東宝ゴラク映画の品格を高め続けてくれた星由里子

写真家『早田雄二』が撮影した銀幕のスターたちvol.26

現在、昭和を代表する名カメラマン早田雄二氏(16~95)が撮り続けてきた銀幕スターたちの写真の数々が、本サイトに『特集 写真家・早田雄二』として掲載されています。
日々、国内外のスターなどを撮影し、特に女優陣から絶大な信頼を得ていた早田氏の素晴らしきフォト・ワールドとリンクしながら、ここでは彼が撮り続けたスターたちの経歴や魅力などを振り返ってみたいと思います。

花登 由里子(星 由里子)さん

星由里子といえば、60年代東宝ゴラク映画を語る上で絶対に外せない存在であり、それはすなわち若大将シリーズの澄ちゃんであるとともに、ジャンルを問わずこの時期の東宝作品に出演し続け、その庶民的かつ品のあるオーラは、時を経た今も老若男女問わず映画ファンを魅了してくれています。

加山雄三をはじめ
さまざまな東宝若手スターと共演

星由里子は1943年12月6日、東京都神田区鍛冶町の生まれ。

家は乾物屋で、幼い頃から宝塚に憧れ、58年に宝塚歌劇団月組の東京宝塚劇場『ブロードウェイ・シンデレラ』公演にちなんでシンデレラ娘を公募したところ、当選し、東宝と専属契約を結ぶことになりました。

59年、『すずかけの散歩道』の脇役で映画デビュー。
当時のキャッチフレーズは“八重歯のシンデレラ”で、同名のレコードで歌手デビューも果たしています。

やがて彼女と浜美枝、田村奈己をスリーペットと命名して売り出し、60年の『サラリーガール読本・お転婆社員』に3人で主演し、同年度の製作者協会新人賞を受賞しました。

彼女の人気を決定づけたのは、翌61年に始まる若大将シリーズで、その第1作『大学の若大将』で加山雄三扮する若大将こと田沼雄一の恋人・中里澄子に扮し、以後、役柄や名字は変更したりすることもありましたが、名前の澄子は一貫し続け、若大将シリーズの恋人と言えばすみちゃん、といったイメージを定着させながら、68年の『リオの若大将』までシリーズ11作品に出演し続けました。

同時に61年は『南の風と波』『若い狼』で夏木陽介の、『世界大戦争』で宝田明の、『乾杯!サラリーマン諸君』で高島忠夫の恋人役をそれぞれ演じ、さらに62年には高校を卒業し、『河のほとりで』で加山雄三を相手に主演を果たし、東宝の若手看板女優としての地位を着々と築き上げていきます。

その後も『戦国野郎』(63)『モスラ対ゴジラ』『国際秘密警察・火薬の樽』(64)『何処へ』(66)などなど、ジャンルを問わずさまざまな作品で、庶民的ながらも品のある清廉な魅力をふりまいていきました。

67年には『千曲川絶唱』で不治の病に侵されたトラック運転手を愛する看護師を熱演してミリオン・パール賞を受賞して女優としてステップアップし、相手役の北大路欣也とはその後も『北穂高絶唱』(68)『津軽絶唱』(68)と共演しました。

68年からは他社出演も始め、日活『忘れるものか』(68)などで石原裕次郎、東映『日本侠客伝・花と龍』(69)などで高倉健と、各社の看板スターの相手役を務めています。

現在も旺盛に活動中
同世代女性からはオシャレの手本的存在に

70年代に入ると映画出演が徐々に減っていきますが、84年、東宝シンデレラガールに選ばれたときの新人・沢口靖子の母親役で『刑事物語3・潮騒の詩』で銀幕にカムバックし、以降は『恋する女たち』(86)『パンダ物語』(88)『ぼくとぼくらの夏』(90)と定期的に映画出演し、92年には久々に東宝特撮映画『ゴジラVSモスラ』に、さらには2000年『ゴジラ×メガギラス』に出演し、往年の特撮ファンを沸かせてくれました。

『釣りバカ日誌18 ハマちゃんスーさん瀬戸の花嫁』(07)では壇れいの母親役で出演し、事実上のダブル・マドンナとしての存在感をすがすがしく体現してくれています。

現在も活動は旺盛で、今年も『全員、片想い』(7月2日公開)、『浅草筑波の喜久次郎』(秋公開)と映画出演。嬉しい限りです。

最近では、星由里子がテレビなどに出演すると、同世代の女性たちは彼女のファッションを参考にしながらオシャレをするのだと、聞かされたことがあります。

若い頃から親しみやすくも品のあるオーラは今なお変わることなく、一方では団塊の世代の男性たちからは今も“澄ちゃん”と呼ばれながら、男女を問わずファンを増やし続けているのです。

※「東京スポーツ」「中京スポーツ」「大阪スポーツ」は毎週月曜、「九州スポーツ」は毎週火曜発行紙面で、「生誕100年 写真家・早田雄二が撮った銀幕の名女優」を好評連載中。

(文:増當竜也

    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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