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由美かおるの70年代主演映画BDを見ながら思うことのいくつか……

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1970年代というカオスの時代を象徴する作品群


話がずれましたが、ただしそんな山根作品は演出法が非常に独特で、赤などの原色を画面いっぱいに用いた今でいうサイケな映像技法が特徴的で、『同棲時代』もそういった仕掛けが多々用意されています。

正直なところ、今の目でそれらの技法を見て古めかしく思われるかたも多いかもしれません。

ただし、それも映画の表現が自由かつアナーキーになり始めていた70年代日本映画界の一つの模索として、歴史的に微笑ましく受け止めてもらえたら嬉しく思います。

『同棲時代』はまた、男女の関係性においても、特に現代の若い女性たちからすると噴飯ものの描写が多く感じられることでしょう。

特に妊娠したヒロインに対する男の態度など、同じ男のこちらが見ていてもぶん殴りたくなるほどです。

しかし、これもまた男女の関係性が従来の保守的なものから徐々に変わり始めていく70年代の流れの中で、まだまだ未成熟な部分を露呈させていたと捉えていただきたい。

ひねくれながらも甘えん坊の男をペシミスティックに描きたがる傾向も、学生運動やヴェトナム戦争反戦活動など世界が大きく変動していった当時はあったのかもしれません。

本作のヒロインは同棲という形態に踏み切るあたり、当時としては新しかったかもしれませんが、実際はまだまだ受け身的な存在であり、その一方でウーマン・リブなど女性たちの運動が始まり始めた時期でもあったことを踏んだ上で、見ていただけたらと思います。

また、ここで由美かおるはラブシーンも含む美しいヌードを披露しています。

ここにもエロとグロとヤクザによって生き永らえた70年代の日本のみならず世界的な映画界のありようが浮かび上がってくるわけですが、このあと彼女は同じ上村一夫原作の『しなの川』(73)ではフルヌードを披露。

由美かおる しなの川





この2作が続けてBD化されたことは、山根&野村監督のファンとしても、日ごろ語られることの少ない作品なだけに嬉しい限りではあるのです。

ちなみに由美かおるはその後も『ノストラダムスの大予言』(74)『エスパイ』(74)『超高層ホテル殺人事件』(76)『火の鳥』(78)などに出演するとともに、その美しい裸体を披露し続け、セクシャルな女優としても評判になっていくわけですが、意外にも彼女は当時から男性のみならず女性ファンの支持も得ていました。

それは彼女が、同性から後ろ指をさされることのないほどに自分の美を保つための努力を怠ることなく、ある意味ストイックにセクシャルな魅力を発散させていたからで、まただからこそ後の『水戸黄門』シリーズでも、入浴シーンを見ながらデレデレしている亭主に突っ込みを入れつつ、奥様方も意外と寛容に見ていられるお茶の間の空気を作り上げることができたのだと思います。

またそうでなくては、あの国民的番組に彼女が長年出演し続けることなどできなかったことでしょう。

私などは彼女に『ルパン三世』の峰不二子とも共通した魅惑的な色気や佇まいを感じることがあります。
たとえば当時の彼女を起用して、実写版『ルパン三世』が作られていたら、どうなっていたことでしょう?
(そういえば、彼女が出演していた『ノストラダムスの大予言』の同時上映は、実写『ルパン三世 念力珍作戦』でした)

いや、今でも峰不二子の母親みたいな役で出演したりして、そこで不二子ちゃんもびっくりの美魔女ぶりを披露してくれたりしたら、それはそれで面白いかも⁉

……などなど、やはり1970年代というのは、サイケでキテレツで、しかしどこかとんがっていて、何もかもカオスとして取り込んでしまうような、そんな興味深い時代でもあったことを、『同棲時代』『しなの川』の由美かおるは教えてくれているようにも思えます。

みなさんも、この2作を通して、迷宮の70年代カオスの入り口に立ってみてはいかがでしょうか?

■「キネマニア共和国」の連載をもっと読みたい方は、こちら

(文:増當竜也)
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