『パージ:エクスペリメント』を観るべき「3つ」の理由!最悪の実験の結果とは?

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年に一度、殺人を含むあらゆる犯罪が12時間だけ許される”パージ法”。この悪法が全米に施行された近未来を描く『パージ』シリーズの最新作『パージ:エクスペリメント』が、6月14日から日本でも公開された。

シリーズ前3作の累計世界興収が500億円を突破、更に全10話のテレビシリーズも製作されるなど、今後も更なる展開が予想される、この『パージ』シリーズ。今回は「何故”パージ法”がアメリカで施行されることになったのか?」、その始まりを描くだけに、過去作で感じた多くの疑問への答えを期待して鑑賞に臨んだ本作。気になるその内容は、果たしてどのようなものだったのか?

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ストーリー

21世紀、アメリカは経済が崩壊し、“アメリカ建国の父”を名乗る新政党NFFA(the New Founding Fathers of America)が政権を握っていた。彼らは犯罪率を1%以下に抑えるためにある施策を採用する。メイ・アップデール博士(マリサ・トメイ)が考え出した一年に一晩だけ殺人を含む全ての犯罪が合法となる“パージ法”だ。反対デモが起こる中、全国での適用の前にニューヨークのスタテン島内だけに施行する“実験”が行われることが決定。島の住民たちは不安を抱えながらパージ当日を迎える。島を愛するディミトリー(イラン・ノエル)は、愛する人を守るために島に残ることを決意。果たして、人類史上最悪の実験が行われる中、人々は生き残ることができるのか―!?

予告編

理由1:遂に全ての始まりと謎が明らかにされる!

『パージ』シリーズが公開される度にネットで目にした感想に、「果たして人間はそんなに簡単に人を殺したり犯罪に走ったり出来るものだろうか?」というものがある。

確かに、年に一度の時間限定とはいえ殺人や略奪などの全ての犯罪行為が許される状況は、根っからの犯罪者や異常者でも無ければ、わざわざ危険な夜の街に出て自ら危険の中に飛び込むとは考えにくい。

普通に考えればシリーズ1作目で描かれた様に、全てが終わるまで安全な場所に隠れて、世が明けるのを待てば良いだけのこと。そんな観客の意見を反映してか、2作目以降は主人公たちが”パージ法”施行中の夜の街を移動しなければいけない状況や、政府による”暗殺部隊”の導入などが描かれてきた。

例えば個人的な復讐のためにパージに参加する者や、この機に乗じて大統領候補を暗殺しようとするなど、続編において様々な理由付けが行われてきたのも、この根本的な疑問への解答を示すためと考えられるだろう。

パージ (字幕版)

この流れを受けて、”パージ法”が全米に導入される以前の導入実験を描く最新作では、遂に「許可されたら、人間はそんなに簡単に犯罪を行ったり人を殺すのか?」という疑問への答えが、我々に示されることになる。

詳しく書くことは避けるが、”パージ法”の実験中、確かに一部の人々により殺人や略奪が行われるが、島に残った住民は意外と普通に街中で音楽をかけてパーティーを楽しんだりしている! という描写が登場することで、「なるほど、やはり人間はそんな簡単にはタブーを犯すことは出来ない」、そう観客も思うのだが…。

やがてあることをきっかけに、スタテン島は殺戮の戦場へと変貌していくことになるのだ。

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こうして政府側の巧みな情報操作と暗躍により人々が扇動され、後の”パージ法”本格導入に至った経緯が今回明らかにされたことは、本作の舞台が2018年に設定されている点を踏まえて考えると、非常に興味深いものがある。

何故なら、現実の世界でもネットの情報の真偽を確かめずに拡散したり、ねつ造された情報や動画に人々が影響されてしまうことは、近年問題となっているからだ。

今回敢えて時代設定を巻き戻したことで、より現実味を帯びた内容へとシフトした、この『パージ』シリーズ。

地獄の様な”パージ法”導入実験の一夜を戦い抜いた人々の声が、果たして政府に対抗できるのか? それは次回作で語られることになるのかもしれない。

理由2:ついつい観たくなる、シリーズの魅力!

全米が狂気に支配される夜に、それでも人間としての良識に従おうとする人々と、逆に”パージ法”を受け入れ、政府に扇動される側との対比が描かれるこのシリーズの魅力は、何といっても「この極限状況で、あなたならどうする?」と、観客に毎回問いかけてくる点だろう。

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殺人を含む、あらゆる犯罪が許される”パージ法”が施行された一夜の出来事を通して、ある人物を助けた一家が体験する恐怖が描かれたシリーズ1作目の『パージ』。続く2作目の『パージ:アナーキー』では街全体を舞台に、飲酒運転で息子を奪われた男の復讐と、反パージを掲げる集団の行動が群像劇として描かれ、更に3作目の『パージ:大統領令』では、”パージ法”を廃止しようとする女性大統領候補を”パージ法”施行中に暗殺しようとする陰謀と、それに立ち向かう人々の姿が描かれるなど、シリーズを重ねる度にその作品世界やテーマを拡大してきた、この『パージ』シリーズ。

そんな中、今回の最新作ではアメリカ全土に”パージ法”が施行される前の時代に戻り、ニューヨークのスタテン島限定で行われた”パージ法”の導入実験が描かれることになる。

島の住人には12時間の間、島を退去するか、それとも島に残って実験に参加して5000ドルを手にするか? の選択権が与えられることになるのだが、ここで重要なのは、特定の利益のために犯罪者や貧困層を排除しようとする政府の中枢にこそ、本当の悪が隠れているという点だ。そのことは、5000ドルの報酬目当ての貧困層が島に残り、富裕者層はさっさと島から脱出する描写にもよく表れている。

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こうして5000ドルの高額報酬のために島に残る者や、単に殺人への欲望を満たすための者など、様々な思惑を含んで遂に実験開始のサイレンが島中に鳴り響く中、周囲に左右されず自身の価値観と正義に基づいて行動することの大切さや、社会からドロップアウトした悪人の中にも、自身の信念や大切な人々を守りたいという想いが存在することが描かれる本作。

特に、スタテン島を束ねるギャングのボスであり、”パージ法”導入実験中の混乱に乗じた仲間からの裏切りをきっかけに、思いがけずヒーロー的活躍をするディミトリの心の葛藤は、人間の中の”善き部分”を信じたいと願う多くの観客の共感を呼ぶはずだ。

この様に全ての犯罪が許される設定の中で人々の価値観が逆転し、その中で登場人物たちの人間性が試される展開も、本作を毎回観てしまう理由の一つなのだ。

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理由3:実は過去作を未見でも、全然大丈夫!

既にシリーズ3本が公開されているため、過去シリーズを未見だったり、あるいは怖い映画だと思って劇場での鑑賞を迷っている方も多いのでは?

でもその点はご心配なく! 内容的には文字通り「エピソード1」となる本作だけに、まずはこの『パージ:エクスペリメント』を観てからシリーズ1作目に触れる方が、このシリーズをより楽しめるはず。

今回描かれるのは、後のアメリカ全土への導入を前提に行われる”パージ法”導入実験のエピソード。そのためには、どうしても成功させて数字的に有利なデータを得たい政府側の冷酷さと、個人的な理由で島に止まる一般市民や、結果的に正義の側に立つことになる犯罪者側との対比が、実に見事な本作。

この展開がシリーズの1作目にどう対応してくるのか?

そして”パージ法”に反対する者たちの存在と、彼らの戦いが果たして世界を変えるのか? など、まだまだ先の展開が待っているこの『パージ』シリーズ。まずはこの最新作から順を追って入っていくのが、オススメです!

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最後に

年に一度、政府によって許された殺人の機会に参加するか、あるいは全ての出来事から目を逸らし、12時間、隠れているか?

この二つ以外の選択肢を選ぶことで、自身の良心や内なる声に従おうとする人々の戦いが描かれてきた『パージ』シリーズ。今回の最新作が遂にそのルーツを描こうとしたのは、多くのファンの要望に応えるためと、これからの新たなシリーズ展開の上で実に賢明な選択だったと言える。

失業率や犯罪の低下など、大きな成果をアメリカにもたらした”パージ法”。

前作の『パージ:大統領令』で、遂に大統領選にも影響を持つまでに強大となったこの”パージ法”が、そもそも何故導入されることになり、これほどまでに拡大したのか? ファンが抱き続けてきた疑問への答えが遂に明かされる本作は、決して過去作全てを追いかけてきたファンのためだけの作品ではなく、過去作を未見でも本作からシリーズに入っていける内容に仕上がっているからだ。

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大金のために実験に参加した人々の体験や声を無視して、当初から予定していた結果を達成すべく暗躍する政府の恐ろしさや、テレビ中継で人々の目に触れる情報がいかに操作されて伝えられるかなど、98分の上映時間内に現代社会に通じる様々な問題点を盛り込んで、登場人物たちの極限状態での選択や行動が描かれる本作。

思えば一つの家族の物語から始まり、街を舞台にした群像劇へ、更には大統領暗殺を巡る物語へと、このまま拡大が続くかと思われた『パージ』シリーズだが、敢えてその前日譚に戻って描くことで、シリーズの再生と新しい観客の獲得に成功したことは、ファンにとっても実に嬉しいところ。

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5000ドルの高額報酬に目がくらんだ貧困層が犠牲となる設定や、自分の身の安全を自分が守らねばならないという現実の中で、国家の仕組みや人間同士の思いやり・人権が崩壊する様子を描きながら、同時に人間としてのモラルや思いやりを捨てない人々の戦いを描く、この『パージ:エクスペリメント』。

果たしてこれでシリーズ完結となるのか、それとも新たな展開を我々に見せてくれるのか?

まだまだこのシリーズから目が離せそうにないようだ。

(文:滝口アキラ)

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