映画化で原作の続編は完全に封じられた!?『翔んで埼玉』原作者・魔夜峰央先生インタビュー

累計発行部数66万部を突破した『翔んで埼玉』が奇跡の映画化! 二階堂ふみとGACKTをW主演に迎え、前代未聞の“埼玉ディスリ映画”を、愛を込めて全国に届けます。

原作の『翔んで埼玉』は「パタリロ!」で知られる漫画家の魔夜峰央先生が1982年当時、居を構えていた埼玉県を自虐的に描いたギャグ漫画として発表。その後、30年以上を経て2015年に宝島社から復刊され、SNSなどで大反響を呼びました。

今回は本作の生みの親である漫画家の魔夜峰央先生に、映画化にあたっての胸中や作品への思い、映画をご覧になった感想などをお伺いしました。

──映画化の話が舞い込んできた時の率直な感想はいかがでしたか?

魔夜先生:本気ですか、と(笑)。というよりは、正気ですか!? ですね。「いったいどうやって映画化するの!?」が、率直な感想です。でも、その段階で主演のお2人の名前を聞かされまして。「二階堂さんとGACKTさん」と聞いて、それ以上に驚きました。もう、その場にいた全員が卒倒する勢いで(笑)。

(C)2019映画「翔んで埼玉」製作委員会

でも、その次の瞬間に「その2人なら、映画化もアリだな」と。このキャスティングが実現すれば、成功するんじゃないかと思いました。さらに監督も「テルマエ・ロマエ」などの映画化で知られるヒットメーカー・武内英樹さんですから。外す事はないだろうと確信できました。出来栄えに期待もしておりましたが、試写を拝見したところ、想像以上に面白い作品に仕上がっていました。

──原作は未完でしたが、映画で続きが描かれたことに関してはいかがでしょうか?

魔夜先生:「よくここまでたどり着けたな」と感心しました。私が漫画で描いていた部分は、映画の尺で考えるとほんの一部。私に「続きを描いて」と言われたら「無理だ」と答えていただろうから、武内さんはさすがだなと思いました。

(C)2019映画「翔んで埼玉」製作委員会

特に埼玉VS千葉の、川を挟んでの大合戦はすごかったですね。あの無意味な戦いを、あそこまで発展させるセンスが好きです(笑)。監督と私は感性が似てると思いますね。もし私が続きを描いていたとしても、ああいうシーンを描いたと思う。感性が似てるからこそ、私の原作を映画化しようと思ってくださったのかもしれませんね。

映画のオリジナル設定やオリジナルキャラもたくさん出てきましたが、自分が作るものに大変近いものばかりでした。特に気に入ったのは群馬の設定ですね。空をプテラノドンが飛んでるんですが、ああいう描写は大好きですね(笑)。

──確かに、各県の描写は過剰でしたね(笑)。

魔夜先生:でもさすがの監督も気を使ったのか、最後はけっこう埼玉を持ち上げてましたね(笑)。『翔んで埼玉』が好きな埼玉県民からするとちょっと物足りないくらいかもしれません(笑)。さすがに監督も怖かったのかな(笑)。

しかし、それが許される、許してくれるのが埼玉であって埼玉のよいところ。『翔んで埼玉』は埼玉以外では成立しないんですよ。もしも『翔んで京都』なんてやった日には…考えるだけでも恐ろしいですね。でも、埼玉だけは違うんです。実際に『翔んで埼玉』は埼玉で1番売れているそうです。よほど地元愛が強いのか、それとも笑って許してくれるほど許容範囲が広いのか…不思議です。

──原作を拝読していても感じたのですが、先生ご自身が埼玉を愛しているのでは?

魔夜先生:私は…たまたま所沢に住んでただけです。ただ、家から5分以内にある仕事場への行き帰りの中で見たネギ畑と青空はとても印象的でしたね。

──所沢に住んでいない以上、『翔んで埼玉』の続編は描かれないとことでしたが、その決心は今後も変わらないでしょうか?

魔夜先生:変わりません。今後描いたとしても映画の後追いになってしまいますし。原作にも埼玉デュークは登場しますが、詳細は描かれておらず、なにせ覚えてないので自分の中でもはっきりイメージできていなかったかも…。

(C)2019映画「翔んで埼玉」製作委員会

強いていうなれば、デューク東郷(『ゴルゴ13』)のようなイメージでしょうか。なので、私が続きを描いていたら超A級のスナイパーのような埼玉デュークになったと思いますが、映画で京本政樹さんが演じる埼玉デュークを見ちゃうとね。もうあれしか描けないですよ(笑)。そういう意味では、今回の映画化によって原作の続編は封じられました(笑)。

──京本さん演じる埼玉デュークもすばらしかったですが、原作に登場するキャラクターを演じられた各俳優さんもすばらしかったですね。

魔夜先生:麗を演じたGACKTさんには、どんな原作ファンもぐうの音も出ないでしょう。それぐらいにすばらしかった。むしろ彼以外に麗を演じる事は出来なかったと思います。どんなイケメン俳優にも表現できない麗しさがありました。

──百美を演じた二階堂さんも本当に少年のようでした。

(C)2019映画「翔んで埼玉」製作委員会

魔夜先生:男性が百美を演じるのは難しかったでしょうから、二階堂さんが演じてくださってよかったと思います。私自身、男性とか女性とか性別にこだわっているわけではなくて、人間同士の絡みを漫画で描く際に、1番美しいと思う構図が美青年と美少年の組み合わせだというだけなんです。100人の人間がいれば100通りの愛の形があるでしょうから。

人間同士だったら、誰と誰が愛し合おうが当人達の自由ですよね。僕の漫画で美少年と美青年の恋愛が多く描かれているのは、単にそれがビジュアルとして最も美しく見えるから。それだけの理由です。

──あとは、映画の見どころとして先生ご自身のご出演もありますね。

魔夜先生:最初は冗談のつもりで「通行人の役とかで、僕ら家族も映画に出してもらえないでしょうか。少し見切れるくらいでいいんで」とお願いしてみたんですよ。

周りでバレエダンサーが踊ってるんですが、センターのダンサーは私の息子なんです。息子は東京バレエ団に所属してるんですが、息子以外のダンサーはNBAバレエ団のダンサーが出演してくださいました。NBAは所沢に拠点をおいていて、「埼玉の映画なら」ということで急な依頼にも拘らず快諾してくださったそうです。息子以外の9名はNBAのトップクラスのダンサー方で、そんな中でセンターを務めることに息子は大変恐縮しておりましたが(笑)。

実は延期になっていた映画『パタリロ!』も来春公開予定ということで、『翔んで埼玉』と『パタリロ!』の両方に出ているのは、実は加藤諒くんだけではなくて、私達家族もなんですよ(笑)。

──では、最後に先生ご自身から映画のPRをお願いいたします。

魔夜先生:これはあくまでもフィクションですし、正しい事は全く描かれていませんから、何も考える必要もありません。ただ映画館に行って、ただ笑うだけでいい。本当にそれだけでいいんです。

映画『翔んで埼玉』は、2019年2月22日(金)全国ロードショーです。

魔夜峰央プロフィール

1953年3月4日生まれ。新潟県出身。『ラシャーヌ!』『パタリロ!』などのヒット作を持つ。『パタリロ!』は現在も連載中で、連載開始から40年が経過し、アニメ化、舞台化を経て、単行本は100巻に到達している。

(取材・文:NI+KITA)

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    映画好きのライターです。ジャンルは洋画邦画問わず、ロードショーもの、単館系、ホラー、恋愛、友情、アクション、ファンタジー、アニメ、何でも見ます! お気に入りの映画は『仮面の男』『モンド』『バーレスク』『パーマネントのばら』『飛ぶ教室』『鑑定士と顔のない依頼人』『パンズラビリンス』『女の子ものがたり』『イノセント・ガーデン』『母なる証明』『王の男』『私が、生きる肌』などなど…最近だと『五日物語』が面白かったです!

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