続・朝ドライフ

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2022年05月03日

「ちむどんどん」第17回 名優・片桐はいり劇場の満足度の高さ

「ちむどんどん」第17回 名優・片桐はいり劇場の満足度の高さ


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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第17回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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下地先生と歌子の追っかけっこで引っ張るとは


ゆったりしています。「ちむどんどん」のゆったり感は沖縄の時間の流れを表しているのでしょうか。地元の人間ではないため、断言はできませんが、南国の人はゆったりしていると聞きます。

「ちむどんどん」第17回はなかなか本題に進みません。暢子(黒島結菜)は産業まつりのヤング大会に出品する料理の試作に励み、良子(川口春奈)は御曹司・喜納金吾(渡辺大和)につきまとわれ、歌子(上白石萌歌)は下地先生(片桐はいり)にとうとう家にまで押しかけられます。

賢秀(竜星涼)はバーガーレストランで出会った金融業の我那覇良昭(田久保宗稔)からひみつの話を持ちかけられて……。「ひみつを守れるタイプだよね」と言われていましたが、賢秀は口が固いとは思えません。それよりも、この”ひみつ”の話が気になります。地道にコツコツではなく一攫千金を狙う賢秀の足元が掬われそうで心配しかありません。我那覇は絵に描いたような悪い大人という感じで、これは「ストップザ詐欺被害」のコーナーを見ているような気持ちになります。

ただひとりスピード感があるのが片桐はいりさん。キビキビ、せかせか、セットのなかを所狭しと動き回り、メリハリを効かせます。東京から赴任してきた設定ですから違う時間を生きているということなのでしょうか。

やかんの蓋を開けて、歌子を探すなんて絶対ありえないのに、おもしろい。全身にいい緊張感がみなぎっていて、歩く姿がバレリーナのようです。全員がそれだと濃すぎて疲れてしまうし、ひとりだからいいのでしょう。

下地先生が隠れた歌子を見つけるかーーで第17回は終わってしまいます。え、これで終わり? とちょっとびっくりしました。

どうやらこのゆったり感は沖縄時間ということではなさそうです。ドラマ的にはのんびり進行ですが、実時間としてはさほど長い時間ではありません。4人分のエピソードを1回にぶつ切りで入れているため、話の進みが遅いだけではないでしょうか。いっそ、「24」方式で、4つに画面を分割して同時並行で4人の物語をやってみるというのもいいのではないでしょうか(無理)。

だいじょうぶ。ほら、見ている。

ドラマを見ていて、額面どおりでは物足りないとき、人は想像で埋めようとします。連休の朝、第17回のゆったりした余白のなかに何かを見出そうと考えてみました。

「親という字は木の上に立って見るというからねえ」(前田善一/山路和弘)というセリフから。「見る」という行動が「ちむどんどん」では重要ではないかと考えます。主題歌「燦燦」の歌詞にもあり、宣伝ビジュアルのキャッチコピーにも「だいじょうぶ。ほら、見ている。」とあります。

優子(仲間由紀恵)が木の上に立って子どもの成長を見守るように、登場人物はみな、誰かを見守っています。歌子は、智(前田公輝)がフライドポテトを作るため農家に安くじゃがいもを卸してほしいと頭を下げているところを目撃します。

智は本来、目撃者の役割をよく担っています。例えば第14回では賢秀が労働しているところを目撃しています。また、第9回では、暢子(稲垣来泉)が和彦(田中奏生)宛の手紙を読み返しながら東京に行く決意を子ども心にしているとき、背後にまもるちゃん(松原正隆)がそっといます。

悩み苦しみ努力しているところを誰かが必ず見ていてくれる。それもそっと。見てどうこう言わず、その人のやりたいように見守るだけ。優子が言うように、他人に何か言われたことで動いたら、何かあったとき自分で背負うことができません。自分が決めたことでしか人はナットクも満足もできないのです。そういう意味で「ちむどんどん」は伏線とか考察とかふつうならこうあるべきとか結論を先回りすることなく、いま目の前に起こっていることをただただ見守っていくタイプのドラマなのかなと思います。

(文:木俣冬)


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