映画コラム

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2017年09月15日

宇宙人と遭遇した少年たちを描くジュヴナイルSF『アース・トゥ・エコー』

宇宙人と遭遇した少年たちを描くジュヴナイルSF『アース・トゥ・エコー』

EARTH TO ECHO アース・トゥ・エコー


(C)2014 RML Echo Films, LLC All Rights Reserved


今年の洋画はアメコミ・ヒーローものだけでなく、『パッセンジャー』『メッセージ』『ライフ』などSF映画の秀作が多い感もあります。まもなく『エイリアン:コヴェナント』や『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』も公開。

こういった流れの中、少し前のSF映画も見直してみるのも一興かと思います。

今回ご紹介する『アース・トゥ・エコー』は2014年のアメリカ映画。スマホで謎のメッセージを受け取った少年たちのSFアドベンチャー映画です!

スマホの映像に導かれた
少年少女の“未知との遭遇”


『アース・トゥ・エコー』は、高速道路建設のために家族ごと強制退去させられることになったタック(ブライアン・“アストロ”・ブラッドリー)、アレックス(テオ・ハーム)、マンチ(リース・ハートウィグ)、3人の少年の“未知との遭遇”と、それゆえの冒険と友情を描いたものです。

明日はもう離れ離れになってしまう3人の、それぞれのスマホに突然不思議な図形が映し出されました。

謎の解明に乗り出した少年たちは、それが砂漠のある地点を示していることを突き止めて現地に向かうと、未知の金属型宇宙人と遭遇。彼らはその宇宙人にエコーと名付け、やがて同級生の少女エマ(エラ・ワーレステット)も加わり、エコーを修理して宇宙へ逃がしてやろうとするのですが、しかし……。

少年少女らが宇宙人と遭遇するパターンのジュヴナイルSF映画は多々ありますが、本作は冒険と感動をメインに打ち出したもので、老若男女、家族で見るのにうってつけの作品となっています。
(ただし、子どもたちの視点で貫かれている分、大人たちが割かし悪役風に描かれているあたりはやむなしか。ホント、子どもらにとってものわかりのよい大人になるのって、難しいものですね!?)

また本作は、雰囲気が『E.T.』(82)や『エクスプロラーズ』(85)『グーニーズ』(85)など1980年代に流行したジュヴナイルSFファンタジー映画の韻を踏んでいる感があり(SFではないけど86年少年映画の名作『スタンド・バイ・ミー』的な味わいも含まれていますね)、そこにハンディカメラやスマホの映像など、今の時代ならではのアイテムを積極的に採り入れて、POV(主観映像)映画情緒を醸し出すことにも成功しています。

EARTH TO ECHO アース・トゥ・エコー


(C)2014 RML Echo Films, LLC All Rights Reserved




どこか懐かしくも普遍的な
現代の“KIDS MEETS ALIEN”!


監督は自主映画やミュージッククリップ出身、サム・ライミ監督の『スパイダーマン』3部作(02・04・07)のプロダクション・アシスタントを経て、本作で商業映画デビューを果たしたデイヴ・グリーン。

これがマイケル・ベイに認められて、彼は『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影(シャドウズ)』(16)の監督に抜擢されました。

子どもたちの自然な演技もよく、この中からリヴァー・フェニックスみたいな新たなスターが登場するかは今後の成り行き次第でしょうが、タック役のブライアン・“アストロ”・ブラッドリーは現在ラッパーとして活躍中です。

金属型の宇宙人“エコー”の造型もユニークでフィギュアがほしくなるほどですが、VFXは『ジュラシック・パーク』シリーズのスタッフが担当。さほど大掛かりな技術を駆使しているわけではありませんが(とはいえ、クライマックスなどはなかなか壮観!)、“KIDS MEETS ALIEN”としての実に自然なセンス・オブ・ワンダーを描出しています。

ほんの一晩の出来事が、一生の思い出として残る。少年時代だからこそ鮮烈に記憶されるであろう、そんな冒険をピュアに微笑ましく描き得た、小品ながらも味わい深い佳作です。

舞台は現代ですが、どこか懐かしくも普遍的な、強く推すというよりも、何となく気持ちよくお勧めしたい、そんな表現が似つかわしい作品です。

個人的には、こういった作品こそ愛してやまないものがありますね。

[この映画を見れる動画配信サイトはこちら!](2017年9月15日現在配信中)
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(文:増當竜也)

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