特撮向上委員会

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2017年07月27日

重厚ドラマを魅せたヒーローと怪人『仮面ライダー555』【篠宮暁の特撮辞典・第8回】

重厚ドラマを魅せたヒーローと怪人『仮面ライダー555』【篠宮暁の特撮辞典・第8回】

【オジンオズボーン・篠宮暁の特撮辞典】

敵側にもスポットが当てられた作品『仮面ライダー555』


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「仮面ライダー」の敵組織で、最も広く知られているのはショッカーでしょう。いや、「仮面ライダー」のみならず、日本の特撮に登場する敵組織の中でもダントツの知名度を誇ります。

ショッカーと言えば、世界征服を狙う悪の軍団で、血も通ってない残虐な怪人が人々を襲う。ほとんどの方が特撮の敵にもつイメージは、前述のとおりかと思われます。

人間は善いもの、怪人は悪いもの。でも、もし怪人の中にも善いものがいたとしたら? その怪人が人間との共存を願っていたとしたら? 人間は怪人との共存を差別的に拒否していたとしたら?

『仮面ライダー555(ファイズ)』は、敵側にもスポットが当てられた作品です。

涙無しでは見られない…怪人たちのドラマ


第6話



「555」に出てくる怪人の総称を「オルフェノク」というんですが、この「オルフェノク」、元は皆人間なんです。

一度死んだ人間の一部が、人間から進化し、蘇生したのがオルフェノクで、進化していない人間を下等な生物として排除しようとします。

しかし、それを良しとしない「オルフェノク」もいて、人間との共存をなんとかできないかと行動する少数派も。その中で、人間の汚い部分をたくさん見て、それでも共存を目指さなければいけないのかと葛藤します。敵側にも、重厚なドラマを持たせた「555」は、それまでの特撮作品とは一線を画し、大絶賛されました。

その「オルフェノク」のひとり、「スパイダーオルフェノク」に変身する澤田を演じたのが、今作で俳優デビューした綾野剛さんでして、デビュー作とは思えない強烈なインパクトを残しています。「スパイダーオルフェノク」が倒されるシーンは、涙無しでは見られません。

高校生だった半田健人の初々しさ、実力をつけてく様子を堪能


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敵側ばかりではなく、もちろん人間側のドラマも濃厚に描かれてます。特撮ファンの間で語り継がれる、夢について描かれた第8話は今だに、仮面ライダー作品屈指の神回と言われていて、非常に胸打つ回でもあり、非常に考えさせられる回でもあるので、是非確認していただきたいです。

本作に出てくる二人目の仮面ライダー、「カイザ」に変身する草加雅人という奴がいるんですが、こいつが人間のいやらしい部分をこれでもかと見せつけてきて、時に「オルフェノク」より冷酷な行動をとるんです。

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この草加雅人が嫌な奴になればなるほど、「555」という作品が勧善懲悪な作品でないことを立証してくれてる気がします。草加雅人を演じた村上幸平さんの魂こもった名演は、脳裏に焼きつくこと間違いなしです。

主人公の説明もなく、つらつら書いてしまいましたが、主人公も当然最高です。

「ファイズ」に変身するのはデビュー間もない、まだ高校生だった半田健人さん。初々しい演技と、回を増すごとに着実と実力をつけてく様子を堪能できます。

半田健人さん演じる乾巧は、人間を守るため「ファイズ」に変身して闘うんですが、この「ファイズ」に変身できるのが、主人公の乾巧だけでないところも作品の魅力になってます。

ある条件を満たすと、誰でもファイズに変身できるので、そこから生まれる誤解や変身ベルトの争奪戦も見所のひとつです。後半、そのある条件が明らかになり、乾巧の秘密も解明され、そこからのとんでもない展開に、当時の僕は熱が出るほど興奮しました。

ファイズファイズファイファイファイテンション!

このくらい興奮しました。本当に見て欲しい! ちなみにISSAさんが歌う主題歌「Justiφ's」もめちゃかっこよくて、かなりテンションあがります。

あと余談ですが。僕、「ファイズ」の変身ベルトのおもちゃで200回は変身しました。

(文:オジンオズボーン・篠宮暁)

※この記事は、WEBサイト「WB」にて以前連載していたものを、再編集したものです

以前の記事はこちらから
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