エロいのに、ただ落ち込んでしまう濡れ場…池脇千鶴

■映画の濡れ場大好き芸人の濡れ話

Photo via Visual Hunt

突然ですけど皆様は子供の頃に家族でテレビを観ていてエロい映像が流れたら、親はどういうリアクションでした?

静かにTV消される?ただただ気まずい時間が過ぎるのを待つ?

僕の家庭は父親自身がその気まずさに耐えきれなくなって
「アーーー!聡史!見て!めっちゃエロい!めっちゃヤラしいで!!こんなん観たら寝れなくなるよ!!どうしよ!どうしよ!」と満面の笑みで言ってくる家庭でした。

しかしそのおかげで「うっさいなぁ。映画なんやから静かに観てよ」とか言いながら、逆にきちんとエロいシーンを穏やかに観れるというエロに門戸を広げた家族でした。

だから映画好きの親はエロいシーンがあるからと言って僕に観せないという事はなかったです。
(伊丹十三監督の『たんぽぽ』の黒田福美さんの濡れ場だけは親父も茶化さず食い入るように観てて逆に引いた記憶がかすかにあります・・・)

さて今月は僕が観てきた古今東西の映画の濡れ場の中で印象に残った映画の話をする・・・そんな6月コラム。(好評だったら7月も・・)どうぞよろしくお願いします。

エロいのに、ただ落ち込んでしまう濡れ場…池脇千鶴

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池脇千鶴さんといえばご存知『ジョゼと虎と魚たち』(2004年)と『そこのみにて光り輝く』(2014年)で素晴らしい濡れ場をしています。これは濡れ場界では常識。

当時「え?あの池脇千鶴が脱ぐの?」と同い年の僕は興奮冷めやらぬ気持ちでした。

しかし『ジョゼと虎と魚たち』は当時僕の感じだと(あくまで感じ)オシャレ単館系の王道ともいえるこの作品。犬童一心監督、アスミックエース配給、主題歌くるり。スタイリッシュ街道まっしぐらのキーワードに映画ファンなら観なければならない風潮。(あくまで個人的の気持ち)

映画館でバイトしてたくらい映画好きの僕は「あくまで1映画ファンです。やましい気持ち0です。犬童さん好きなんす。」の顔で前売りを購入。

万全のセッティングでついに「ジョゼと虎と魚たち」を鑑賞。

ストーリーはとても簡潔に言ってしまえば足が悪い女性(池脇千鶴)とリア充の大学生(妻夫木聡)の恋。お2人の好演もあり映画は非常に心に残るストーリー。

しかし僕の感想はそれとは別に1つ。

「池脇さんすげえ。自分が恥ずかしくなった」

僕と同い年の池脇さんは本作で平然と脱いでいました。

正直その裸はお世辞にも男性を興奮させるには程遠かったし、濡れ場自体もエロいという感情は出ませんでした・・・。

でも、部屋に閉じこもりの女性、こぢんまりとしたおっぱい、陰鬱な顔と、全てが超絶リアル。

この濡れ場は、男性客を引き付けるという目的以上に作品性を高めるもの。
実際にテレビ番組で池脇さんは、「濡れ場がなかったら映画自体に出なかった」と平然と語っていました。グラビアアイドルのような豊満な体じゃないからこそ必要と踏んで脱いだ。

画面の向こうの池脇さんは、「私は役者よ。作品の為に全然脱ぐけど??で?お前ちゃんと観た?めちゃ良い映画やろ?」と問いかけてきた……ような気がしました・・・

映画ファンなら池脇千鶴の濡れ場を観るのは義務なのです。

(C)2014 佐藤泰志/「そこのみにて光輝く」製作委員会

 あれから10年以上が経ち『そこのみにて光り輝く』が公開。

池脇さんは家族のために売春婦をしている女性を演じ、相手役は、これまた不幸な過去を背負い人生をさまよう綾野剛。どん底の2人が出会い恋をするストーリー。

かつて僕にストイックを見せつけた同い年の女優は、紛れもなくスクリーンの中で売春婦だった。肉が付いた背中、無造作な髪の毛、ブラとパンツのチョイス。けちなプライド持って、不安定で惚れやすい。いわゆる安いオンナ。儚い夢を持ちながら、心には高い壁をつくる。

実際に会ったら、危険を知らせるアラームが頭の中で鳴る・・・そんな女性役。

(C)2014 佐藤泰志/「そこのみにて光輝く」製作委員会

その濡れ場は、ただただ片田舎のセックス。やっぱり、リアル。肉付きがあるぶん、おっぱいは以前より大きくなった。その緩さたるや、まさに田舎の売春婦。

囲われてる男に「早よ済まして」とパンツを脱いで殴られて、粗末な家に帰ればボケたが性欲だけは残った父親が叫ぶので、仕方なくチンチンしごく――。

このどん底生活を池脇さんが見事にリアルに演じている。
「風俗嬢役で脱がないなんてありえないよ。で?何?この映画めちゃ良いやろ?」

また問いかけてきた・・・
そう池脇さんなら「ここは火星人がいるのね? じゃあ火星人になるわ。火星人って服ないよね? じゃあ全裸でいいわ。当然。だって必然でしょ?」

といった具合に、すべて映画第一主義。

池脇さんの濡れ場は本当に最高だけど・・・映画ファンとして冥利に尽きるけど・・その分甘い自分を指摘されてるようでつらい。最高な濡れ場な分その反動でつらい。

でも観なければならない。それが映画ファンの義務なんだから。
これからも必要なら脱ぐ池脇さん。その映画を息子と観るときは「ちゃんと観なさい。」と静かに言おう・・・。

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(文:南川聡史)

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