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北野武と坂本龍一、『戦場のメリークリスマス』から生まれた映画の才能|4K修復版が公開に




2021年4月16日から故・大島渚監督の1982年の最大のヒット作『戦場のメリークリスマス』の4K修復版が公開されます。(続く形で最大の問題作『愛のコリーダ』修復版も公開)。

2023年に大島渚作品が国立機関に収蔵されるため(商業利用が難しくなることから)今回が最後の大規模ロードショーになります。

第36回カンヌ国際映画祭に出品され、大きな話題を呼んだ本作は日本、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの合作映画。第二次世界大戦をテーマにした戦争映画ではあるものの、戦闘シーンは全く登場せず、また主要キャストはすべて男性という異色の作品です。

後年になりマーティン・スコセッシ、ベルナルド・ベルトルッチ、クリストファー・ノーランといった大物監督からも高い評価の声が集まっていくようになっています。

 

異色のメインキャスト


合作映画ということもあって、メインキャストも国際的です。ロック界の大スターであると同時、個性派俳優としてすでに知られていたデヴィッド・ボウイが英国俘虜(捕虜)セリアス役で主演。さらに後にアカデミー賞にノミネートも経験するトム・コンティが通訳も兼ねた英国俘虜ロレンス役で登場しています。

そう!!あの「Merry Christmas, Mr. Lawrence」のロレンスです。そして日本からも内田裕也やジョニー大蔵など異色のキャストが並びましたが、その中でもその後に日本の、そして世界の映画界に大きな影響を与えることになる二つの映画の才能がここに揃います。それがビートたけし(=北野武)と坂本龍一です。

このキャスティングに至るまでには勝慎太郎、緒形拳、三浦友和、沢田研二、ロバート・レッドフォードなどの名前も候補に挙がりました。

 世界のサカモトへ

当時テクノポップバンドYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)のメンバーだった坂本龍一は本作で日本軍のヨノイ大尉役で出演。

さらに映画音楽も担当します。本作で初めて映画音楽を手掛けた坂本龍一ですが、メインタイトル「戦場のメリークリスマス(=Merry Christmas, Mr. Lawrence)」は彼の音楽家キャリア全体を代表する楽曲となりました。

本作『戦場のメリークリスマス』での音楽で英国アカデミー賞の音楽賞を受賞、いきなり大きな勲章を得ます。その後1987年公開の『ラストエンペラー』ではアカデミー賞の作曲賞を受賞、この時にはゴールデングローブ賞、グラミー賞も受賞し、一気に世界的な映画音楽家としての地位を築きます。

以降『シェリタリング・スカイ』『星になった少年』『レヴェナント:蘇りし者』『怒り』など多くの話題作、ヒット作の音楽を担当。4月16日公開の『約束の空』やジョニー・デップ主演の『ミナマタ』の音楽も手掛けています。

世界のキタノへ



それまでも漫才ブームの中心・ツービートのビートたけしとしてお茶の間の人気者だったビートたけしは本作『戦場のメリークリスマス』への出演で大島渚の演出を間近で見たことから映画や演技について大きな興味を抱くようになります。

実際に彼のキャリアをみると『戦場のメリークリスマス』以降の80年代中盤以降、映画・ドラマへ出演、俳優業の比重が増えていきます。そして1989年『その男、凶暴につき』で監督デビュー。

もともとは深作欣二が監督する予定でしたが、直前になり降板、結果ビートたけしが北野武名義で監督デビューを飾ることになります。

当初は有名人が映画監督に手を挙げただけと思われていましたが、その独特の感性に高い評価が集まります。そして1993年の初期の代表作『ソナチネ』の頃から“キタノブルー”と呼ばれる映像美へのファンが増えていきます。

やがて1998年の『HANA-BI』で第54回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を、2003年の『座頭市』で第60回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞、世界的な映画監督としての地位を築きます。またキアヌ・リーヴスと共演した『JM』やスカーレット・ヨハンソンと共演した『ゴースト・イン・ザ・シェル』などのハリウッド作品に俳優として出演しています。

今や、世界的に通用する存在となった坂本龍一とビートたけし(=北野武)。その原点として『戦場のメリークリスマス』を見てみてはいかがでしょうか。

(文:村松健太郎)

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