映画コラム

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2016年07月13日

カワイすぎる二人の間に挟まれたい!全女子が萌え死に必至の「セトウツミ」

カワイすぎる二人の間に挟まれたい!全女子が萌え死に必至の「セトウツミ」

セトウツミ

(C)此元和津也(別冊少年チャンピオン)2013 (C)2016映画「セトウツミ」製作委員会


本作は、別冊少年チャンピオン連載の、此元和津也原作による人気漫画「セトウツミ」の、待望の実写映画化だ。

主人公の瀬戸と内海には、今や女性に大人気の若手演技派の二人、池松壮亮、菅田将暉が起用され、原作マンガの雰囲気をほぼそのまま再現しているとして、観た人の感想も絶賛が多い。ちなみに聞きなれないタイトルの「セトウツミ」とは、主人公二人の名前を合わせたもので、そう、例えるなら「おぎやはぎ」みたいなもの。そんな本作を、大勢の女子たちに混じって、公開初日に鑑賞してきました。さて、気になるその内容とは?

ストーリー


ありません。
と、言うのは冗談で、仲良しの男子高校生二人が、川べりのいつもの場所で、ただ暇つぶしに喋る、という映画です。

原作マンガの世界を完璧に再現!


本作の最大の特徴、それは原作マンガの世界観と内容を忠実に実写化している点だろう。中でも原作マンガ第1巻に収録の、「マジ雲は必ず雨」の再現度には驚いた!

マンガの中で二人が見せる「神妙な面持ち」の表情を、主演の二人が映画でも完璧に再現していたからだ。あの微妙な表情を、まさか生身の人間が完璧に再現出来るとは!これだけは文章で説明するよりも、鑑賞後に原作マンガを読んで頂いて、ぜひ実際にその再現度を観て笑って頂きたいと思う。

セリフの内容に至るまで、原作マンガを忠実に再現している本作だが、マンガのコマ割では伝わらない独特の二人の空気と絶妙な会話の間、それに印象的なテーマ曲が加わって、映像ならではの新たな魅力が体験出来るようになっている。原作マンガをすでに読まれている方でも、絶対に楽しめるのでご安心を。

セトウツミ サブb


(C)此元和津也(別冊少年チャンピオン)2013 (C)2016映画「セトウツミ」製作委員会



池松壮亮と菅田将揮!今や名コンビ、二人の驚異の演技力に注目!


クールなメガネ男子で頭脳派の内海想に、池松壮亮。ちょっとおバカな瀬戸小吉に、今年大活躍の菅田将揮が扮していることでも話題の本作。今年は既に問題作「ディズトラクション・ベイビーズ」で競演している二人だが、本作ではまた全然違った一面を見せてくれるので、その点を見比べてみるのも、ファンにとってはまた楽しみの一つだろう。

「えーっ、でも、なんか、二人が並んで延々喋るだけの映画なんでしょ」。確かに、そんな印象を持つ方も多いと思う。テイスト的には「紙兎ロペ」や「聖お兄さん」に似ているのだが、実は意外と奥深い哲学と余韻が隠されているのも、本作のもう一つの魅力だと言える。

二人の息がピッタリ!まるで、芸暦10年の芸人コンビ並み


とにかく二人の会話の面白さとその絶妙の間!インタビューによれば、本作の撮影期間はわずか1週間で、二人のシーンでのリハーサルも無かったとか!ということは、あの独特の間と笑いはまさにリアルな漫才だったというわけだ。確かに全編観客の大爆笑を誘うというほどではないが、二人による独特のゆるーいセリフの応酬には、劇場内あちこちで笑いが起こっていた。

もちろん、こうした笑いの要素以外にも、学生服姿の二人を存分に「愛でる」ことが出来るので、女性ファンにとってはまさに至福の時が過ごせる、そんな映画だとも言える。マンガ同様、二人の会話の内容も面白いのだが、そこに流れるゆるーい時間と空気の中に身を委ねる快感は、まるで温めの温泉にゆっくりつかっている様な感じと言ったら判り易いだろうか。まるで結成10年目の漫才コンビのようなその掛け合いに加えて、タンゴ調のテーマ曲が全体の雰囲気にまたマッチしていて、この点も見ていて気持ちのいい理由だと言えるだろう。

セトウツミ サブc


(C)此元和津也(別冊少年チャンピオン)2013 (C)2016映画「セトウツミ」製作委員会



名優・宇野祥平の本来の味が楽しめる!


白石晃士監督のホラー映画でもお馴染み、今や名脇役である宇野祥平のカメオ出演にも、ぜひ注目して頂きたい。原作マンガにも登場するキャラなのだが、その意外な役柄と特技はまさに必見!

本来はこのような「ゆるーい微笑ましいキャラ」が持ち味の役者さんだけに、生き生きと演じている様子が実に楽しそうで、ここも絶対にお見逃しなく!

更に、主演の二人以外の登場人物も、実はマンガ以上にキャラが立っていて、まさに適役としか言いようがないほど。とにかくリアルな人物造型で全編楽しませてくれるのは間違いない。超コワイ先輩の鳴山とその父ちゃんに、瀬戸の両親などなど、「あー、いるいるこんな感じの人!」と、思わず納得しまうことは確実だ!

最後に


本作の重大な欠点、それは上映時間が75分しか無いことだろう、観ているうちに、「このままずっと、二人の会話を観ていたい」、そんな気持ちになってくるからだ。

特に何をするでもなく、友達とただ楽しくムダに過ごす時間。実はそれこそが一番贅沢で大事なひと時だと、学校を卒業した後になってから気付くもの。

観客側も、実はこの二人の世界が長くは続かないことを知っている。だからこそ、この時間が永遠に続いていて欲しい、二人にはずっと友達でいて欲しい、そう思わずにはいられないのだ。この作品を大スクリーンで、しかも大勢の観客と一緒に鑑賞出来る時間こそ、まさに「贅沢」だと言えるのではないだろうか。

原作を未読の方でも、ちゃんと二人の出会いのエピソードが描かれているので、安心して観に行って頂いて大丈夫!
女子だけでなく、男でも二人の絶妙の掛け合いで十分に楽しめる本作。絶対にオススメの一本です。

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(文:滝口アキラ

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