映画ビジネスコラム
M.ナイト・シャマラン『スプリット』が3週連続1位を獲得!全米興収ランキング速報[2/3・4・5版]
M.ナイト・シャマラン『スプリット』が3週連続1位を獲得!全米興収ランキング速報[2/3・4・5版]
全米興収ランキング(2/3〜2/5)
1位(→)『スプリット』
2位(NEW)『Rings』
3位(↓)『A Dog’s Propose』
4位(↓)『Hidden Figures』
5位(→)『ラ・ラ・ランド』
6位(↓)『バイオハザード/ザ・ファイナル』
7位(→)『SING/シング』
8位(↑)『LION/ライオン 25年目のただいま』
9位(NEW)『The Space Between Us』
10位(↓)『トリプルX:再起動』
(速報値/Box Office Mojo参照)
全米最大のイベントである、スーパーボウルが開催される週末となると、よほどの大作が登場しない限り映画興行は賑やかにならない。もっとも、今年はペイトリオッツとファルコンズが戦うスーパーボウルとあって、東海岸の方では特にスーパーボウル熱が高まっているのであろう(Box Officeの週末速報が出るのは午前中なので、まだ結果がわからないところである)。
もっぱら注目が集まるのは、中継時に流れる新作映画の予告編である。破格とも言える放映料を誇るスーパーボウル中のCM枠で、今年は夏に公開される『トランスフォーマー:最後の騎士王』と、4月から日本公開が控える『ゴースト・イン・ザ・シェル』が流れたようだ。この2本が今年の全米興収を賑わせてくれることに大いに期待が持てる。
さて、そんな週末を制したのはまたしてもM.ナイト・シャマランの『スプリット』だ。3週連続のVを飾り、興行収入は1億ドル寸前。
(C)2017 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.
おそらく月曜日には1億ドルを超える見込みで、すでに国内だけで制作費の11倍の興行収入を獲得。前作『ヴィジット』は、13倍(制作費500万ドルで6500万ドル)を回収しているだけに、今の勢いならばそれを超えることも充分に考えられる。つまり、シャマラン作品で最大の利益率を挙げる可能性が高いということだ。
アメリカのみならず、日本でも根強い固定ファンがいるシャマラン。アカデミー賞候補作を差し置いて、5月から日本公開されることが決まったのが何よりの証拠だ。ところで、先日発表されたティーザーポスターに書かれた「2週連続No. 1大ヒット」の文字は、本ポスターで書き換えられることになるのだろうか。
一方で、初登場2位に敗れた『Rings』は、シリーズ最低の出足。さすがに12年ぶりの新作ともなれば仕方ないところか。
鈴木光司原作で90年代に一斉を風靡した『リング』シリーズが、アメリカに渡った2002年は大きな話題となった。のちに『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズを手がけるゴア・ヴァーヴィンスキーがメガフォンを執り、ナオミ・ワッツが主演を務めた1作目『ザ・リング』は強敵のいない10月の週末を見事にすり抜けて初登場1位を飾った。最終的に1億ドルを超えるヒットを記録。日本発祥のホラーが、アメリカでも通用することを証明してくれた。
そしてその勢いを残したまま、2005年にはオリジナル版の監督である中田秀夫自らの手によって『ザ・リング2』を制作。オープニング週末では3500万ドルを記録して堂々と1位を勝ち取ったのだ。
ところが今回は、1300万ドルほどの苦いスタート。速報値でこそ2位に敗れはしたものの、後々『スプリット』と順位が入れ替わってもおかしくはない差である。ただ、ホラー映画の特性上、金曜日で確実な差を付けられなかったのは大きな痛手。このまま2位スタートで確定してしまうだろう。
ほとんどの作品が順位を微妙に下げている中、『ラ・ラ・ランド』と『SING/シング』の2作品が先週と変わらぬ順位を保ち続けているのが目立つ。とくに、アカデミー賞長編アニメ賞候補入りを逃した『SING/シング』はいつの間にか2016年公開作品のベスト10に入るメガヒットとなっている。先週からシアター数を大きく減らしたにもかかわらず、他の子供向け作品が無いことをいいことに、興収の落ちを最小限に止めた。
(C)Universal Studios.
また、名プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインのパワーによってアカデミー賞で複数部門に候補入りを果たした『LION/ライオン 25年目のただいま』が、上映シアターを増やしてベスト10圏内にジャンプアップ。『スラムドッグ・ミリオネア』で脚光を浴びたデヴ・パテルは、当時こそ一発屋の役者と揶揄されたが、その後の出演作はいずれもまずまずの興行成績をあげているのが凄いところ。作品選びができる役者というのは、後々重宝されるものであるから、今回ついに成し遂げたオスカー候補入りは彼のキャリアをより充実させるものになるはずだ。
他の初登場作品では、9位にエイサ・バターフィールド主演のSFロマンス『The Space Between Us』がランクイン。また、中規模公開となったテイラー・ファックフォード監督とロバート・デ・ニーロ主演のコメディ映画『The Comedian』は速報値で19位と、かなり鈍い出足となった。
来週は、2年前に世界的なブームを巻き起こした『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のシリーズ2作目に当たる『Fifty Shades Darker』、そしてこちらも大人気となったLEGOを使った長編アニメの2作目『レゴバットマン ザ・ムービー』の一騎打ちが予想される。前作のオープニング興収で見ると、前者が8500万ドル、後者が7000万ドル弱と、『Fifty Shades Darker』に軍配が上がりそうな予感が漂うが果たして。
(文:久保田和馬)
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