オシャレでシュールで甘美な 食人映画『フリーキッチン』
しばらくは肉を食べられないような
でも心のどこかで食べたいような⁉
監督は、本作が劇場用映画デビューとなる中村研太郎。
実は彼、2000年にこの題材を40分の中編自主映画として既に手掛けており、今回はいわばそのリメイク作品でもあるのですが、『Z』(14)や『極道大戦争』(15)、『映画 みんな!エスパーだよ!』(15)などで現在注目されているキャメラマン神田創の耽美に醸し出される映像によって、この異様な世界に不可思議なリアリティが与えられており、同時に、実は我々が生きている日常そのものこそが異様なのではないかといった説得力すらもたらしています。
主人公のミツオには『神様の言う通り』(14)『ビリギャル』(15)などに出演の森田桐矢、カナには『絶狼〈ZERO〉-BLACK BLOOD-』(14)『罪の余白』の大貫真代。本作の撮影はそれ以前の13年に行われている分、とても初々しく映えています。
また母親役の延増静美の美しくもどこか狂気を帯びているかのような存在感は、一度見たら忘れられないほどのインパクトをもたらしてくれることでしょう。
本作のスタッフ&キャストの名前は、映画ファンなら覚えておいたほうがいいかもしれません。
いつか、ものすごい作品を世に打ち出してくる可能性が大いに感じられるからです。
いずれにしましても鑑賞後、しばらくはお肉を食べるのを躊躇してしまいそうな、でも心のどこかで食べたくて食べたくて仕方がないといった飢餓状態にも突入してしまうといった、そんな複雑かつ甘美な心理状態に陥らせてくれる快作、それが『フリーキッチン』なのです。
■「キネマニア共和国」の連載をもっと読みたい方は、こちら
(文:増當竜也)
『フリーキッチン』は2015年11月28日(土)より全国ロードショー!
公式サイト http://fuzzfilmworks.com/index.html
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。