映画・演劇の台本やポスター…準備稿までも閲覧可能!松竹大谷図書館訪問・中編

編集部公式ライターの大場ミミコです。さて、ある日のこと。夜な夜な筆者にムチ打たれている夫が、珍しく強い口調で私にこう言い放ったんです。

すごい所に連れてってやる!

むんずと筆者の手を取るや、ぐいぐい進む夫に導かれ到着したのがココでした。

松竹大谷図書館 使い方 館内 レポ

東銀座駅からすぐのアーバンな佇まいのビルの中に存在する、知る人ぞ知る施設『松竹大谷図書館』。

筆者は結婚前に10年ほど脚本家の卵として原稿に明け暮れていたという珍歴史の持ち主です。今でも映画やドラマの類を観ると、ついつい夫を相手に講釈を垂れてしまうんですね(笑)。
そんな妻を喜ばせようとしたのでしょうか。「洋画も邦画も、アニメもドラマも、脚本が読み放題だぞ!」と、私以上に嬉しそうにはしゃぐ夫と共に、ビルの中へと入っていきました。

映画・演劇資料の宝石箱!松竹大谷図書館までの道のり

そもそも「松竹大谷図書館って一体何?」という方は、こちらの記事をお読みくださいませ。

寅さんやガンダムの台本を閲覧可能って知ってますか?松竹大谷図書館訪問・前編

松竹大谷図書館は、東銀座にある『銀座松竹スクエア』という大きなビルの3階にあります。まずは1階のレストラン『羅豚(らぶ)』前のエレベーターで3階にGOしましょう。

エレベーターを降りると『公益財団法人松竹大谷図書館』の文字がお出迎えしてくれます。

松竹大谷図書館 資料 脚本 大場ミミコ

まだ足跡で汚されていない雪原のような真っ白い壁が、この図書館の穴場度を物語っています。おそらく、名称の固さや『専門色の強い図書館』という敷居の高さから、気軽に足を運べないというイメージがあるのかもしれません。

実際に訪問してみると、映画やお芝居が好きな方はもちろん、誰でも気軽に楽しめるアミューズメントスポットということが良く分かります。しかし、どうやって楽しむのかも、館内で何が出来るのかも分からないという疑問も手伝い、一般の方にはなかなか身近に感じにくいようです。

ということで、このたび私ミミコが『松竹大谷図書館』を実際に訪れ、入館から退館までの一部始終をレポートさせていただきます。ベールに包まれた館内の様子や資料の借り方などを紹介しますので、ぜひぜひ参考になさってみて下さいね。

HOW TO 松竹大谷図書館

エレベーターを降り、エントランスを抜けたら、そのままドアを開けて図書館に入ってみましょう。入館するとすぐ右手に、リターン式のコインロッカーがあります。貴重品&筆記用具以外はこちらに預けましょう。14席しかないため、一人でも多くの方が座れるようにかさばるダウンやコートもこちらにインでお願いします。

松竹大谷図書館 ロッカー 使い方

ロッカーを過ぎると、そこには図書館ならではの引き出しがズラリと並んでいます。

引き出しの中には『目録』と呼ばれるカードがぎっしり収納されており、来訪者はこのカードを参考に、資料請求票に図書名(資料名)を書き込んで受付係の人に提出します。すると、司書さんが奥の書庫から資料を持ってきてくれるので、それをテーブルで閲覧するという仕組みになっています。

前篇でも触れられていますが、この図書館で取り扱っている本や資料は、大変古い時代のものや貴重な文献が多いため、普通の図書館のように自由な閲覧や貸し出しは出来ません。資料の劣化を防ぐため、また資料を違う棚に戻して見つからなくなるといったトラブルを防ぐためにも、資料請求票をカウンター係に提出して資料を楽しむシステムとなっています。ルールに則って、楽しく資料を閲覧しましょう。

今回は体験レポートということもあり、あえて引き出しの目録カードを使った検索を試してみましたが、館内にはパソコン端末も設けられています。お目当ての資料が決まっている場合は、パソコン端末に書名や人名を入力する方が簡単&スピーディに検索できます。パソコン端末では2004年以降の登録資料全てと、2003年以前の登録資料のうち、データ(目録カードの内容)の入力が終了した資料を検索することが出来ます。

目録カードを使って検索してみよう

さて、せっかく目録カードを使った資料検索にチャレンジしたので、その方法を解説したいと思います。

例えば、『男はつらいよ』の第48作目の資料を探すことにしましょうか。

まず、資料名をローマ字表記にした『Otokowaturaiyo』の最初の4文字『Otok』と見出しに書かれた引き出しを開け、その中から該当するカードを探し当てます。良く検索される作品のカード付近には『男はつらいよ』などと、ポップ(オレンジの整理タグ)が施されていて、一見して解りやすくなっています。

大谷図書館 館内 脚本 資料 使い方

アナログな作業とオシャレな引き出しにテンションが上がります。

お目当てのカードが見つかったら、資料請求票に必要事項を書き込みましょう。
その際、カードに書かれた記号や資料名が必要になるのですが、カードは引き出しに綴られていて引き抜くことは出来ませんので、引き出しごと外してしまいましょう(限界まで引き、斜め上に持ち上げると、カクンと外れるようになっています)。それをテーブルなどに持っていき、じっくりと請求票を書くのが良いと思います。引き出しの一番上には書き方の見本があります。

大谷図書館 浜崎伝助 釣りバカ

上記写真の左側が『請求票の書き方の見本』右側が『引き出しのカード(目録)の見本』となっています。

この例ですと『男はつらいよ 第48作』の所蔵資料は、スチール写真が5枚、カラースチールが5枚、プレス資料が1枚という充実のラインナップですが、新聞や雑誌のスクラップがないことが解ります。このように、カード目録には所蔵在庫資料が一目瞭然に書かれていますので、その中から見たいものを選びます。そして、カードに書かれた図書番号や図書名を見ながら、票の必要事項を埋めていきます。

余談ですが、閲覧票の見本として書かれている名前や職業が『釣りバカ日誌』の”浜ちゃん”こと『浜崎伝助』になっているのが笑えます(笑)。他の見本も、遊び心のある仕掛けが施されていますので、ぜひ見つけて楽しんでみて下さいね!

アカデミックにアミューズメントする

ここまでは『男はつらいよ』という作品名で資料を検索しましたが(書名検索)。この他にも『山田洋次』などの”著者名”、アニメなどの”分類”でもカード目録が分類されており、あらゆるシーンや切り口に合わせて検索が出来る仕様になっています。

目録カードから検索できる人名は、『原作者』『翻訳者』『脚色者』『監督』『脚本家』『被伝者』など。

「ガンダムについて調べたいんだけど、どんな資料があるのかも解らないし、見てみないと解らないし…」というアバウトな場合でも、作品名からも、監督や脚本家の名前からも調べられますし、カードにぎっしり書かれた人名や書名に関連する資料も直感的に選びやすい仕組みになっています。

詳しい検索方法は、松竹大谷図書館のウェブサイトからもご覧頂けますので、行く前にぜひチェックしてみて下さいね。

資料の探し方|公益財団法人松竹大谷図書館(PDF)

引き出しと目録の仕組みに慣れないうちは少し戸惑うかもしれません。しかし、コツさえ掴めば新手の宝探しをしているような感覚に陥り、時間を忘れて楽しめてしまうから不思議です。例えるなら、百科事典の目次&索引の世界に入り込んでしまったとでも言いましょうか。目的の資料に辿り着くプロセスを味わうも良し、偶然性をあえて面白がるも良し、アカデミックな大人の遊びができるのも魅力の1つです。

大谷図書館 細分表 分類 ジャンル

こんなに多くのジャンルがあるので、検索方法も縦横無尽です。

松竹大谷図書館の実力 それは資料の豊富さにあり!

松竹大谷図書館では、書籍や台本など『本』の形をしたものだけではありません。業界ならではの”資料”や”宣材”なども取り揃えています。ポスター・パンフレットといった比較的手に入りやすいものから、マスコミや劇場専用のプレスシート、製作サイドだけに配られる企画書や準備稿などのレアな資料が揃うのも、松竹大谷図書館の一番の魅力と言っていいかもしれません。

資料は最新のものから、古くは明治・大正時代のものまで多くあります。保管してある資料によって時代の流れが感じられるのも、資料が豊富な図書館ならでは。例えば映画の場合、戦後〜2000年くらいまでの作品には『スピード』や『ロビーカード』といったものがあります。

『スピード』とは、劇場や一般企業などに貼られる縦長B2のポスターで、シルクスクリーンの手法で印刷されることが多かったようです。普通のポスターや映画看板よりも早く刷り上がるので、主に速報用として掲示されており、各配給会社には専門の刷り師を抱えているほど重要な宣材でした。しかしパソコン&プリンターが普及した昨今、時代の流れとともに、その役割を終えました。

ロビーカード スピードポスター 映画 宣伝

『ロビーカード』も昭和の香り漂う宣材です。作品の見どころを収めた大きめの写真が、10枚ほどのセットになって映画館のロビーに飾られることから『ロビーカード』と呼ばれています。しかし2000年以降、映画館のシネコン化と共にその姿を見ることは少なくなりました。このようなレア資料が当たり前のように保管されているのも、専門図書館の大きな特長ですね。

他にも、新聞や雑誌のスクラップ、セールスプロモーションで出された年賀状など、普通ではお目にかかれない資料がこれでもかと揃っています。これらの資料は、長きにわたって育んできた業界内のコネクションや、松竹社員さんの地道な努力、そして理解あるファンからの寄贈など、様々な方々の協力で収集&保管されているとのこと。その壮大な背景に、資料を請求する手にも思わず力が入ります。

請求票を書いて、カウンターに提出しよう

さぁいよいよ、請求票に記入して、司書さんにお渡ししてみたいと思います。

…と、ここまで書いてなんですが、ちょっと文章が長くなってきたので、ここから先は次回で紹介させていただきます。ではでは、後編も引き続きお楽しみ下さい。

映画・演劇資料の宝石箱!松竹大谷図書館潜入レポート・後編

(文・イラスト/大場ミミコ)

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    ライタープロフィール

    大場ミミコ

    大場ミミコ

    小学生の息子を持つ主婦ライター。美大卒業後、ストーリー漫画家を目指してシナリオ学校の門を叩く。その後10年ほど、映画・ドラマ・コミック原作などのプロットやコンペ原稿などの下積みを経験し、出産を機に引退。現役中は、お金を浮かせるために飯田橋ギンレイ、早稲田松竹などの名画座に通う傍ら、フリーペーパーなどのシネマコラムも執筆する。好きな映画は「真夜中のカーボーイ」「アメリカン・ビューティ」「チョコレート・ドーナツ」など、切ない&救いのない系の作品。一方、「ウェインズワールド」「プロデューサーズ」などのおバカコメディも大好物♡好きな俳優は佐藤健、好きな監督は中島哲也、内田けんじ。

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