アフレコは和製英語?生まれ変わった『松竹映像センター』レポvol.3
松竹120周年を機に、お台場へとその場所を移転し大きく生まれ変わった『松竹映像センター』
前回は最大の売りであるDubbing Stageを中心にお話してきましたが、今回は残りの設備などについて紹介したいと思います。
アフレコも実は世界標準の言葉ではない
前回はDubbing Stageを紹介しましたが、実は前回紹介しきれなかったのが、Dubbing Stage内にある声の収録『アフレコ』を行う場所。
映画では、撮影現場ではどうしても雑音などが入ってしまい、音が使えないこともしばしばあります。そうした場合、後から声だけを収録し直す、通称『アフレコ』と呼ばれる声の録音を行います。『アフレコ』とは"After Recording"の略で、まさしく後から録音するという意味。ところが、この"アフレコ"という言葉は、世界的には使われていない言わば和製英語のような言葉。世界的には『ADR』という言葉使われています。
ADRは、『Automated Dialogue Replacement』の略で、意味としてはアフレコと同じ。洋画などのクレジットでは『ADR MIX』などの表記を見かけたことがある人もいるかもしれません。こうしたADRを行う場所も、Dubbing Stageにはあります。
松竹映像センターのADRの部屋は、その広さがポイントのひとつ。マイクを10本以上並べることも出来るので、例えばアニメや洋画の吹き替えなどでは、声優さんが同じ場所に同時に集まって録音をするのですが、その際でも広々とした部屋でゆとりある収録が行えるのです。これだけの天井高と広さは、ADRを行う場所の中でもかなり大きい部類に入るそう。音声収録される声優・俳優さんにとっても高環境なのは、強みです。
生音の効果音は"フォーリー"と呼ぶ
また、こちらのADRの部屋では『フォーリー』と呼ばれる生音の効果音を録ることも出来るようにもなっています。
足音や衣擦れ、ドアの音などの生音の効果音のことを『フォーリー』と言います。フォーリーは英語で書くと『foley』。こちらも映画の最後に流れるクレジットなどでは『Foley men』や『Foley Mixer』などの専門の方の名前が出てきます。
このフォーリーは通常、専門の方がいて、音響のミックスをする人が効果音の入った素材集から使うのではなく、作品のために独自に録るそうなのです。
フォーリー自体は、フォーリースタジオという専門のスタジオを使うそうですが、最終工程であるDubbing Stageでどうしても最後に少し追加したいなどが起きるそうです。その場合でも、ADRの部屋の足元にあるマットを剥がすとコンクリートになっていて、フォーリーの収録が出来るようになっているのです。この辺まで対応しているのも、松竹映像センターならではです。
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