映画コラム
紀里谷和明監督、独占インタビュー「スタートラインに立たせてもらった」
紀里谷和明監督、独占インタビュー「スタートラインに立たせてもらった」
―それぞれの作品でなぜ“死”を描いたのでしょうか?
これまでの3作品が僕の中で表現したい共通する定義があったという事だけなんです。
―死と引き換えに何かを継承していくという点では「継承」自体もテーマですか?
それは世の中のテーマじゃないでしょうか。世の中的にみれば、お金や文化財と、形があるものでの継承が多い気がします。でも、俺はそこに興味がなくて、内面的な部分、心とか、精神とか哲学を継承していくということが大事だと思っています。
―監督にとっても、映画を撮りつづけることが“継承”になっている?
映像作品と言われるものの中で、映画が他と違うのは、そこに“物語”があることなんですよね。物語があることで、お客さんに何かを感じていただきたいというのがあります。そこには「世界というのは、願わくばこうあってほしい」という俺の願いを込めています。
―世界がこうあってほしいというのは?
平和というものについて、問いかけています。『CASSHAERN』にしても『GOEMON』にしても「なんで争いがおこるのか」に対しての問いかけなんです。ちょっとだけ考えてもらえないかなということですね。「こういう見方もある」というのを言い続けているつもりなんです。
ミスキャストはない。100%のキャスティング
―試写を拝見させていただいて、個人的には観終わった後に、ぐっと胸に残るものがありました。劇場を出たあとに、歩道橋の上で思わず立ち止まって、ずっとなんとも言えない感情に包まれて、しばらく放心状態になりました。
嬉しいですね。ありがとうございます。
―作品的には、これまでの2作と比べると、派手なCGなどもなく、よりヒューマン・ドラマが強くなったと感じたのですが?
そぎ落としていくというのが今回のテーマだったんです。CGとか、過剰なデザインもないし、全てをシンプルにしました。映画としては当たり前のことですけど、“物語”と“役者のお芝居”を徹底的にやろうと決めて、それを実現しました。
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