映画の「リブート」「リメイク」「リ・イマジネーション」一体何がどう違う?

(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.

明日2018年3月21日から公開される『トゥームレイダー ファースト・ミッション』。心機一転、再始動でありながら大変優れた愛されるべき作品。その魅力を多角的に検証していきます。

「リブート」、「リメイク」、「リ・イマジネーション」、何がどう違う?

最近映画の表現で多いのがリメイクやリブートという言葉です。

リ・イマジネーション(再創造)という言葉も“リメイクではない”という意思表示のために一時期使われましたが、最初に大々的に使ったティム・バートン監督版の「猿の惑星」が言葉を定着させる程のインパクトを残せなかったこともあって、フェードアウトしてしまいました。

そこで、まずはリブートとリメイクの違いについてあまりマニアックにならないようにしながら触れていければと思います。

リブート

リブートという言葉は元々はIT用語の再始動・再起動を表す時に使われていたものを、映画業界が作品展開の表現に転用したことから始まりました。

リブートと表現する場合はスタッフ・キャスト、コンセプトなどを大きく変えて、一から物語を語りなおす時に使われています。なので、もちろんオリジナルのファンへの心配りも忘れませんが、それまでのシリーズとは比べると明らかに違和感を持つ人が出てきたりすることもあります。

09年から始まったJ・J・エイブラハムズ監督の『スター・トレック』(以降「イントゥ・ダークネス」「ビヨンド」)や11年からのマット・リーヴス監督の『猿の惑星:創世記』(以降「新世紀」「聖戦記」)が最近のリブートの中ではわかりやすい例で作品としても成功した例とも言えるシリーズですね。

リメイク

リメイクの場合は以前に作られた作品があって、それと同じものを原作として改めて映画化したものです。最近の映画でわかりやすいものは『オリエント急行殺人事件』や『美女と野獣』でしょうか。リメイクの場合は原作が他国の映画であったり、テレビドラマであったりもします。テレビドラマのリメイク映画で最近の大成功例はトム・クルーズのライフワークとなりつつある「ミッション:インポッシブル」シリーズがあります。

他国からのリメイクで言えばJホラーの代名詞『リング』がハリウッドに渡って『ザ・リング』として映画化され、後にシリーズ化もされました。シンガーソングライターのYUI主演で話題になった『タイヨウのうた』のハリウッドリメイク版『ミッドナイト・サン タイヨウのうた』なんていう作品もあって5月に日本公開予定です。

ちなみにともに女性が主人公になった『オーシャンズ8』(元の作品は60年の『オーシャンと十一人の仲間』をリメイクした01年の『オーシャンズ11』、ちょっとややこしいですね)や16年の『ゴースト・バスターズ』(元の作品は84年の同題映画)はキャスト・スタッフが大きく変わっていますのでリブートとも言えますが、作品のコンセプトやテイストは変わっていないのでリメイクとも言えるリブートとリメイクのハイブリッド的な作品なので、また新しい言葉が生まれるかもしれませんね。

そしてリブート

そして、新たにリブートされた映画として名を連ねるのが『トゥームレイダー ファースト・ミッション』です。

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オスカー女優はアクション映画を目指す!?

元々、01年と03年にアンジェリナ・ジョリー主演で同タイトルのゲームを原作にして映画化された『トゥームレイダー』は2作品ともヒットを記録して、これ以降アンジー(アンジェリナ・ジョリーの愛称)=強くタフな女性というイメージが付くようになりました。

そのリブート作となる『トゥームレイダー ファースト・ミッション』でアンジェリナ・ジョリーに代わってヒロインのララ・クロフトに抜擢されたのが『リリーのすべて』でアカデミー助演女優賞を受賞したアリシア・ヴィキャンデル。実はアンジェリナ・ジョリーも『トゥームレイダー』からさかのぼること2年前の『17歳のカルテ』でアカデミー助演女優賞を受賞していました。

この二人に限らず、オスカー女優(アカデミー賞女優)が次の一手としてアクション映画に挑むという例は少なくありません。やはりオスカーを受賞して女優としてのキャリアが上がったことで“強い女性”の演じ手を求められるのでしょうか?

ここ数年でも『世界にひとつのプレイブック』でアカデミー主演女優賞を受賞したジェニファー・ローレンスはその後も賞レースに絡みながらも『ハンガー・ゲーム』と『X-MEN』に出演しています。

『ルーム』で主演女優賞を受賞したブリー・ラーソンの受賞直後の作品はクライムサスペンスの『フリー・ファイアー』と『キング・コング:髑髏島の巨神』です。

アメリカで記録的な大ヒットになっている『ブラック・パンサー』に出演しているルピタ・ニョンゴは、実質初出演となった長編映画『それでも夜はあける』でアカデミー助演女優賞を受賞し、その勢いのままに「スター・ウォーズ」新三部作でマズ・カナタのボイスキャストを担当、そして『ブラック・パンサー』でマーベル・シネマンティック・ユニバースの住人にもなりました。

スター映画からヒロイン映画へ
『トゥームレイダー ファーストミッション』

トゥームレイダー サブ2

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『トゥームレイダー』に出演した01年の時点でアンジェリナ・ジョリーはデンゼル・ワシントンと共演した『ボーン・コレクター』などで、すでにスターとしての立ち位置を築きつつありました。それに対して新ララ・クロフトのアリシア・ヴィキャンデルはキャリアや認知度はまだまだこれからというフレッシュな存在です。

そして今回の「トゥームレイダー」のリブートにはそんな彼女のフレッシュさがピタッとはまりました。

今回のリブートでアンジェリナ・ジョリーのスター映画だった『トゥームレイダー』が新スター候補のアリシア・ヴィキャンデルによるヒロイン=ララ・クロフトのトレジャーハンター(トゥームレイダー)としての成長していく物語へと大きく変わりました。ちょうど、これからどんどんキャリアをつんでいくアリシア・ヴィキャンデルの姿にもきれいに重なります。

この違いは、映画のオープニングからもわかります。アンジー版では映画冒頭からすでにララ・クロフトは冒険のスペシャリストです。格闘技や銃撃戦にも長けていて、考古学や民俗学の知識も豊富であらゆる分野に精通しています。

一方の「ファースト・ミッション」でのララ・クロフトはまだトレジャーハンター(トゥームレイダー)の仕事にすら就いておらず、クロフト家の豪邸にも住んでいません。経済的にも困窮していてバイク便で生計を立てています。格闘技ジムなどに通っていたりしますが、試合では善戦しても負けてしまうこともあります。

まったく違うララ・クロフトを冒険へと駆り立てるものとは?
そしてあっと驚く舞台

トゥームレイダー

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そんなまったくタイプの違うララ・クロフトが過酷な冒険に挑むきっかけというのは、ある調査に出向いたまま何年も行方知れずになっている父親のクロフト卿の存在です。
「ファースト・ミッション」でララが豪邸で暮らしていないのもその生活を受け入れることは間接的に父の死を受け入れて遺産を受け継ぐことになるからでもあります。

フロスト卿は代々、多くの遺跡を調査し、そこに秘められた強大な力を悪用しようとする者たちから守ってきたクロフト家の当主でした。生きているのかどうかもわからない父親の行方をうかがわせるものがララの手元に届いたところから、ララは自身の生き方、家名、運命と対峙する旅が始まります。

アンジー版ではアンジェリナ・ジョリーの実の父親ジョン・ボイトが演じて話題になりました。「ファースト・ミッション」ではイギリスの名バイプレイヤーのドミニク・ウェストが演じています。

そしてその旅先はなんと日本!

トゥームレイダー サブ1

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オリジナルゲーム(13年版)にもあった設定をアレンジした新ララ・クロフトの”ファースト・ミッション”の舞台はなんと日本・古代の女王“ヒミコ”が眠る孤島“ヤマタイ”です。

死をも操る力を持つという伝説の女王“ヒミコ”の力を追ってララはロンドン、ホンコン、そして謎の孤島”ヤマタイ”を巡り、父親が最後に守ろうとした宝の謎を解いていきます。

アンジー版ではすでに個性派のバックアップチームが登場していますが、今回はまだトレジャーハンター業の就く前ということで仲間はまだいません。そんな中で今回は香港の俳優でジャッキー映画の常連で最近は『ジオストーム』などでハリウッドにも進出したダニエル・ウーが頼りになる相棒として登場します。彼が合流する中盤からはバディムービーとしても楽しめるようになっています。

アンジー版やゲーム版のファンへの気配りもあって、ラストでは敵対する組織“トリニティ”の存在が描かれたり、“トゥームレイダー=ララ・クロフト”のトレードマークともいえる二丁の大型ハンドガンが最後に出てきたりと、”この後”も十分感じさせる映画になっています。

アンジー版がパート2で終了してから気が付けば15年。前のシリーズを知らない人も多いことも考えるとまったく新しい感覚で「ファースト・ミッション」から始まる新トゥームレイダーシリーズはこれから追いかけ始める陽性なヒロイン映画としては最適な一本と言っていいでしょう。

(文:村松健太郎)


    ライタープロフィール

    村松健太郎

    村松健太郎

    村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年目に入った映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、イベント運営に携わる一方で各種記事を執筆。

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