『幸せをつかむ歌』レビュー、家族とうまくいっていない人に是非観てほしい!

2016年3月5日(土)より、メリル・ストリープ主演の映画『幸せをつかむ歌』(原題:Ricki and the Flash)が公開されます。ここでは、一足先に鑑賞させていただいた筆者が、映画の魅力を紹介します。
幸せをつかむ歌

1.家族の再生を描いた映画

本作のあらすじはこんな感じです。

リンダ(メリル・ストリープ)は、ハウスバンドの“リッキー・アンド・ザ・フラッシュ”のボーカリスト。貧乏ながら、常連客やバンド仲間に恵まれ、充実した毎日を送っていた。

ある日、元夫のピート(ケビン・クライン)から、娘のジュリー(メイミー・ガマー)の力になってほしいという連絡が入る。ジュリーは、自身の夫に浮気されたうえ、捨てられて自暴自棄になっているというのだ。リンダは十数年ぶりに帰郷し、自分が“歌のために家族を捨てた母親”として、ジュリーから憎まれていたことを知る。

つまり、娘のジュリーは夫と母親の両方、ひいては家族に捨てられたかわいそうな女性なのです。一方で主人公のリンダは、音楽という夢のために家族を捨ててしまったひどい母親です。この家族の関係は、もちろん簡単には解決できるわけがありません。リンダが何を言っても、ジュリーが聞く耳を持たないのも当然です。

しかし……この映画のおもしろいところは、リンダの歌声があってこそ、家族の再生が描かれていくこと。母親が音楽のせいで家族(娘)を捨ててしまったにも関わらず、その母親の音楽でこそ娘が救われていくのです。

どうしてそうなるのか?と思った方は、ぜひ劇場に足を運んで欲しいです。

2.名曲の数々をメリル・ストリープが熱唱!

本作については、音楽の魅力を語らないわけにはいけません。劇中のバンド演奏はすべて生演奏で、しかもメリル・ストリープが誰もが知る名曲の数々を熱唱するのですから!

そのラインアップは、ローリング・ストーンズも歌っていた“Drift Away”、レディ・ガガの“Bad Romance”、ブルース・スプリングスティーンの“My love will not let you down”などなど! どれもがシーンにバッチリハマっており、さらに物語をドラマチックに彩ります。

その中でも、劇中でもっとも大きな意味を持っているのは、オリジナル曲の“Cold One”なのかもしれません。

詳しいことは書きませんが、この前に主人公のリンダとその夫のピートは、娘のためにものすごくカッコイイことをしてくれるのですよ。そのことも相まって、そのやさしい歌声と歌詞には、ついつい涙腺がゆるんでしまいます。

3.高齢でも元気な出演者!

メリル・ストリープはなんと65歳(撮影時)。それにも関わらず、劇中ではエネルギッシュな歌声を披露しています。

メリルの恋人役となるのは、同じく65歳のリック・スプリングフィールドです。こちらはさらに還暦越えとはとても思えない色気!

自分は歳を感じさせない、格好いい役者さんたちが大好きなんです。

幸せをつかむ歌

4.娘役はメリル・ストリープのリアル娘だった!

本作で娘のジュリーを演じるのはメイミー・ガマー。彼女はメリル・ストリープの実の娘だったりするのです。顔もかなり似ています。

撮影時、監督はメイミーとメリルが一切言葉を交わさないようにと指示したそうです。おかげで、“(演技上では)このふたりは不協和音を奏でていると感じるほどに仲が悪いが、遺伝子上の母娘のつながりを感じられる”というリアルな関係性をみることができるのです。

幸せをつかむ歌

5.おばあちゃんがキーパーソン?

この映画では終盤に、軽い認知症にかかっている親戚のおばあちゃんが登場します。そのおばあちゃんが言っていることは、なんてことのない世間話であり悪口(笑)なのですが、主人公にとっては福音となったのではないでしょうか。

このおばあちゃんへ主人公が返した言葉も、これまた素敵。何気ないシーンですが、これだけで主人公の心変わりがわかるのです。

6.すべての“失敗した人”におくる物語

この映画では、仲違いになってしまった家族が、再生する物語が描かれています。“家族とうまくいっていないな”と思う方に観てほしいことももちろんですが、これは大小関係なく“選択に失敗したことがある”人に観てほしいです。

主人公はバンド仲間に恵まれて、貧乏ながらも楽しく過ごしてるので、傍目から見れば十分ハッピーにも思えます。ただし、その生活の中にも、ひとりでご飯を作って、ひとりで寝なければならない、といった“寂しさ”が顔を出します。それだけならまだしも、主人公は自分の存在が娘を苦しめていた事実を知るのです。

人生において“あのときにこうしていればよかった”と思うことはままあります。本作の主人公は音楽のために家族を捨てざるを得なくなり、そのために家族との仲違いをしてしまいました。そのために寂しさを感じるばかりか、娘が苦しんでいるのですから、それはもう後悔しているはずです。

だけど、この映画では“一度失敗しただけで終わりなわけがない、いまからでもできることがあるはずだ”というやさしいメッセージをおくっています

主人公が最後に家族のためにしてあげたことは、ある意味で“場違い”で不器用なものなのだけど、それでいいのでしょう。
たとえ昔には仲違いになっても、いまからの幸せのために、心を込めてできることがあれば――。

それはどんな人にでも当てはまる、素敵なことのはずです。

幸せをつかむ歌
『幸せをつかむ歌』は、3月5日(土)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかロードショーです。

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(文:ヒナタカ)

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