘の肌に、殺人犯たちと同じ湿疹が出始め、やがて性格も狂暴化。ジョングは娘を救うために、よそ者を追い詰めていきますが……。

本当に一言で言い表すことのできない、おぞましくもスリリングな作品です。

日本映画ファンなら、佐藤純彌監督の『野性の証明』の冒頭の山奥の殺人事件の真相や、黒沢清監督の『CURE』で人々に殺人行為を促し続ける不可思議な若者の存在などを彷彿させたりするかもしれません。

もっともこの作品、次第にどちらにもあてはまることのないミステリアスな、そしてまったく先行きの読めないストーリー展開で、見る者をどんどん画面に没入させていき、まるで狂乱の迷宮を彷徨っているかのような幻惑をもたらしていきます。

ドラマの焦点としては、主人公は娘を救えるのか? よそ者の正体とは? 果たして彼は犯人なのか? といったところへ絞られていきますが、まあ、驚いてくださいとしか言いようのない結末が待ち受けています。

できればこれ以上の知識は持たず、映画に接してください。

ただし、見終わって、あなたの精神状態がどうなっているかまでは責任持ちませんので、悪しからず……!?

哭声/コクソン 國村隼

(C)2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

真の国際スター國村準の魅力

では、ここで我が国が誇る名優・國村準の魅力について少しばかり記しておきましょう。

國村準は1955年、熊本県の生まれ。小学2年のときに大阪市へ移り、大阪放送劇団付属研究所9期生として入団。

81年に公開された井筒和幸監督の『ガキ帝国』で映画デビューを果たし、リドリー・スコット監督『ブラック・レイン』(89)出演を機に香港映画界からのオファーが殺到。その中にはジョン・ウー監督の『ハードボイルド/新・男たちの挽歌』(92)やジェフ・ラウ監督の『フル・ブラッド』(94)、トニー・オウ監督『さらば英雄 愛と銃弾の彼方に』(94)なども含まれています。

初主演した河瀨直美監督『萌の朱雀』は第50回カンヌ国際映画祭カメラドール賞(新人監督賞)を受賞したことで、國村準の名も国内で一気に広まり、以降はさまざまな映画やドラマに出演。善人から悪人、コワモテから優しさあふれる人物まで、主演も助演も何でもこなすいぶし銀の名優として、今や彼を知らない映画ファンはモグリと言っても過言ではないほどです。

今回の『哭声/コクソン』の彼は、国際的なキャリアを積んできた國村準ならではの、久々の本領発揮作といえるでしょう。

果たして今回の彼が演じるよそ者は善か? 悪か?

その真相は、ぜひとも劇場でお確かめください。

ちなみに、私は見事にやられてしまいました……(さて、どっちの意味で?)。

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(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou

    鹿児島県出身。映画文筆。

    朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。

    取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。

    編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊)

    その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。

    ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊)
    現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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