映画コラム

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2017年01月23日

「ローグ・ワン」の主役はK2SO!感動のキモは、正月の駅伝理論にあり!

「ローグ・ワン」の主役はK2SO!感動のキモは、正月の駅伝理論にあり!

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー


(C)2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.



昨年末の公開以来、「絶賛派」と、「うーん、いまいち派」に意見が分かれている、映画「ローグ・ワン」。
エピソード4冒頭の10分前に繋がるストーリーや、意外にもその暗い内容など、ファンの間でも話題となっている本作を、今回は2D版と3D版の2回に渡って鑑賞してみた。果たして、その内容と出来栄えは、どうだったのか?

実は主役は新キャラ、K−2SO!


登場人物のキャラクターの薄さが話題に上ることが多い本作において、抜群の個性と存在感で観客の人気をさらってしまったのが、新キャラであるドロイドのK−2SOだ!
元々帝国軍のドロイドだったのが、再プログラミングされて今は反乱軍側のドロイドとして行動している、このK−2SO。
一見シンプルなその外見とは裏腹に、あまりに魅力的で、感情豊かに見えてくるそのキャラクターは、観客の人気度でもNo1となっている。(その割りにグッズが少ないのが困り物だが・・・)

人と出会うことで、間違った人生や過去の過ちもやり直せる。そんな本作のテーマを体現するかの様な、このK−2SO!
彼の勇気ある行動と、その果たした役割の大きさは、是非劇場でご確認を!



(C)2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.



多くの観客が泣いた!その魅力は、正月恒例の駅伝理論にあり!


観客の間でも賛否両論となっている本作が、我々に本当に伝えたかった物とは、いったい何なのだろうか?
戦争の悲惨さや戦いの無意味さ?それとも悪とヒーローの戦い?派手なCGや宇宙船同士の戦い?
いや、本作が我々に伝えようとしたこと、それは「後の世代のために、今我々が何をすべきか?」ということに他ならない。

本作で描かれるのは、特に特別な能力を持たない市井の人々が、それでも自分に出来る「何か」を行動に移すことで、次第に世の中を変革に導くような大きなうねりへと発展させ、最終的に大きな目標達成への架け橋となる、その姿だ。
現在の自分の行動が、やがて次の世代や別の誰かに受け継がれて、将来の幸せや平和の礎となる。そんな基本的なことを、我々に気付かせてくれるのが、この「ローグ・ワン」なのだ!

そう、それは正にお正月恒例の駅伝中継における、各区間のランナーが次のランナーへとタスキを繋ぐ!その姿に我々が釘付けになる現象に似ている。
「俺は精一杯やった、後は頼んだぞ」、或いは「すまん、俺はここで限界だ、後は頼んだ・・・」。
全力を出し切って倒れるランナーから、次のタスキを受け取って走り出すその姿!一人一人の努力が実を結ぶ、或いは惜しくも力及ばず破れても、その思いが伝わっていくその姿にこそ、我々の感情を動かす秘密があるのだ。

本作に感情移入する中高年のおじさんが多いという現象、それは「自分が生きたという証を、後の人々がムダにせず受け継いでくれている」という描写に、その心を鷲づかみにされているからに他ならない!
それが見事に表現されているのが、本作終盤でのダースベイダー大活躍シーンでの、設計図を守る無名の兵士たちの描写だと言えるだろう。
実は、個人的に「ローグ・ワン」で一番泣いたシーンもここだった。

彼らの犠牲によってもたらされた僅かな「希望」。あまりにも重いその「希望」を託された若者が、見事にそれに応えられる様なヒーローに成長するSWサーガへの導入部として、本作「ローグ・ワン」は文字通り「橋渡し」の役割を立派に果たした、そう断言する。

その他にも、観客の数だけそれぞれの「感動シーン」が存在する本作。あなたも是非、自分だけの「感動シーン」を見つけてみては?



(C)2016 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.



最後に


本作のラストを観て、彼らの行動を「無駄」とか、否定的な意見を持つか?それとも前述したように、「未来への希望を繋いだ、意味と価値のある行動」と捉えるかで、本作の評価は大きく変わってくる筈だ。

本家のSWの様に、映画に「ヒーロー」を求める観客には、恐らくこの「ローグ・ワン」は物足りないし、評価的にも低いと思われる。
しかし、未来の平和のために希望を繋いだ、「ローグ・ワン」の人々。そして前述した様な、役名すら与えられていない様な「無名の兵士たち」の尊い犠牲など、彼らに自分を投影して感情移入出来る人々には、本作は傑作であり評価が高いのではないだろうか。

一度見て否定的な意見を持った方も、是非もう一度鑑賞して頂ければ、きっとまた違った魅力に気付くことは確実の本作!
全力でオススメします!

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(文:滝口アキラ)

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