魂の音を引き出すマエストロ
人は誰でも自分の人生を背負って生きている。音楽家も例外ではない。
ヴァイオリニストだった父の影を追い続けている、若きコンサートマスター・香坂真一(松坂桃季)。アマチュアフルート奏者でありながら一級品の音を奏でることができる、橘あまね(miwa)。
定年を迎え、腕も指も動きにくくなり自信を失っているヴァイオリニスト、村上伊佐夫(大石吾朗)。顔面神経痛を発症したことがあり、自分の演奏に自信のないホルンの一丁田薫(斎藤暁)。
団員たちそれぞれが、それぞれの悩みを抱えながら奏でる音は、決して人様に聴かせられるようなものではなかった。
経歴も素性も不明、破天荒な指揮者・天道徹三郎(西田敏行)は、驚くような手法で、それぞれの魂の音を引き出していく。そして、響き合う瞬間を紡ぎだしていく。
反発を買いながらも、楽団員をまとめ上げていく、マエストロ・天道の手腕が一番の見もの。
■“そんなバカな!”と思うことだが、実はあるある話
ちょっと誇張している感も否めないが、オーケストラのあるある話も、随所にちりばめられている。見逃さないで!
口の形で向き不向きがある楽器、手入れが不十分のため思うように音が出ない金管楽器、本番用のリードを出し惜しみする木管奏者、音感にプライドがあるからなのかチューニングの意地の張り合い。そして、女性関係(笑)。
何もかも、若きコンマスに重圧がのしかかるという場面も、実はあるある。
■“何のために音楽をやるのか”がわかるかも…
音楽で生活が成り立たないのに、なぜ音楽をやっているのか。音楽はすぐに消えてしまうのに、どうして人は音楽を美しいと感じるのか…。
その答えは、マエストロ・天道が仕掛けた、ラストステージにある。さあ、思い切り、涙しよう。
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