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関根恵子から高橋惠子へ、変わることなき、闘う“女”

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■「キネマニア共和国」

写真家『早田雄二』が撮影した銀幕のスターたちvol.36


現在、昭和を代表する名カメラマン早田雄二氏(16~95)が撮り続けてきた銀幕スターたちの写真の数々が、本サイトに『特集 写真家・早田雄二』として掲載されています。
日々、国内外のスターなどを撮影し、特に女優陣から絶大な信頼を得ていた早田氏の素晴らしきフォト・ワールドとリンクしながら、ここでは彼が撮り続けたスターたちの経歴や魅力などを振り返ってみたいと思います。

高橋恵子(関根恵子)さん


1970年代、若さ弾ける存在感の中からエロティシズムを発散させ、多くの男性ファンを得ていた関根惠子。そして80年代に入り、高橋伴明監督と結婚して芸名を高橋惠子と改めて以降は落ち着いた女の逞しさを自然に醸し出す女優として評価を得ていきますが、そんな彼女には、どことなく理不尽な事象に対して対峙し、闘う気概を持った“女”を演じさせたら右に出る者はいない、そんなイメージもあります。

大映末期の仇花から始まった
関根恵子の系譜


高橋惠子は1955年1月22日、北海道釧路市の生まれ。小学校のときに東京都府中市に家族で引っ越し、中学2年で大映のスチルマンにスカウトされ、70年、中学卒業と同時に大映に入社。同年8月、関根恵子の芸名で、妊娠する女子高生の青春を描いた衝撃作『高校生ブルース』で映画デビューを果たすとともに、ヌードを含む大胆な演技を披露し、続く『おさな妻』(70)『新・高校生ブルース』(70)と主演し、あどけなく清純な顔立ちと、豊満な肉体美も相まった肝の据わった貫録など相まって、センセーショナルな話題を振りまきつつ、大映レモンセックス路線のシンボルとなっていきます。

71年は増村保造監督の名作『遊び』やガメラ・シリーズの湯浅憲明監督の『成熟』など演技的にも成長していきますが、同年12月に大映は倒産。彼女はまさに大映末期の仇花でした。

72年にはテレビに進出し、伝説的刑事ドラマ『太陽にほえろ!』にレギュラー出演しつつ、東宝に移籍して熊井啓監督『朝やけの詩』(73)や出目昌伸監督『神田川』(74)、浦山桐郎監督『青春の門』(75)、増村監督『動脈列島』(75)などの話題作に続々出演していきます。

こういった活動から将来を期待されていた彼女ではありましたが、77年に恋愛スキャンダルを起こし、大きな事件となり、一時は芸能界をほされますが、80年にカムバック。

舞台演出家の蜷川幸雄が映画初監督した『魔性の夏・四谷怪談より』(81)ではヒロインのお岩を演じ、また同年、初のにっかつロマンポルノ『ラブレター』にも主演し、これがクリーンヒットとなって順調な再スタートとなりました。

そして82年、ピンク映画界の鬼才・高橋伴明監督の初の一般映画となった、大阪の三菱銀行襲撃事件の犯人をモデルにした問題作『TATTOO[刺青]あり』で魔性のヒロインを演じ、続く舛田利雄監督の戦争大作『大日本帝国』では戦争にのめり込んでいく夫を、自らの肉体で奪還する妻を熱演しました。

翌83年、高橋監督と結婚。かくして関根恵子は高橋惠子として現在に至っています。

高橋惠子となってからの
落ち着きと挑戦


高橋惠子となっての初の映画は85年の神代辰巳監督作品『恋文』で、萩原健一扮する主人公の余命いくばくもない元恋人を、ほとんどベッドの中で演じ切りました。

87年は『次郎物語』で本格的な母親役に挑み、続く松林宗惠監督の『ゴルフ夜明け前』では坂本龍馬の恋人おりょうを好演。

88年は、高橋監督によるスリラー映画の怪、いや快作『DOOR』でセールスマンの勧誘を断ったことからストーカー行為に遭い、ついには命まで危ぶまれる人妻を熱演。一転して89年は堀川弘通監督『花物語』で花の栽培を国家の命令で禁じられた太平洋戦争末期、花畑を守ろうとするたくましいヒロインを演じました。

この後も夫・高橋監督作品はもとより、ドラマや舞台、最近はバラエティ番組でもよく見かける高橋惠子ですが、2012年の山本起也監督作品『カミハテ商店』では久々に主演。自殺の名所の入り口に佇む寂れた店で、自殺志願者にコッペパンと牛乳を売る老婆の孤独と哀しみを貫録で演じています。

彼女自身、実は70年代後半に芸能界のストレスが昂じて自殺未遂を起こしたこともあり、だからこそ死と生の問題を真摯に見据えたこの作品に、情熱を燃やして取り組むことができたのでしょう。

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(文:増當竜也)
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