マーケティングの巧さも功を奏し、さながら〝アベンジャーズ3〟的大ヒット!『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』

全米興収ランキング(5/6〜5/8付)

1『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(New)
2『ジャングル・ブック』(↓)
3『Mother’s Day』(↑)
4『スノーホワイト/氷の王国』(↓)
5『Keanu』(↓)
6『Barbershop : The Next Cut』(↓)
7『ズートピア』(↓)
8『The Boss』(→)
9『Ratchet & Crank』(↓)
10『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(↓)
(速報値/Box Office Mojo参照)

大方の予想通り、MCU最新作である『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』がぶっちぎりの初登場1位を飾った。

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
(C)2016 Marvel.

オープニング週末で1億8000万ドルを超え、歴代5位に滑り込んだわけだが、歴代3位には『アベンジャーズ』、4位には『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』がいるので、さながら〝アベンジャーズ3〟的な位置付けになるのだろうか。少なくとも、〝キャプテン・アメリカ〟のシリーズとしての枠は超越している。1作目の『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』の最終興収1億7000万ドルを最初の週末だけで上回っており、前作の興収も来週中には超えることは間違いないのだ。

ここ数年は、5月の一週目にマーベル作品がロケットスタートを見せることがすっかり定番となっている。2009年の『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』を皮切りに、『アイアンマン2』『マイティ・ソー』『アベンジャーズ』『アイアンマン3』『アメイジング・スパイダーマン2』、そして昨年の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』。いずれも初登場1位に輝いているわけだが、ディズニー配給ではなかった3作だけが、初週末1億ドルを超えていないのである。これは単純にシアター数や上映回数の影響もあるのだろうが、それ以上にマーケティングの巧さによるものもあるのだろう。

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
(C)2016 Marvel.

昨年の『アントマン』を観に行った観客の多くは、ラストの映像を観れば『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』が早く観たい!となってしまうわけで、そうなれば初週末にまず一気に観客は押し寄せるわけだ。その点では、最近多くなったエンドロール後のおまけ映像も悪い風習ではない(少なくとも、日本以外の諸外国はエンドロールに入ると劇場から出る文化があるので初めの頃は効果を発揮しなかったであろう)。となると、来年7月に公開予定の『Spider-Man : Homecoming』も爆発的なスタートを見せるだろうし、その前の恒例の5月1週目に封切られる『Guardians of the Galaxy Vol2』も相当なヒットが予測できる。

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ スパイダーマン
(C)2016 Marvel.

もちろん、ディズニー勢はアメコミ映画だけではないのは、先週までの興行を見ていればよくわかることで、今週2位に落ちはしたものも、4週目でも2000万ドルを超える成績を残した『ジャングル・ブック』は、まもなく3億ドルを超えそうだ。公開10週目で7位に粘る『ズートピア』は、今週末の速報値の時点でともに春シーズンを牽引してきた『バットマvsスーパーマン ジャスティスの誕生』の興収を再び上回っており、まだまだ衰えを知らない。日本のゴールデンウィークの興収がまだ上乗せされていないとはいえ、世界興収10億ドル突破もあと4000万ドルほどなら可能性充分だ。

ズートピア ジュディ・ホップス ニック

(C)2016 Disney. All Rights Reserved.

案の定、『シビル・ウォー』にぶつけてくるような命知らずの新作は1本もなく、ベストテンは若干の順位変動があるだけだったのだが、1本だけ順位を上げてきた作品がある。

先週も触れたように、ゲイリー・マーシャルの『Mother’s Day』は、やはりこの週末が本番。先週をやや上回る週末興収を上げて、こっそりと3位に浮上しているのだ。現時点でトータル2000万ドルと、決して悪いわけではないが、安定したヒットメーカーであるマーシャルのフィルモグラフィーを考えたら、やはり批評の影響が大きく出ているとも見える。

もっぱら気になるのは来週以降の落ち方であり、さらに「母の日」商戦に合わせることを逃した国々が、この映画をどう扱うのか気になるところ。イギリス、イタリア、ドイツあたりは来月頃に公開を予定しているのだが、まだ公開予定がない日本は果たして……。ジュリア・ロバーツ出演作はほぼ確実に日本公開しているのを考えると、来年までお預けなのだろうか。

今週から始まるカンヌ国際映画祭に合わせるかのように、昨年のパルムドール受賞作『ディーパンの闘い』がようやくアメリカで公開。もともと英語作品とミヒャエル・ハネケ以外のパルムドール作品はアメリカでは全く受けないのだが、2館で2万ドル強の成績はいくらなんでも寂しすぎるものがある。99年に公開されたダルデンヌ兄弟の『ロゼッタ』と同じぐらいのスタートであることを考えると、100万ドルに乗るのも難しそうである。

来週はジョディ・フォスターが監督を務め、ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツが共演するサスペンス映画『マネー・モンスター』が登場。カンヌでプレミア上映される本作が、アカデミー賞レース参戦に向けて弾みをつけるために、『シビル・ウォー』をどこまで揺さぶることができるのか。注目したい。

(文:久保田和馬

    ライタープロフィール

    久保田和馬

    久保田和馬

    久保田 和馬 1989年生まれ。映画評論家/映画ライター/映像作家。フランス映画とアジア圏の映画をこよなく愛する。大学時代からの自主制作の延長で映像制作を行い、2013年から文筆業を開始。「図書新聞」へ映画評の寄稿、「リアルサウンド映画部」への寄稿など。

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