『バイオレンス・ボイジャー』がヤバ怖超面白い理由はこれだ!監督へのインタビューもお届け!

(C)吉本興業

本日5月24日より映画『バイオレンス・ボイジャー』が、シネ・リーブル池袋、シネ・リーブル梅田、MOVIE ON やまがたにて公開されます。メインビジュアルからは良い意味で何ともしれない不気味さがありますが……実は存分にエンターテインメント性が高く、意外と間口も広い、子供から大人までオススメできる(ただし後述する理由によりPG12指定)、めちゃくちゃ面白い作品でした!

本作はすでに20を超える国内外の映画祭に出品され、アルゼンチンのブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭で審査員特別賞、カナダのファンタジア映画祭でアニメ部門の観客賞・銅賞を受賞した他、「挑発的で良い意味で気味が悪い!」「名作カルトとなるべき運命の作品です」「もっとも狂気的でオリジナリティあふれる映画」など称賛の声が多数届いています。その魅力がどこにあるのかネタバレのない範囲でたっぷりとお伝えする他、記事の後半では監督へのインタビューをお届けします!

1:世界初の全編“ゲキメーション”長編映画! 
監督は1人で13役をこなし、3年半以上をかけて作り上げていた!

本作の最大の特徴と断言できるのは、世界初の全編“ゲキメーション”長編映画であることです。ゲキメーションとはその名の通り“劇画”と“アニメーション”を融合させた様式で、作画したキャラクターの絵を切り取り、それを棒などに貼り付けて、カメラの前で動かして撮影をしていくことで作り上げられます。つまりは“紙人形劇”に近く、セル画やCGのアニメとは根本的に原理が異なるのです。

1枚1枚を描いていくアニメではないため、ともすれば動きや変化に乏しく単調に見えてしまうのではないか、はたまた手抜きに見えてしまうのでは……とも鑑賞前には思ってしまったのですが、実際の本編を観るとそんな不安を持っていたことが申し訳なくなりました(本当にごめんなさい)。独特のキャラクターたちは(後述する声優陣の熱演もあいまって)生き生きとしており感情表現も豊か、不可思議で奇妙な世界観と驚きの恐怖描写はグイグイと興味を引き、カット割りが早めでテンポが良いこともあり全く飽きさせることなく、時にはダイナミックなアクションシーンを作り上げることにも成功しているのですから。

その見た目の豊かさと面白さは、監督である“宇治茶”の尽力によるものなのは間違いありません。何しろ、彼は監督だけでなく、脚本、作画、撮影、編集、背景作画、出演、操演、特殊効果、効果音、タイトル題字、カラーコレクション、キャラクターデザインまで何と13役(公式サイトの触れ込みでは6役)を、たった1人でこなしているのですから!

ほぼ全てを1人で作り上げたことも驚きですが、その尋常ではない努力は数字としても表れています。作画枚数はキャラクターの絵だけで3000枚以上におよび、朝6時から22時まで規則正しく作業を続け(作業時間はそのうち12〜13時間)、制作年数は構想段階や脚本執筆を入れると3年半から4年を費やして、この『バイオレンス・ボイジャー』は完成しているのです。

ちなみに、宇治茶監督がゲキメーションに挑戦することになったのは、1976年にテレビアニメとして放送された楳図かずお原作の『妖怪伝 猫目小僧』および、2008年の電気グルーヴによる楽曲『モノノケダンス』のプロモーションビデオを学生時代に見たことがきっかけとなっています。どちらも言うまでもなくゲキメーションで作られた映像作品であり、それは現代ではほとんど作られなくなってしまった、継承されずに表舞台から姿を決してしまった様式です。そのゲキメーションの長編作品が、2019年の今に公開されること、一周回って新鮮な映像に見えること……それがたった1人の作り手の情熱と研鑽によりもたらされたということにも感動を覚えるのです。

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2:意外にも親しみやすい物語! 
あらゆるジャンルが詰め込まれている面白さがあった!

本作『バイオレンス・ボイジャー』はそのゲキメーションという様式と、パッと見のイメージから“イロモノ”っぽい印象を持つかもしれませんが、実は物語も含めて十分に親しみやすく、それこそ「子供から大人まで楽しめる」エンターテインメント性に溢れていたということも特筆に値します。

あらすじは、2人の少年と飼い猫が村はずれの山に出かけると怪しい娯楽施設を発見、その中のアトラクションを堪能したものの、やがて思いもしなかった恐怖が彼らを襲う……!とシンプルなもの。言うまでもなく子供にもわかりやすい内容ですし、大人もスタンダードなホラー映画に似た導入部にワクワクできるでしょう。

導入部がシンプルである一方で、本作はホラー、アクション、コメディ、クライム、ドラマ、ファンタジー、ミステリー、ロマンスと“あらゆるジャンルが詰め込まれている”ということも売りになっています。それには全く嘘偽りがなく、恐怖描写は本当に怖く、アクションには存分にハラハラでき、ナンセンス寄りのギャグにもクスリと笑え、良い意味でギョッとする犯罪要素も、不可思議なファンタジー(またはSF?)も、謎解き要素も、少年と少女の交流も、83分という短い上映時間中で過不足なく展開していたのですから! 

ゲキメーションという様式だけに耽溺することなく、とにかく観客を楽しませようという気概があること、それが“1つのジャンルに縛られない”ということにも表れていることは賞賛に値します。とにかく、純粋に“面白い”ということ、これこそが『バイオレンス・ボイジャー』の最大の美点の1つでしょう。

ちなみに、宇治茶監督は過去にもゲキメーションによる映画作品『燃える仏像人間』を作り上げています(最初と最後に実写パートがあるため全編ゲキメーションではない)。こちらの物語はかなり混沌めいていて、複雑怪奇な設定および描写の気色悪さも含めて間違いなく観る人を選ぶ、頭のネジが255本くらいぶっ飛んでいるような(褒め言葉)凄まじい作品でした。この『燃える仏像人間』に比べて、『バイオレンス・ボイジャー』は格段にキャッチーで掛け値無しにオススメしやすい内容になっています。過激でヤバくてどうかしている(褒め言葉)作品を観たいという方は、後追いで『燃える仏像人間』を観てみてもいいでしょう。

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3:驚きの超豪華ボイスキャスト! 
『魔法少女まどか☆マギカ』のあの人や『ズートピア』のあの人も!

本作はボイスキャストが超豪華ということも重要です。主人公の少年を演じるのは、『魔法少女まどか☆マギカ』や『アホガール』などの人気テレビアニメの主人公の声の他、近年では『スパイダーマン:スパイダーバース』や『バンブルビー』など映画での吹き替えも務めている悠木碧。可愛らしい役からカッコいい女性まで役の幅が広い方ですが、今回の好奇心の強い男の子にも文句なしにハマっていて、終盤の逆境にもめげない勇敢さを見せる演技にも感動させられました。

さらに本業声優では、主人公の母をVOCALOIDの初音ミクの音声データ提供でも知られる藤田咲が担当している他、終盤のとあるキーパーソン役を『ジョジョの奇妙な冒険』などの小野大輔が超イケメンボイスで演じているのも最高です。

もう1人の主人公と言える“額にシワがある少年”を演じたのは、お笑い芸人であるサバンナの高橋茂雄。『ズートピア』でも愛嬌たっぷりのチーターを見事に演じていた彼は、今回は良い意味で“わざとらしく子供っぽい”という、可愛いけれどちょっとイラっともする感じの演技になっていました。これが不思議と違和感がなく、それこそがこの役の“最適解”と思えるほどだったのです。

さらには、主人公の父に『河童のクゥと夏休み』でも優しい父を見事に演じていたココリコ・田中直樹、娯楽施設の怪しい運営者に田口トモロヲ、ナレーションを監督作『R100』以来の映画化作品への参加となる松本人志が務めていたりもするのです。

この“本業声優とお笑い芸人とのミックス”という配役および、それぞれの演技声質が、独特のキャラクターたちにベストマッチだったのです。ボイスキャストそれぞれのファンという方にとっても『バイオレンス・ボイジャー』は必見作でしょう。しかも、悠木碧は本作の主題歌までをも担当していますよ。

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4:PG12指定納得の残酷描写も!
スピルバーグ監督作など80年代の映画の魅力に溢れている!

「子供から大人まで楽しめる」作品であると前述しましたが、この『バイオレンス・ボイジャー』のレーティングはPG12指定(12歳未満には成人保護者の同伴が適当)となっています。実際の本編を観てみると、このレーティングは妥当と言えるものでした。なぜなら本作にはアニメもとい紙人形劇にも似たゲキメーションであるにも関わらず、なかなかに過激な残酷描写があるのですから。

具体的にどのような残酷描写があるのか、ということはネタバレになるので控えておきますが、「メインの登場人物たちがみんな子供にも関わらずめちゃくちゃ酷い目に遭う」ということだけはお伝えしておきます。これは現代の実写映画では実現不可能か、あるいはR15+指定かR18+指定になってしまうかもしれない……それくらいに容赦がないのです。(逆に言えば、『バイオレンス・ボイジャー』は“絵”で作られている作品であるので、そのグロテスクさは実写作品よりも視覚的にかなり緩和されているとも言えます)

ただし、これはただ露悪的なだけでなく、80年代(またはその少し前)のグロテスクな描写もあった娯楽映画へのオマージュにもなっているということが重要です。事実、宇治茶監督は『ジュラシック・パーク』などのスティーブン・スピルバーグ監督の他、『サンゲリア』などのルチオ・フルチ監督、『ハロウィン』などのジョン・カーペンター監督、『バッド・テイスト』などのピーター・ジャクソン監督の作品が大好きまたは影響を受けていると公言しており、それらの映画にあった残酷描写およびエンターテインメント性が、はっきりと『バイオレンス・ボイジャー』にも受け継がれていると感じられたのですから。

また、この“80年代の映画の魅力の復活”は近年の流行とも言えます。例えば『バンブルビー』や『シャザム!』もスピルバーグ作品へのオマージュと、あの頃の洋画にあった“ちょっと怖い描写も含めたワクワク感”こそが魅力になっていた作品でした。日本でその魅力の復活を成し遂げたのが、この『バイオレンス・ボイジャー』ということも、映画ファンとして嬉しくなるのではありませんか!

繰り返しになりますが、本作のPG12指定は劇中の残酷描写を考えれば納得できるレーティングです。しかし、その残酷描写は物語上も作品としての魅力そのものとも不可分な、80年代の映画への愛情と敬意に溢れている結果としてあるものでした。それは、子供の頃に観た映画の“トラウマ”込みの思い出が大切なものになっている映画ファンの方にこそ観て欲しいと思える理由でもあるのです。単純に怖い映画が観たいというお子さんが観るのも良いですし(さすがにあんまり小さい子にはオススメしませんが)、親子で観ればいろいろな意味で忘れられない体験になるはずですし、大人が観れば昔の映画にあった“グロ面白さ”を再発見することになるでしょう。

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5:宇治茶監督へのインタビューをお届け! 
あの作品からの影響もあった!

ここからは、宇治茶監督へのインタビューをお届けします。制作時のまさかのトラブルへの対処や、松本人志による“あの作品”からの影響など、興味深いお話が聞けましたよ!

1.ほぼ全てを1人で作り上げたことにも理由があった!

──1976年の『妖怪伝 猫目小僧』や2008年の『モノノケダンス』のプロモーションビデオがゲキメーションを作るきっかけになったということですが、具体的に参考にしたところなどがあれば教えてください。

もともと『猫目小僧』に限らず楳図かずお先生の作品にある恐怖描写や、諸星大二郎先生の作品もすごく大好きで、自分の中では当たり前というか基本中の基本のような存在になっている、ゲキメーションという様式以前にその影響が強いんです。
ゲキメーションは筆のタッチがそのまま作品に生かせたり、描き込んだものが“光る”のがすごくいいと思うんです。絵さえ書ければどんなものでも表現できてしまえそうですしね。自分が単純に絵が好きであることと、作りたいものが実現できるということがぴったりとハマったから、ゲキメーションをやっているって感じです。

──『バイオレンス・ボイジャー』は前作の『燃える仏像人間」』に比べて、題材も物語も格段にキャッチーになったと思います。何か工夫されたところや、意図的に前作から変えたところはあるのでしょうか。

『燃える仏像人間』は自分でも作りながら混沌としていて、全くお客さんのことを意識する暇もなく、ただただ作業をしていたような感じだったんです。今回の『バイオレンス・ボイジャー』は万人とまでは言いませんけど、もっと多くの人に観ていただけるよう、エンターテインメント性を意識した作りにしようと考えていました。
その『燃える仏像人間』は自分の趣味を全開にできたのですが、一方で「なんでもっとこうできなかったんだろう」と後悔している部分も多かったんです。脚本は無茶苦茶で、絵も満足いく感じじゃなくて、今観返しても下手だなあって思いますし……最初と最後にある実写パートも本当は入れたくなかったというのが正直な気持ちなんです。今回の『バイオレンス・ボイジャー』は自分でも満足できる出来栄えで、全編をゲキメーションで作ることができて嬉しかったですね。

──宇治茶監督は『バイオレンス・ボイジャー』を作り上げるために13役をこなしており、「孤高にして究極の“ぼっち”アーティスト」との触れ込みもされています。作業は想像以上に大変だったと思うのですが、何かの作業を「他の人に任せたい!」と思ったことはなかったのでしょうか。

そもそも「他の人にどうやって任せていいのかがわからない」ということがあるんです。今日は実際のキャラクターの絵を持ってきたのですが、これほどに小さいと動かすのもピントを合わせるのも大変で、誰かに具体的な指示をしたり手伝ってもらうことがそもそも難しく、1人で作業をしたほうが効率がいいということが現実問題としてあったんです。家族や友達に作業を手伝ってもらったこともあって、それはもちろんありがたかったのですけどね。

2.超豪華なボイスキャストについて語る!

──ボイスキャストがものすごく豪華ですよね。製作を務めたのが吉本興業グループの映画製作・配給・宣伝会社であるKATSU-doであることも影響していると思いますが、監督ご自身からキャスティングの希望をされたりもしたのでしょうか。

そのおかげで意見が通りやすくなったっていうのはありますね。吉本さんだからというわけではないのですが、サバンナ高橋さんやココリコ田中さんという僕の希望通りの方をお呼びできてとても嬉しかったです。

──サバンナ高橋さんの「わーい」「◯◯だー」な感じの、良い意味で“わざとらしく子供っぽい”演技が不思議とハマっていました。監督から何か演技指導はされたのでしょうか。

高橋さんは初めから僕がイメージ通りした通りの声と演技だったので、ちゃんと演技指導をした記憶がないくらいなんです。最高にハマっていましたね。

──松本人志さんのナレーションもとても良かったですね。

僕は絵を書くときは、いつもほぼ必ずと言っていいほど松本さん出演のラジオを聴いているんです。そんな松本さんに「ちょっと撮り直してください」なんて怖くて言えなかったですね(笑)。でも、ご本人から「もう1回やろうか」って言ってくださって、3回録り直させていただいたんです、実際にその3回目の一番良かったものを使わせていただいています。僕自身が演出するというよりも、松本さんが言ってくださったおかげで良いナレーションになったんです。

──悠木碧さんや小野大輔さんなど本業声優の方々のキャスティングと演技も素晴らしかったですね。悠木碧さんは主題歌も担当されていて、作詞をプロデューサーの1人である安斎レオさん、作曲をジャン=ポール高橋さんが担当していますが、何か監督から楽曲の内容について要望などはあったのでしょうか。

悠木碧さんや小野大輔さんも本当に贅沢な起用ですよね。お2人とも最高の演技でした。主題歌については完全に任せる形にしました。

──その他、前田好美、かんだみのり、オカノアキラ、武田康廣さん、樋口みどりこさん、中沢健さん、Bugって花井さん、山本正剛さん、佐藤文則さんなど、脇を固めるボイスキャストもユニークですね。

BUGって花井さんは『燃える仏像人間』から出演してくれていて、僕の作品を良く理解してくれる方なんですよ。オカノアキラさんは関西のMBSテレビの“らいよんちゃん”っていうマスコットキャラクターを演じている方なんです。関西の方にしか通じない話題ですね(笑)。

3.まさかの“描き忘れ”のトラブルも!

──ゲキメーションは“紙人形劇”のような手法ではありますが、『バイオレンス・ボイジャー』は編集のテンポがとても良いためか躍動感があり、キャラクターも生き生きと見えました。何か気を使って演出しているところはあるのでしょうか。

そのテンポが良いというのは、他の方からも結構おっしゃっていただいたんですよ。実は撮影に取り掛かる前に、絵コンテを並べた“ビデオコンテ”みたいなものを動画編集ソフトで作ってみたら、全体の尺が100分くらいになったんです。もともと80分弱の予定だったので、その時間内に仕上げるために、なるべくシーンのカットはしないまま、編集を早めていきました。それが結果としてテンポが良いという評価に繋がったのだと思います。普通の映画の脚本は1ページが実際の映画の1分くらいにあたるのですが、この映画は83分しかないのに脚本は150ページもあったりしますからね。僕自身いろいろな映画を観ていて、80分くらいというのが映画の尺としてもっとも好きということもあるんです。

──娯楽施設のバイオレンス・ボイジャーは、『ジュラシック・パーク』や『ウエスト・ワールド』、はまたまた江戸川乱歩の『パノラマ島奇談』や『孤島の鬼』からの発想があり、それを『探偵!ナイトスクープ』で紹介される“パラダイス”的な規模でやったら面白いだろうと宇治茶監督はおっしゃっていて、まさにその印象が強い舞台装置になっていました。その“パラダイス”のような場所に実際に行ってみたことはありますか。

通っていた大学が嵐山にあったので、”かぐや姫竹御殿”には行ったことがあります。他には石川県の珍スポットである“ハニベ巌窟院”はポスターや交通安全のグッズを買うほど大好きです。ここには『バイオレンス・ボイジャー』に出てきた洞窟みたいなところもあるんですよ。前作『燃える仏像人間』の発想の元にも“ハニベ巌窟院”はあるかもしれませんね。

──サバンナ高橋さん演じる“あっくん”というキャラクターには額に独特のシワがあるのですが、このデザインには何か意図があるのでしょうか。

額のシワの理由は特にないのですが、どうも見た目が物足りない、キャラ付けをしたくて付け足したという感じですね。今になって考えてみると、『スター・ウォーズ』のヨーダや『ヘル・レイザー』のピンヘッドをイメージしていたのかもしれません。この『バイオレンス・ボイジャー』のパイロット版とも言える「TEMPURA」っていう短編があるんですけど、こちらに出てくる主人公にもあっくんと同様のシワがあったりします。

──“手の傷”が後半のある展開の伏線になっていたので、その額のシワも何かの伏線なのかと疑っていました。

その手の傷が実は大変だったんです!絵によっては描き忘れていたことがあって、後から描き忘れたシーンを1コマ1コマ追っていって、アニメで合成していたのですから。

──それは大変……! 撮り直しは考えなかったのでしょうか。

撮影したもののほとんどは動きや空気感がこれしかない出来であったので、撮り直しは考えられなかったですね。

4.スピルバーグ映画だけでなく、あの作品からの影響も!

──本作には残酷描写もありPG12指定のレーティングになっていますが、宇治茶監督ご自身は「本当は子供達にもたくさん観て欲しい」とおっしゃっています。それはご自身が影響を受けているという、『ジュラシック・パーク』をはじめとしたスティーブン・スピルバーグ監督作品のような“怖いけど面白い映画”を子供にも観て欲しい、それも良い思い出になるんじゃないか……という意思を感じたのですが、いかがでしょうか。

スピルバーグ監督作は確かに『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』などでも残酷な表現もありますけど、それ以上に「誰でも最初から最後まで楽しめる」んですよね。僕はそれを目指したいんです。沖縄国際映画祭では子供が逃げちゃったということもあったんですが、それも含めて彼らには良い思い出になると思うんです。僕自身、小学生の頃はホラーが大好きだったのに、高校生になった時からだんだんホラーから遠ざかっていたこともあったのですが、大学の時に誰かが机の上に置いてあった楳図かずお先生の『洗礼』を読んでまたホラーに戻ってきたこともあるんです。怖い作品から一旦離れたり、また戻ってきたりして、そこでハマるという経験も良いと思うんですよ。毒にも薬もならない作品よりも、ホラーはそういう刺激があるから好きですね。

──そうですね。あとは、子供がこれだけ酷い目に遭う映画も最近では珍しいですよね。

『スパイダーマン:ホームカミング』の監督であるジョン・ワッツのホラー映画『クラウン』でも子供が殺されちゃったりするんですけどね。あの監督の『COP CAR/コップカー』も大好きですね。

──残酷描写は、ひょっとして本作のナレーションを担当している松本人志さん原作のアニメ『キョーフのキョーちゃん』にも影響を受けていたりもしますか……?

絶対に影響があると思います。『キョーフのキョーちゃん』は小学生の頃に見ていたんですけど、ああいうグロいマンガばかり当時は書いていたので(笑)。運動や外に出たりするよりも、ゲームの『バイオハザード』を遊んだり“そういう”モンスターもたくさん描いていたりする子供時代でしたね。

──他にも『バイオレンス・ボイジャー』には、Netflix配信の『ストレンジャー・シングス』らしさを感じましたし、リメイクされ世界中で大ヒットした『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』とは子供がレインコートを着ているという共通点があったりしますよね。

確かにレインコートは『IT/イット』っぽかったかもしれないですね。物語上の必然性だけでなく、見た目の変化というか“衣替え”という点でもレインコートを着せたということもあります。

──最近は80年代リバイバルブームみたいなのがあり、最近公開された『バンブルビー』や『シャザム!』もその系譜の1つであったと思います。ご覧になられましたか?

『シャザム!』もそうでしたね。子供たちの構成が『グーニーズ』っぽいですし、終盤のある展開には「そうきたか!」とニヤリとしました。悠木碧さんが吹き替えをされている『バンブルビー』は未見ですが観てみたいですね。悠木さん出演の『スパイダーマン:スパイダーバース』も傑作でした!

──最後になりますが、『バイオレンス・ボイジャー』はエンターテインメント性を突き詰めている、いろいろな先人のエッセンスが盛り込まれている、幅広い方にオススメできる素晴らしい作品であったと、掛け値無しに賞賛したいです。

最大限、努力しました!たくさんの人に観てもらえることを願っています!

『バイオレンス・ボイジャー』はシネ・リーブル池袋、シネ・リーブル梅田、MOVIE ON やまがたにて公開中、京都シネマでは6月15日より公開予定、他劇場でも順次公開予定です。この怖くて超面白い映画を、ぜひ劇場で堪能してください。

(文:ヒナタカ)

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    ヒナタカ 「カゲヒナタの映画レビューブログ」運営中のフリーライター。All Aboutでも映画ガイドとして執筆中。なぜか中高生向けの恋愛映画もよく観ています。

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