【完全版】アカデミー賞で起きたこと、徹底分析!

発表直前、変革への舞台が整い始める。

アメリカ時間の2月9日、日本時間の2月10日、第92回アカデミー賞の授賞式が始まりました。

近年、アカデミー賞前の過剰なキャンペーンに批判が集まったこともあって、どんどん日程が前倒し傾向になっています。

そんな第92回アカデミー賞は二桁ノミネート作品が4作品も出るというある意味本命不在という状況。

さらにカンヌ国際映画祭パルムドール受賞の韓国映画『パラサイト半地下の家族』が6部門にノミネートされるという波乱含みのまま幕が開けました。

前哨戦までのムードとしては『1917』が優勢だったところに『パラサイト半地下の家族』が勢いをつけてきてといった感じでした。それでもいきなり韓国語・英語字幕の映画に主要部門はいかないのでないかな、やや『1917』優勢かな?という見立てが多数派でした。

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日本では定着している“映画字幕文化”ですが、アメリカでは少数派でアン・リー監督の『グリー・ディスティニー』が作品賞を獲れなかったのも『ROMA/ローマ』が獲れなかったのもそれが理由だろうという見方がある程です。

ただ、ここでまた動画配信サービスというものの存在が出てくるのですが、国籍を軽々と飛び越えて世界中に作品が配信されることで、非母国語(アメリカで言えば非英語)作品を字幕で見ることが急激に普及し始めていて、ばりばりの日本語セリフが飛び交う日英合作ドラマ『GIRI/HAJI』が大きな話題を呼んだりするなど、字幕で映像を見る土壌がアメリカでもできつつあったのかもしれません。

ポン・ジュノ監督の言葉を借りれば1インチの字幕の壁が思いのほか低くなっているのかもしれません。

この字幕文化の定着が今回の歴史が動いたことに繋がったのかもしれません。

また、アカデミー賞会員の構成も非白人・女性・外国籍の人々の割合が大きくなり、選ぶ人の中身も変わってきていることも事実です。

第92回アカデミー賞授賞式ハイライト。

グラミー賞歌手で『ハリエット』にも出演しているジャネール・モネイによるアカデミー賞を彩った楽曲のメドレーで第92回アカデミー賞の幕は上がりました。

Getty Images 

バックダンサーにはアカデミー賞ノミネート作品に限らず昨年、話題を呼んだ作品を想起させるファッションに身を包んだダンサーが踊ります。ジョーカーもいましたし、話題のホラー映画『ミッドサマー』を想起させる花に身を包んだダンサーもいましたね。見事なパフォーマンスを見せたジャネール・モネイは出席しているスター俳優たちも巻き込んで見事にスタートダッシュを飾りました。

昨年はクィーン+アダム・ランバードのメドレーや『アリー/スター誕生』のレディ・ガガとブラッドリー・クーパーのデュエットで盛り上がりましたが、やはり歌唱パフォーマンスは授賞式の花形ですね。

会が進む中では『アナと雪の女王2』の『イントゥ・ジ・アンノウン』をオリジナルのイディナ・メンゼルを筆頭に日本の松たか子を含めた世界9か国の“エルザ”による歌唱パフォーマンスもありました。

 Photo by Kevin Winter/Getty Images

日本人が受賞者やプレゼンターになったことはありますが、パフォーマーとなるのはこれが初ということで、松たか子と日本での『アナ雪』の成功という功績が認められた証といっていいでしょう。

『ロケットマン』のエルトン・ジョンが圧巻のパフォーマンスを見せてそのまま主題歌賞受賞まで突き進みました。

映画版の製作も決まった大ヒットブロードウェイミュージカル『ハミルトン』の出演者アンソニー・ラモスが紹介する形で、主題歌が映画本編に与える影響の大きさについて、映画史に残る名テーマ・大ヒットソングをメドレー形式で流して紹介。

その流れを受けた後、なんとエミネムが主演映画の『8mile』の主題歌『ルーズ・ユアセルフ』を披露するサプライズ。

ヒップホップのヒット曲ということで口ずさめる出席者が多く、歌い終わるとスタンディングオベーションが起きました。2002年に歌曲賞を受賞していたエミネムがまさか、まさかのアカデミー賞登場です。

毎回恒例のアカデミー賞授賞式の名物コーナーの“追悼”のコーナーでは先日のグラミー賞で史上最年少で主要4部門を受賞した若干18歳のビリー・アイリッシュがビートルズの名曲『イエスタデイ』をしっとりと歌い上げました。

この追悼の中には日本からも黒澤映画で世界的にも知られていた京マチ子さんの名前、つい先日、訃報が飛び込んだカーク・ダグラスの名前もありました。
この追悼のコーナーは監督や俳優だけでなくスタッフも多く紹介されるのでとても貴重な場面になっています。


    ライタープロフィール

    村松健太郎

    村松健太郎

    村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年目に入った映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、イベント運営に携わる一方で各種記事を執筆。

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