『仮面ライダーV3』先人の意思を継ぐ3人目の仮面ライダー【篠宮暁の特撮辞典・第40回】
■オジンオズボーン・篠宮暁の特撮辞典
1号2号の意思を受け継いだ3人目の仮面ライダー
仮面ライダーV3は、言わずと知れた3人目の仮面ライダー。
仮面ライダーシリーズ第2作目。第1話と第2話はライダー1号2号も登場し、V3が誕生する過程が丁寧に描かれています。
『仮面ライダー』は全98話で幕を閉じましたが、「V3」の1話、2話は『仮面ライダー』の99話、100話とも言われており、新シリーズながらも、前作と繋がった世界というのを1発で視聴者にわからせました。
『仮面ライダー』後半では明朗快活になっていたライダーが、悲しみを背負ったヒーロー、悲哀の改造人間という根幹の部分を再度認識させることに成功した傑作の2エピソードなのです。
この手法は、東映特撮の歴史でもかなり珍しいのですが、「V3」の始まりはこれ以外考えられません。ここに至るまでにこぎつけた当時のスタッフさんの熱量のすごさを、そういったところからも感じることができます。
ミスターヒーローが魅せる「ヤラレの美学」
主人公・風見志郎を演じるのは、ミスターヒーローの宮内洋さん。『秘密戦隊ゴレンジャー』の新命明を演じる宮内さんもかっこいいのですが、僕にとってはやはり宮内さん=仮面ライダーV3です。
宮内さんは「ヤラレの美学」というのを持たれているのですが、それがV3の前期で頻繁に見ることができます。
変身前はとことんやられて視聴者を焦らして焦らして、もうダメだというギリギリで変身するということなのですが、子どもの頃に見た時はすごくイライラしたのを覚えています。しかし、大人になってから見てみると、そのエピソードを聞いたというのもあるのでしょうが、確かにかっこよく見えるのです。
後期はやられることもだんだん減っていき、圧倒的に強いV3が見られます。子どもは確かにこっちのが好きなのでしょうが、今の僕は前期の方が好きです。
有名な話ですが主演の宮内さんはV3をやりだした頃、バイクに乗るのが実は得意ではなかったそう。しかし、撮影のロケ地とロケ地の間を自らバイクを運転したりして技術を向上させ、ついにはバイクを手放しにして立ち上がり、そのまま変身ポーズをとるという荒技ができるほどになったとのこと。そちらは劇中で見られるのでぜひ確認してください。
顔半分が見えているユニークなライダー
V3を語る上で絶対欠かせないのはライダーマンの存在です。
顔半分がさらけ出ているライダーで、特撮に詳しくない人でも知っているほどインパクトのあるライダーです。平成ライダーシリーズで、もはや当たり前のように出てくる2人目ライダーの元祖と言ってもいいかもしれません。
最初はV3といざこざがあったものの、理解しあって共闘するシーンは鳥肌なしでは見られないのですが、ライダーマンの何がすごいかって作品の中でたった9話しか出ていないのです。しかも終盤も終盤で。登場と去り際のインパクトで仮面ライダー4号にまでスピード出世、ライダー界のオリエンタルラジオといってもいいでしょう。
強烈な爆破シーンや秀逸なデザインのデストロンの怪人など、見どころはまだまだあるのでV3のDブイDをスリ切れるほど見てみてください。
(文:オジンオズボーン・篠宮暁)
※この記事は、WEBサイト「WB」にて以前連載していたものを、再編集したものです
以前の記事はこちらから
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