「令和ゼロ秒の罠」――AIを翻弄するFX強奪ゲームが幕を開ける!『キャンドルスティック』初日舞台挨拶レポート

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7月4日、新宿バルト9。

開演前から期待でざわめく場内に、阿部寛、菜々緒、サヘル・ローズ、津田健次郎、YOUNG DAIS、そして長編映画デビューとなる米倉強太監督が姿を現した瞬間、客席には割れんばかりの拍手が響いた。

金融アルゴリズム VS 人間の頭脳戦を描く映画『キャンドルスティック』は、令和元年5月7日――金融システムがもっとも脆弱になる “たった一日” に世界4ヵ国6都市を跨いで繰り広げられるFXマネー強奪劇だ。

初お披露目となるこの日、キャストと監督は撮影秘話から“次なる挑戦”までを語り尽くし、作品のスリリングな魅力をさらに加速させた。

■ 阿部寛×菜々緒――初共演で生まれた“色彩”の化学反応

©2025 CANDLESTICK PARTNERS

本作で阿部が演じるのは、服役を終えたばかりの元天才ハッカー・野原賢太郎。共感覚を武器に為替市場の番人=AIを欺こうとする男だ。その相棒となるFXトレーダー杏子役の菜々緒とステージで並ぶと、二人の存在感がスクリーンの外でもぶつかり合う。

阿部は「菜々緒さんといると周囲の空気が浄化される。切れ味のいい言葉に裏表がなく、気持ちのいい人」と絶賛。

対して菜々緒は「阿部さんはテレビのまんま。“忘れちゃった”と豪快に笑う姿に癒やされました」と、意外な素顔を明かした。

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■ 国境を越えたオンライン芝居が映し出す“多層世界”

ステージ上のハイライトは、サヘル・ローズが語った“画面越しの共演”談。

イラン、アメリカ、台湾、日本を回線で結んだシーンは、相手役の表情が見えないまま演じる難易度MAXの撮影だったという。

「完成稿を観たら、皆が自然につながっていて驚いた。今のイランを映せたこと自体が奇跡」と、その喜びを噛み締めた。オンライン上で交錯する“ろくでなし”たちの策謀は、現実世界のリモート時代と地続きだ。

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■ “水かけ初対面”――津田健次郎の度胸試し

数学者の功を演じる津田が披露した裏話も強烈だ。

阿部に水をぶちまける冒頭シーンが、なんと“顔合わせ当日”に撮影されたという。

「リハも一発勝負。失敗すれば衣装もメイクも30分コース……緊張で手が震えた」と吐露すると、阿部は「水をかける芝居って難しいよね」と優しくフォロー。

俳優同士の信頼関係が垣間見えるエピソードに、会場は大きな笑いと拍手で応えた。

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■ “挑戦”したいことは? 滝行、宇宙、津軽海峡…!

舞台挨拶恒例のフリートークでは、“次に挑戦したいこと” というお題が投げ込まれ、個性豊かな回答が続出。

  • 菜々緒「世界をバックパックで巡り、自給自足生活がしたい。釣りは得意なので、自分で釣った魚を捌いて食べます!」
  • 津田「宇宙旅行。三半規管に自信がないのでロケット以外の移動手段に期待(笑)」
  • サヘル「ヒット祈願でキャスト全員と滝行!」
  • YOUNG DAIS「地元北海道から青森まで、津軽海峡を泳ぎ切りたい!」
  • 阿部は「楽屋で考えてきたけど忘れました、次回までの宿題に」とユーモアで締め、客席は大爆笑。

■ 役者出身コンビが作り上げた“90分の濃縮スリル”

壇上で繰り返し語られたキーワードは“スピード感”。

元「MENʼS NON-NO」モデルの阿部と米倉監督は、かつて同じ雑誌で紙面を飾った“同志”だ。

監督は「90分という短尺に、観客が想像できる余白を詰め込んだ」と胸を張り、阿部も「俳優の演技の“先”を撮るカメラマンと監督の誠実さが作品を支えている」と信頼を寄せる。

台湾ロケで阿部が提案した台詞変更がアリッサ・チアの感情を引き出した――という裏話も飛び出し、コラボレーションの化学反応を実感させた。

■ 編集部レビュー――“頭脳×欲望”の綱渡りを体感せよ

90分という短尺ながら、チャートが踊るカットとオンライン越しの緊迫感が息もつかせぬジェットコースターを生む。

ハッキング映画の快感と、ケイパームービーの爽快さ、そして実在の「平成→令和」改元という歴史的瞬間が複層的に絡み合い、“AI時代への警鐘”としても機能する。

阿部寛と菜々緒が放つ“共感覚”のカラフルな映像は、数字の世界を初めて色で“感じさせる”映画体験だ。

FX未経験でも、欲望と裏切りの振幅に身を委ねれば、最後の秒読みで心拍数が跳ね上がること請け合い。


■ 作品情報

  • タイトル:『キャンドルスティック』
  • 原作:川村徹彦「損切り:FXシミュレーション・サクセスストーリー」
  • 監督:米倉強太
  • 脚本・チーフプロデューサー:小椋悟
  • 出演:阿部寛、菜々緒、アリッサ・チア、サヘル・ローズ、津田健次郎、リン・ボーホン、YOUNG DAIS ほか
  • 製作:ジャズフィルム/ジャズインベストメント
  • 配給:ティ・ジョイ
  • 上映時間:90分
  • 公式サイトhttps://candlestick.jp/
  • 公式X/TikTok:@candlestick_jp
  • 公開日:2025年7月4日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
    ©2025 CANDLESTICK PARTNERS

■ おわりに

「相場に絶対はない――だが、スクリーンでこの勝負を見届けない手もない」。
“AIの目”を欺く最後のトリックを体感するのは、あなたの番だ。ハイリスク・ハイリターンの90分、ぜひ劇場で味わってほしい。

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